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【Jリーグ第13節】FC東京 3-3 柏

■ 2024年5月11日(土) 17:00キックオフ
■ 味の素スタジアム

ヴェスパで味スタへ。五月晴れとなった土曜日だが、体感は見た目ほど暖かくない。17時キックオフということもあってだんだん涼しくなった。

首位とは勝ち点差4に迫っており、ここで勝ち点3をしっかり積み上げたいが、連勝中とはいえ内容的にはあまりいいとはいえず、また負傷者も多く楽観できる材料はむしろ少ない。勝ち筋は十分あるがラクに勝てる試合ではない。

小泉が警告累積で出場停止となる一方、U23アジアカップから凱旋した松木が戦列に復帰しボランチで先発。また前節ベンチスタートだった白井が右SBで先発、代わって長友が控えとなった。荒木、野澤大はベンチ入りせず。


布陣

波多野
白井 森重 トレヴィザン バングーナガンデ                   高 松木
安斎 仲川 俵積田
オリヴェイラ

前半

立ち上がりの2分、仲川が自陣でボールを受け、出しどころを探してドリブルしたところにプレスをかけられてボールを失うと、これをゴールにけりこまれていきなり失点。先制を許し0-1からのスタートとなる。ボールの逃がしどころを失って危ないエリアに運んでしまった。

しかし6分、右CKをショートでリリース、俵積田が運んでエリア内にクロスを入れるが敵DFがクリア、こぼれ球をトレヴィザンが頭で押しこもうとしたがGKにセーブされる。さらにこのボールを仲川が頭で決めようやくゴールに。1-1と同点に追いつく。仲川は自分のミスからの失点を自ら取り返した格好に。

その後は、追いついて息を吹きかえした東京がボールをもって攻撃をしかける流れとなるが、流れのなかからは大きなチャンスをつくれず一進一退の攻防に。すると30分、安斎がバングーナガンデのクロスに合わせようと右サイドからエリア内に進入したところで敵DFに倒されPKを得る。

このPKをオリヴェイラがいつものアレで冷静に決め、東京が2-1と逆転する。最近はかなり安心して見られるようになったがふつうに気持ちよく決めてくれないか。オリヴェイラは4試合連続のゴールとなる。

さらに37分、左CKをバングーナガンデがけると、いちどはDFにクリアされるが、このこぼれ球を松木がエリア外からダイレクトボレーでシュート、これがネットに突き刺さり東京が追加点を挙げる。3-1と2点差に。

これで勝ったと確信したが、アディショナルタイム、森重が自陣エリア前で敵FWのプレスを切り返してかわそうとしたところをつつかれボールを失う。波多野が猛然と飛びだしたがボールにプレーできず敵FWを倒してしまい決定的得点機会の阻止で退場に。

VARチェックも入ったが判定は覆らず、やむなく、仲川を下げて児玉を投入。前半はそのまま3-1で終えたが後半は10人で戦うことになる。波多野は今季二度目の退場で前回も同じようなプレーによるもの。後半は神経質な戦いになるが意思統一を図りたい。

後半

しかし後半は立ち上がりから柏が圧力を高めてくる。46分、中央から40メートル近くあると思われるロングシュートを決められ3-2と1点差に。一人少なくなったうえ、この立ち上がりの失点で動揺したことは否定できない。

敵をほめるべきシュートだが、前後半とも立ち上がりに失点しておりなんとかならないのかと思う。児玉が反応したが手が届かなかった。悔やまれる失点。その後も柏が傘にかかって攻撃をしかけ、東京は自陣で守備に追われる時間帯となる。

58分、エリア内からのシュートを児玉がセーブするが、このこぼれ球を至近からダイレクトで押しこまれ失点、3-3と同点になってしまう。一人少ないとはいえ跳ね返すだけの守備になり波状攻撃を浴びたなかで必然的に押し負けた。イヤな雰囲気になる。

その後も柏の攻撃を受ける時間が長く、攻撃は散発に。なんどかカウンターのチャンスはあるが攻撃に避ける人数が限られており決めきるのはむずかしい。

72分、俵積田とオリヴェイラに代えて長友と原川を投入、長友は右SBに入り白井が右SHに、安斎が左SHにスライドする。また原川はボランチに入り松木を1トップに。引き続き柏優位の時間が続くが、中央を固めて守る一方、柏の精度も高くなく救われる。

89分、トレヴィザンが敵との交錯で傷み担架で退場。トレヴィザンとバングーナガンデに代えてシルバと木本を投入する。白井が右SBに戻り長友が左SBに、安斎が右SHに戻りシルバが左SHに入る。トレヴィザンのケガが心配だ。

7分のアディショナルタイムもなんとかオープンにならずに守りきり3-3で試合終了。後半はほぼ守勢だったが前半の貯金で勝ち点1をギリ勝ちとった。

戦評

いきなり1点のビハインドからのスタートとなったがすぐに追いつき、前半のうちに3-1と逆転したまではよかったが、波多野の退場で暗転、後半も立ち上がりからたて続けに2点を献上して同点にされた。その後はなんとかしのぎきり引き分けで試合を終えたが、自滅で勝ち点2を失うことになった。

シュート数8-16、CK5-5、ポゼッション48-52となっているが、東京は後半シュートがなく、前半と後半でまったく違う試合になってしまった。一人少ないという意識が強すぎてそれに乗じる形で後半立ち上がりから柏に圧をかけられたように見えた。

前半の立ち上がりは仲川の自陣でのキープを奪われ、波多野の退場となったシーンも森重が自陣で切り返しをひっかけられたところからだったが、もともと簡単にボールをけらずに自陣から敵のプレスをはがしながら前進するコンセプトなのだから、裏目に出ればこういうことになるのは初めから織り込んでいるはず。

うまく行けば敵を後ろに置いて前にボールを運べ、そこで数的優位を作れるのだし、そのベネフィットも受けているのだから、たまたま裏目に出たときだけそれを批判するのは筋が違う。これまで森重が切り返してプレスをはがし、そこから見事なフィードで展開したことはなんどもあった。ひとつのミスはその対価にすぎない。

ベネフィットとリスクが見合わないというのならともかく、ベネフィットはいただきでミスだけを批判することにはあまり意味はなく、リスクが顕在化した時のカバーをどうするかを考えるべき。

この試合なら、仲川がもったボールをだれが受けるのか、森重が奪われたあとの波多野の飛び出しが妥当だったのか、そちらの方を問題にしなければならないだろう。

立ち上がりに先制されながらも、動じることなくすぐに追いつき、前半のうちに逆転できたことや、後半追いつかれたあとズルズル行かず踏みとどまって最低限の勝ち点1を死守したことは進歩であり成長だと思う。

しかし一方で、前後半とも立ち上がりの失点や、一人少なくなったあとナーバスになりすぎて後半たて続けに失点したことなどまだまだつたない部分も多く、勝ち点2という高い授業料を払った試合となった。

これで13試合を終え6勝3敗4分で勝ち点22(1試合あたり1.69)となり、順位は暫定で3位となっているが未消化の他クラブの結果次第ではわからない。今日の勝ち点1を意味あるものにするためには次のアウェイでの名古屋戦に勝たなければならない。

評点

[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
波多野(5.5) 飛び出しが不用意。今季二度目は言い訳できない。
白井(4.5) 後半は守備に追われ持ち味出せなかった。
森重(5) 痛恨のボールロスト。それ以外は手堅くかったが。
トレヴィザン(4.5) 積極的な守備で窮地をしのいだがケガが心配。
バングーナガンデ(4) 前半は思いきりのよさでチャンスにからんだ。
松木(4) 常に矢印を前に向けた。皇帝の帰還。
高(4) 東京の心臓部。預けて安心。
安斎(4.5) ポジションを変えながら身体張った。
仲川(4.5) ボールロストは責められない。交代残念。
俵積田(4.5) もう少し引っ張れなかったか。
オリヴェイラ(4) 好調を維持。PKで4試合連続ゴール。
===
児玉(4) 2失点は残念だがその後をしっかり守った。
原川(4.5) 守備に追われて持ち味出せず。
長友(4.5) 彼が入って攻守のバランスが改善。
シルバ(-) 時間短し。
木本(-) 時間短し。仕事はした。

荒木の復帰を待ちたいがどこで使うか。次の試合は水曜日、英国週間が続く。

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