見出し画像

【天皇杯3回戦】FC東京 1-2 千葉

■ 2024年7月10日(水) 19:00キックオフ
■ フクダ電子アリーナ

5日間に2回の千葉県への遠征である。仕事を終えてから総武線と内房線を乗り継ぎ、なんとかキックオフまでにフクアリにたどり着いた。天皇杯3回戦、ACLにもつながる大事な大会だが、下位カテゴリーのクラブとの対戦はいつもむずかしい。

直近のリーグ戦である週末の柏戦から中三日、安斎、高、オリヴェイラがベンチ外、小泉、俵積田がベンチスタートとなる一方で、東慶、遠藤、シルバらが先発、野澤零がベンチ入りするなどターンオーバーを行った。


布陣

波多野
中村 森重 岡 長友
東慶 原川
遠藤 松木 シルバ
荒木

前半

試合は出足よく前線からのプレスを敢行する千葉に対し、東京がボールをもてあまして自陣でバタつく展開に。東京はハイラインかつコンパクトに構える千葉に対しボールの出しどころを見つけられず、攻撃は散発。

22分、原川の右CKに森重が頭で合わせるがファーにはずれる。直後、シルバが敵陣でひっかけたボールを松木が右サイドでフリーの遠藤に展開、遠藤がシュートを放ち、ボールは枠に飛んだが敵DFにブロックされる。

38分には中盤でルーズになったボールを遠藤が拾い、松木からのリターンを受けて中央に入りこみシュートしたが大きく上にはずれた。43分、左サイドに開いた遠藤からペナ角でパスを受けた原川が狙ったが枠に飛んだシュートはGKにセーブされる。

主導権は握れなかったが、千葉の攻撃は波多野の好セーブもあってしのぎ、スコアレスで前半を折り返した。前プレを受けてけったボールを回収される繰り返しで苦しい展開だが、後半強度が落ちたところでチャンスはある。やり続けたい。

後半

後半は立ち上がりから東京がギアを上げて攻めこむ展開に。49分、シルバが前線の松木に縦パスを通すと、これを受けた松木が反転から前に持ち出してシュート。これが決まって東京が1-0と先制する。DFにからまれたが強引にシュートまでもちこんだ。

直後の51分には波多野からのフィードを荒木が受けて右サイドの遠藤に展開、遠藤がシュートを放ったが上にはずれた。59分、敵陣でルーズボールに競り勝った松木が右サイドの遠藤にパス、GKとの一対一になったがシュートは枠をとらえられず。

この時間帯は先制の勢いを駆って前がかりにたたみかけ、遠藤がいいポジショニングからシュートまでもちこんだが追加点は奪えなかった。68分、東慶、遠藤、シルバに代えて小泉、野澤零、俵積田を投入、野澤零は右ウィングに入った。

71分、松木が右サイドの裏に出したボールを野澤零が拾い持ちあがってシュート、枠に飛んだが敵GKにセーブされた。73分には左サイドの俵積田がゴール前にクロスを流しこみ、走りこんだ松木がニアで引っかけたがわずかにゴール左にはずれた。

すると79分、中盤でルーズになったボールを縦につながれ、エリア内で反転からのシュートを決められてしまう。DFが対応したがすきまを通され1-1と試合は振り出しに。寄せきれずするするとつながれてしまった。

86分には左サイドからドリブルできれこんだ俵積田がシュートを放ったがDFにブロックされる。その後もボールを握って攻撃をしかけたがFK、CKのチャンスにも決めきれず。主導権を握り先制したが痛恨の失点で追いつかれ1-1のまま試合は延長となった。

延長

ところが延長前半開始早々の91分、右サイドからのシュートを波多野がセーブしたが、ゴール前にこぼれたボールを押しこまれ失点、1-2と逆転を許す。人はそろっていたがゴール前で一歩先に足を出された。

96分、長友と荒木に代えて徳元と仲川を投入、必死の反撃を試みるが焦りも出てフィニッシュまでもちこめない。105分、右のペナ角外でFKを得て原川が直接狙ったがボールは落ちきらずバーの上に。

そのまま延長後半に入り、111分には原川に代えて木本を投入、岡を前線に上げてパワープレーを試みたが奏功せず。逆転されてからは再び千葉のペースになってしまい逃げきられる形で1-2の敗戦、4回戦にコマを進めることはできなかった。

戦評

前半は千葉の勢いに押されたがなんとか無失点でしのぎ、後半は修正して立ち上がりに先制、その後も主導権を握って試合を進めた。しかし終盤に追いつかれて延長に入ると、延長開始早々に逆転を許し、そこから挽回することができず、3回戦で天皇杯敗退となった。

シュート数15-16、CK10-8、ポゼッション51-49とトータルでは五分だったが、後半のよかった時間帯に追加点を取れなかったことで終盤にリスクを持ちこす形になってしまった。後半からの修正で内容的に悪くはなかったと思うが、結果がすべてのトーナメントとしては詰めが甘かった。

これで公式戦3連敗となり、結果が出ない苦しさはもちろんあるが、この日も下位カテゴリーの千葉にしてやられたのは、失点を嫌うあまり過度に慎重になっていることが背景にあるのではないかと思った。セーフティ・ファーストの戻しややり直しが多く、リズムを作れなかった。

戻せば安全だが敢えて前に刺せば50%の確率で大きなチャンスになるというとき、勇気を持って前を選べというのが今のスタイルだと思うが、それができていない選手が多いように思う。これは勝てていた時期に失点が多いことが問題になり、それに取り組んだ副作用ではないか。

森重が自陣で敵のプレスを切り返そうとして奪われて失点したシーンや、野澤大が前につけようとして敵にさらわれそのまま失点したシーンなど、今季の失点には勇気をもってチャレンジしたことが裏目に出たものが少なくない。

これを減らそうとして慎重で安全なプレー選択をするようになると、前でのチャンスは必然的に少なくなり、得点力も落ちてしまう結果になっているような気がする。裏目に出たことを結果論で責められるのでは、だれもリスクを取ったチャレンジなどできなくなる。

リスクを取って前にベクトルを向かせるためには、確かな技術と強い精神力、そして仮に裏目に出ても互いにカバーし合えるという選手の間の信頼感、さらには裏目に出たチャレンジを非難するのではなく評価することのできるサポの力などがぜひとも必要である。

松木、荒木、仲川らは、技術に自信をもちしっかり前を向けていると思う。プロなのだから裏目に出たら批判も甘んじて受ける覚悟でリスクを取れというのはそのとおりだが、チームが慎重さに振れていると無難な選択をしてしまうこと自体は理解できる。我々自身が「裏目上等」のサポートをしなければならない。

その上でチャレンジを単なる無謀ではなく、確率的に計算できるところまで技術を高め精度を上げる取組や、選手相互の間での連係の向上などやるべきことはまだまだ多い。そのうえで勇気をもって縦につける、自陣でも落ち着いて切りかえし敵の前プレをいなす、逆に取りきる覚悟で前プレを敢行する、そこにいると信じてフリックするなど、うまく行っているときにはできていることをあらためて確認したい。

リスクを取ってベクトルを前へ。内容的にそこまで悪い試合ではなかったが、勝ちきるという点において下位カテゴリーのクラブにかなわなかったことは言いわけできない。週末のリーグ戦に向けてまたひとつ課題が積みあがった。これで今季はリーグ戦に集中するほかなくなった。

評点

[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
波多野(4.5) いいセーブもあったが2失点は痛恨。
中村(5) 上がった裏を再三使われた。
森重(5) 強引なプレーが増えてないか。
岡(5.5) ハイプレスを受けてバタついた。
長友(5) 存在感を示せなかった。
東慶(5) 中盤を落ち着かせられなかった。
原口(4.5) 好調を維持、緩急をコントロールした。
遠藤(4.5) どれか一本は決めたかった。
松木(4) チームの矢印を前に向け続けた。
シルバ(5) いいプレーもあるがムラがある。
荒木(5) もともとポストプレーヤーではない。
===
小泉(4.5) 後半の盛り返しを支えた。
俵積田(5) サブで出てくることの価値がある。
野澤零(5) リーグ戦でも選択肢になり得る。
仲川(5) 流れを取り戻せなかった。
徳元(5) 好調を維持、信頼性が高い。
木本(-) 時間短し。

延長になれば6人、脳震盪者が出ればもっと交代の可能性があるのだから、ベンチ9人制を導入してほしい。あと、千葉が黄色なのだから、柏戦と同じように青赤のファーストユニを着用してほしかった。洗濯したのが乾かなかったのか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?