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【Jリーグ第13節】磐田 2-1 FC東京

■2022年5月14日(土) 14:00キックオフ
■ヤマハスタジアム(磐田)

自宅DAZN観戦。リーグ戦2連敗とちょっと失速の兆しが見える中でのアウェイ・ゲーム。ゴールが遠く、またケガ人が相次いでいる最終ラインの綻びもあって厳しい戦いを強いられているが、これ以上の連敗は許されない。何とか勝ち点を持ち帰りたい。

前節メンバー外だった長友が左SBで先発、小川がベンチ・スタートとなった。またU21に招集されていた松木が先発を外れ、髙萩が今季リーグ戦初先発。4-4-2または4-2-3-1とフォーメーションも見直し、流れを変えようという意図が見える。

フォーメーション

スウォビィク
中村 木本 岡崎 長友
安部 青木
レアンドロ 髙萩 永井
オリヴェイラ

前半

開始早々の3分、右サイドからのクロスに中央でオリヴェイラが合わせるがDFにブロックされる。序盤から積極的に攻め上がり、右サイドのレアンドロを起点にバイタル・エリアに侵入しようとしている。

東京がボールを握り敵のプレスをかいくぐってパスをつなごうとするが、磐田の守備もタイトで思うようにボールを運べない。何度かカウンターからチャンスを作るが最後のパスが合わずフィニッシュに至らない。一進一退の攻防となる。

前半終了間際の43分、敵陣でのボール・ロストから左サイドの深いところを使われ、戻しのラスト・パスを入れられる。中央でこれにダイレクトで合わされ失点。人数はいたが、下がりながらの守備となったところで中盤を空けてしまった。0-1と先制を許す。

前半はそのまま終了。やはり攻撃がかみ合わず、オリヴェイラがいい形でボールを受けられていない。判断が遅くダイレクトでつなげないのでプレーに余裕がなく、最後の精度を欠いている。チャンスは作れているが最後のところができていない印象。

後半

後半から髙萩に代えて松木を投入。青木をアンカーにした4-3-3にフォーメーションを変更する。また永井とレアンドロが左右を入れ替える。

57分、カウンターでレアンドロが持ち上がり、並走した安部にラスト・パス。安部は敵GKと一対一になるがシュートはGKに当ててしまう。せっかくレアンドロがパスをくれたのにもったいなかった。レアンドロは自分で打てたと思う。

60分、敵FWのカウンターを受ける。対応しようとした岡崎がついて行けず転倒、敵FWはスウォビィクと一対一になったがシュートは枠を外す。胸をなでおろしたが、岡崎がこのプレーで足を傷め担架で退場。

61分、岡崎に代えて小川を投入。小川は既にアップを終えてタッチ・ラインで待機しており、本来はおそらく長友との交代の予定だったのではないかと思うが、アクシデントによりCBに入る。

激しい主導権争いが続くが決め手を欠き、中盤でのつばぜり合いに。ビハインドを背負う東京の方がしかけなければならず、松木がマメにボールに触ってリズムを出すがフィニッシュまではなかなか持ちこめない。

69分、永井と長友に代えて紺野と渡邊を投入、そのままのポジションに入る。紺野がアクセントとなって攻撃が活性化し、東京が押し気味に試合を進めるようになるが磐田の守備も固く中央をこじ開けることができない。

76分、青木に代えてアダイウトンを投入、安部と松木のダブル・ボランチとなり再び4-2-3-1に。レアンドロがトップ下にスライドし、アダイウトンは左ウィングに。

すると79分、右サイドの紺野がドリブルで中に持ちこみ、左サイドのアダイウトンに横パス。これを受けたアダイウトンが持ち出し、巻いたコントロール・シュートを放つとボールは弧を描いてファーに決まりゴール。1-1と同点に追いつく。

その後は互いに勝ち越しを狙うややオープンな展開になるが、88分、押しこまれてゴール前に攻防となり、エリア内にこぼれたボールをクリアできないまま右サイドに展開される。これを冷静に流しこまれて失点、土壇場で1-2と再びリードを与えてしまう。

アディショナル・タイムは6分あり、敵GKの負傷治療などもあって99分まで試合は続いたが結局ゴールはなく1-2で試合は終了、東京は3連敗となってしまった。

戦評

磐田がそこまでよかったわけではなく、つけいる隙は十分あったと思うが、攻撃面で最後の精度を欠きチャンスを生かしきれない流れが続いている間に、もともと脆弱さを抱えている守備面がもちこたえられず失点、後半選手交代で主導権を握り追いついたものの、終了間際に再び失点で勝ち点を手放した試合。

数字を見れば、シュート数6-8、CK7-6と互いにフィニッシュまでもちこめない膠着した試合だったことがわかる。ポゼッションは65-35としているスタッツもあり、東京がボールを握っていたことは間違いないが、それをどうフィニッシュまでつなげるかという点ではまだまだ道半ばというしかない現状が透けて見えるようだ。

それでも前にボールをつけ、ポジションを流動的に交換しながら押し上げて行く意識自体は継続して見えており、それが行き詰まったときに昨季までのレガシーであるカウンターや個人技でとりあえずつじつまを合わせる戦い方が開幕当初より後退しているゆえの攻撃力、得点力低下なのか。そこがちょっと見えない感じがするが、アルベル流だけで結果を出し続けるには足りないものが多いのは間違いない。

加えてCBにケガ人が相次ぎ、攻撃面でのチャレンジを下支えするだけの後方のサポートがうすくなっているのも不調の原因ではある。森重、トレヴィザンが相次いで離脱、下がりながらの守備でもなんとか失点を防ぐDFとしての個の強さはもちろん、ビルドアップにおいても戦力がダウンしているのは否めない。

ビルドアップではここ2試合先発した岡崎がよさを見せていたが、この試合で負傷退場となっており頭が痛い。重傷でないことを祈りたいがスプリントをかけようとしたところで崩れ落ちた倒れ方や、もともと膝に痛みを抱えていることを考えても早期の復帰は難しいかもしれない。

やろうとしていること自体はおかしくなく、ただその結果がある程度形になってくるまでにもリーグ戦はいやおうなく進んで行くので、チャレンジするための「場」を確保するためには内容とは別にそれなりの結果を出し続ける必要がある。開幕当初はそのバランスが取れていたが、ここにきてチャレンジと実際の結果の順番が微妙にくずれてしまったように見える。

今季はそういう難しいシーズンであるという覚悟で始めているはずで、目先の結果に一喜一憂はしたくないが、連敗になると心穏やかでないのは人情としては当然。選手も監督も、クラブもサポもいろいろしゃべって、この状況をどう受け止めるのか、何を変え何を残すのか、ガチャガチャと声を上げ続けることが重要だと思う。

もちろんそのすべてが正しいわけでもなく、なにか魔法のような特効薬があるわけでもないが、今季の東京の戦いはそうしたいろんな声を受け止めるだけの期待感がある。こうした中から「なるほど、こういうことか」という戦い方の道筋が少しずつ見えてくるのだと思うし、そこに至る過程で何かを否定したり貶めたり、ムダに悲観的になったりする必要はない。世界はまだ終わっていない。というか旅は始まったばかりだ。

週央にルヴァンカップの消化試合をはさんで週末にはリーグ戦とまだしばらく試合が続く。このルヴァンカップをどう戦うかは結構大事な機会かもしれない。後押ししたい。

13試合を終えて5勝5敗3分と勝敗ベースで五分になった。勝ち点は18(1試合あたり1.38)で順位は暫定ながら7位。4位から11位までが勝ち点3の混戦となっており、これ以上の後退は危険。チャレンジを続けながら目先の結果にもこだわる、難しい戦いを覚悟しなければならない。

評点

[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
スウォビィク(3.5) ノーチャンスの失点シーンが増えてる気はする。
中村(4) 攻守でひたむきにチャレンジし続けた。
木本(3.5) 負担がかかっているのがわかる。ケガだけは避けて。
岡崎(4) パスセンスはいいのだが。ケガがマジ心配。
長友(4) 1失点めではポジションを空けてしまい対応に失敗。
青木(4) バランサーとして代えの効かない動きが尊い。
安部(3.5) あのシュートを決められるようになれば代表。
レアンドロ(3.5) 持てばチャンスを作れるがやや迷いがあった。
高萩(4.5) 敵もタイトで出せるアイデアが限られた。
永井(4) なかなか使ってもらえなかったが貢献は大きかった。
オリヴェイラ(4) いい形でボールを受けられず。ゴール欲しい。
===
松木(3.5) いないことで価値を示した。推進力をもたらした。
小川(4) CB起用となったが余裕が持てる局面ではセンスが生きる。
渡邊(3.5) 動きを作り出した。彼の使いどころはどこがベストか。
紺野(3) プレーの選択肢がなにげに増えてて驚いた。
アダイウトン(3) 尊い。磐田サポにも愛されている。

古巣相手にゴールを決めたアダイウトンがゴール・セレブレーションをしなかったのが印象的。試合後には磐田ゴール裏にも挨拶に行っていた。かつて磐田から神戸に移籍した伊野波が、磐田戦の終了後に「Thank You 伊野波」という横断幕を見てゴール裏に挨拶に行ったら、最大級のコールと拍手で迎えられ男泣きしたエピソードを思い出した。そういうクラブなのだ。


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