エンジニアと資格のススメ
エンジニアとしてキャリアアップしたい。新しい技術を身に着けたい。そんなときに資格の勉強を始める人は多いはずです。気になるのが、「取得する資格の選び方」や、「将来のために勉強しておきたい資格」。今回は、エンジニアの資格支援を積極的に行っている株式会社テンダの”資格マスター”二人に、おすすめの資格や、エンジニアと資格の上手な付き合い方についてお話を伺ってきました。
エンジニアと資格の付き合い方
――エンジニアさんのスキルアップ・キャリアアップのため、もはや必須! というイメージの資格取得ですが……お二人はどの様なときに資格の勉強のモチベーションを感じますか?
森本さん「私の場合は、純粋に新しい技術に携わるのがおもしろい、というモチベーションで勉強している節が在ります。ITの世界はどんどん新しい技術が入ってくるので、それに追いつけないと自分の価値が下がってしまうんですよね。だからといって、ただ本を読んでインプットするだけでは実務に活かせない。そこで、資格を勉強するわけです」
芦原さん「エンジニアの技術というと、”最低限この程度はできる”ことを証明するための資格と、”新しいことを学んでいくため”の資格があると思っています。私が資格取得へのモチベーションを感じるのもやはり、新しい技術を学ぶときです」
――やはり”資格を持っている”ことって、エンジニアさんの市場価値をあげる上では重要な要素でしょうか。
芦原さん「採用の文脈だと、正直そこまで重視されていない気がします」
森本さん「そうですね、やはり採用担当の人は、資格を重点的にみるというよりはまずそれまでのキャリアを見た上で判断しますからね。とはいえ、資格を持っていることは加点要素にはなり得ると思います」
芦原さん「応用情報技術者試験などに合格していることがエンジニアとして一定のレベルの証明になったりはします。どちらかというと資格は転職のときの条件を良くする……というものよりは、お客様に対する提供価値を増やす、という意味で学んでいくことが重要だと感じますね」
森本さん「例えばエンジニア向けのマネジメント系の資格を持っていると、”マネジメントのことを学んでいる”ことそのものが評価されることはあります。ただ、結局実務に活かせなければ意味がないので、転職において資格は一つのものさしくらいだと思っておくのが適切じゃないでしょうか」
芦原さん「逆に、エンジニアとしてできることを広げるために資格を取るのはおすすめです。前職でSESエンジニアとして働いていた頃、汎用的なスキルを求められたため、IPAの各種国家資格、基本情報試験など力量を証明するようなものは意識して取得するようにしていました。加えて、これから取り組みたい技術の資格を勉強するのは実務に直結します。私の場合は、クラウド系(AWS等)の資格、AI技術関連の資格は意識して取るようにしていますね」
森本さん「資格によっても異なりますが、今まさに求められている技術のキャッチアップのために勉強していくのは効率がいいですよね。新しい技術の基礎知識をインプットした上で実務に望むと、成果も出しやすいはずです」
芦原さん「受託開発で働いていると、持っている資格に後押しされてプリセールスの部分から実際の開発までお客様に対してしっかりと提案できる、ということも多々あります。求められていることを効率よく吸収していくため、資格を上手に使っていけるといいですよね」
資格マスターの教える”取ってよかった資格”
■ 中小企業診断士
森本さん「エンジニアの資格というわけではないのですが、役に立った資格の一つです。マネージャーを目指していくのであれば、営業チーム・マーケティングチームとのコミュニケーションも必然的に増えていきます。経営に関する知識が意見を支えてくれました。マーケティングや営業の戦略に妥当性があるかどうか判断できるようになると、事業開発などを行うときにできる範囲が広がります」
■ 情報処理試験 プロジェクトマネージャ
森本さん「こちらもマネジメント系の資格です。テンダはグループ会社が大連にあるのですが、開発エンジニア及び製品開発プロジェクトのマネジメントを行うに当たって、管理スキルが非常に役に立っています。ソフトウェアの様に目に見えないものの生産性や品質をどの様に上げていくか学び、さらにプレゼン能力も鍛えられるので、将来的にPMを目指したい人は是非取っておくと良いと思います」
■統計検定三級
森本さん「AI技術が注目を集めています。オリジナルでAIを作っていくためには、統計の知識は抑えていないとアルゴリズム自体が作れません。これからAIの領域を学びたいという人は、先ず統計の勉強から始めるのがおすすめです」
■G検定
芦原さん「テンダ、ITソリューション事業部の事業ドメインに”AIとクラウドによるワークスタイル変革”が掲げられているため、AIに関して基礎的な知識をおさえる為に学習しました。”カンニング可能”な試験でしたが、実際の問題は結構難しかった覚えがあります」
■AWS認定ソリューションアーキテクト
芦原さん「同じくクラウド系の知識を身につけるために取得した資格です。たまたま私の部署で他に取得しているメンバーがいなかったので、実際の提案などに非常に役に立ちました。クラウドを用いた技術を使っていくため、取得しておくと便利です」
狙うべき資格と勉強方法
――改めて、お二人はどのように「今取るべき資格」を見極めていますか?
森本さん「ネットで情報収集することが多いです。10年から20年くらい前に比べると、エンジニアに関係する資格の情報も種類も増えています。自分が勉強したい分野に加え、会社が取得を推奨している資格をチェックしてそれも積極的に勉強しています」
芦原さん「結局エンジニアは、新しい製品を生み出して世の中に貢献したり、お客様に喜んでもらうのが嬉しいんですよね。”怠惰を求めて勤勉に行き着く”……じゃないですが、新しい案件の仕事もパフォーマンスを出せるように先回りして、勉強する取得を見定めています」
森本さん「エンジニアしか出来ないことをやるのが楽しい、というのがモチベーションかもしれません。義務感と言うより、まずは自分がその資格の中身に興味を持てるかが重要ですね」
芦原さん「確かに、興味がないと勉強は続けられないな、と思います。今何を取るべきかも大切ですが、何について学びたいかから考えていくと楽しく勉強できますね」
――ちなみに、今勉強している資格はどのようなものですか?
芦原さん「AWS系の関連する資格を片っ端から取っていこうと思って勉強しています。先程の森本さんのおすすめである統計検定も、AIに絡む資格なので検討中です」
森本さん「今は事業部の中で、RPAで事務処理の効率化を図っていこうという話が出ているので、その辺りの資格を検討中です。あとは、英語や中国語も勉強したいですね……」
――おふたりともお忙しいなかでたくさんの資格を取られていますが、どの様に勉強時間を捻出しているのでしょうか?
森本さん「テンダでは、MBO(通期個人目標)として資格取得が評価に含まれることもあるので、その場合は勤務時間中に勉強することもあります。公的資格の取得を重視している会社の強味ですね。とはいえ、足りない分は土日や業務時間後、過去問題を中心に勉強します」
芦原さん「G検定取得の時は、平日一日30分、たとえばお昼休み中や業務後に時間を取っていました。休日、土日に3時間ずつくらい、2ヶ月から3ヶ月ほどの勉強をしていました。自分が集中できる環境を整えて習慣化していくことが大切ですね」
森本さん「前職ではあまり資格取得を支援する制度は無かったので、テンダがエンジニアの成長・教育を経済的な面で支えてくれているのはすごくありがたいです。いろいろな取得を取ることによって、ビジネスパーソンとしての成長機会も得られます。中村社長いわく、”エンジニアである前にビジネスパーソンたれ”という理念が反映されている気がします」
芦原さん「前職にも資格取得支援制度はあったのですが、テンダのすごいところは、時勢を読んでいま取得しておくべき資格に対するお祝い金を常にアップデートしているところですね。AWS系の資格はもともと報奨金が無かったんですが、必要性を人事のメンバーに伝えたら直ぐに反映されていました。資格に係る書籍や受講料は会社が負担してくれるので、やる気があるとサポートしてもらえる体制は嬉しいです」
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おまけ:例題の解答
□中小企業診断士
答え:ア
ア ○:正しい。企業が提供する製品やサービスはそれらを実現するための手段である。その意味で、製品やサービス自体には、価値の一部しか埋め込まれていないと考えることができる。
イ ×:「提供価値」とは、顧客に提供する本質的な価値のことであるから、消費者が、製品が提供する便益やそれらがもたらす満足に消費の価値を見出すことは正しいしが、製品の「提供価値」よりもデザイン、品質、特徴といった「感覚価値」の検討を重視すべきであるわけではない(まずは提供価値を高めることが重要になる)。
ウ ×:消費者がホテルや鉄道を利用する際に、対価を支払うのは、部屋や列車(座席)そのものに対してではなく、部屋で過ごすことや列車による移動といったサービスに対してである。よって、ホテル業や鉄道業はサービス業と言える。
エ ×:マーケティング視点での製品開発とは、言い換えればニーズ発想の製品開発ということであり、ニーズに応えるためにはどこにコストを使うべきであるかということを優先的に考えることになる。よって、製造コストと販売コストの低減がすべてにおいて優先課題になるわけではない。
□ 情報処理試験 プロジェクトマネージャ
答え:ウ
ア. 「プロジェクト組織の決定」の目的です。
イ. 「プロジェクトチームの管理」の目的です。
ウ. 正しい。「資源のコントロール」の目的です。
エ. 「プロジェクトチームの結成」の目的です。
□ 統計検定
答え:4
1 因果関係とは,2 つの事象について,一方の事象がもう一方の事象の直接的な原 因となっている関係のことであるので,正しい。
2 擬相関とは 2 つの事象の背後に,これらの事象に影響を与える(相関のある)事 象があり,そのために現れる相関のことであるので,正しい。
3 因果関係の有無を調べるには,ある種の介入を対象者にする実験研究を行うと よいので,正しい。
4 相関(関係)があるだけでは因果関係があるとは言えないので,誤り。
5 気温が,アイスクリームの販売数と炭酸飲料の販売数に影響を与え,そのため に現れる擬相関の例であるので,正しい。
□ G検定
答え:(ア)4)探索・推論、(イ)1)Deep Blue (ウ)トイ・プロブレム
【解説】
第一次AIブームは「推論・探索」を元に問題を解くAIの研究が進んだ時代です。
IBMが開発したチェス専用のプログラム「Deep Blue」は、機械が人間に勝利したということで注目を浴びました(ちなみに選択肢2)Bonkras 、3)Ponanzaは、コンピューター将棋のソフトウェア)。
DeepBlueのような劇的な成果もありましたが、それでも「推論・探索」による手法では明確なルールのあるゲームのような問題(トイ・プロブレム、おもちゃの問題)は解ける一方で、現実世界の複雑な問題への対応は難しく、第一次AIブームは終焉を迎えました。
□AWS認定ソリューションアーキテクト
答え:D
キューの受信メッセージ待ち時間の秒数プロパティが 0 より大きい値に設定されている場合、ロングポーリング が有効になります。ロングポーリングでは、メッセージが受信メッセージリクエストに送信されるまで Amazon SQS が待 機できるため、空のレスポンス件数が減ります。
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