見出し画像

【天皇杯3回戦】FC東京 2-3 長崎

■2022年6月22日(水) 19:00キックオフ
■トランスコスモススタジアム長崎

遠方での平日の試合にもかかわらずスカパーで中継がないので久しぶりに見られないかと思ったが、長崎のスポンサーであるジャパネットたかたのグループ会社が経営するBSチャンネルで中継してくれて見ることができた。感謝しかない。

スウォビィクとオリヴェイラがベンチ外となり、負傷から復帰したトレヴィザンを先発起用。木本、青木がベンチ・スタートに。また代表から帰ってきた長友が右SBで先発した。

フォーメーション

波多野
長友 森重 トレヴィザン 小川
渡邊 東 安部
紺野 アダイウトン レアンドロ

前半

試合はいきなり動く。右サイドの深いところまで持ち上がった渡邊が深いところからクロスを入れると、ファーで待ち構えたレアンドロがダイレクト・ボレーで強烈なシュートをたたきこみ東京が1-0と先制する。奥まで持ちこんだ渡邊もよかったが、レアンドロの技術の高いシュートが眼福すぎた。

その後も地力に上回る東京がボールを支配、敵陣で波状攻撃をしかけて追加点を狙う。しかし14分、ドリブルで持ち上がった敵MFを止められず、そこから左サイド裏にスルー・パスを出される。深いところからクロスを入れられると、敵FWがファーでこれをワントラップ、そのままボレーで決められ失点。1-1と同点にされる。

さらに32分、敵CKからのクリアボールが後ろにこぼれたところに敵DFが詰めエリア外から強いミドル・シュート。これが低い軌道でそのままゴールに突き刺さり失点。1-2と逆転を許す。ふつうならフカす系のシーンだが、抑えの効いた素晴らしいシュートで敵をほめるべき。せっかく先制したのに20分弱の間に逆転され脱力。

押しながらもビハインドを背負う流れにイヤな感じがしていたが、前半アディショナル・タイム、右サイドからのFKが敵GKにパンチングされたルーズ・ボールをアダイウトンが胸でワン・トラップ、そのままボレーでけりこみゴール。なんとか前半のうちに2-2と同点に戻した。これもまた素晴らしいゴールだった。

レアンドロ、アダイウトンの決定力で同点にはしているが、ボールを持ちながらもなかなか決めきれず、逆に2点を失ったのはつたない。後半の早い時間帯に再逆転して試合をクローズしたいところ。

後半

後半に入っても東京がボールを支配し、紺野、レアンドロのしかけから形を作ろうとする流れは変わらないが、長崎の守備は固くゴールを割ることはできない。優位に試合を進めながらも、コンパクトにブロックを形成する長崎に対して有効な崩しができずゴールが遠い状態。それもだんだん遠のいて行くように見える。

75分、渡邊に代えて髙萩を投入。髙萩はそのままインサイド・ハーフの位置に入った。髙萩は左サイドで高めの位置を保ち比較的自由にプレーしていた印象。その後も東京が攻める時間が続くがなかなかフィニッシュにもちこめない。

85分ごろ、敵DFがおそらく筋肉系のトラブルとみられる負傷で退場、既に3回交代を行っていた長崎は、交代枠自体はあと1を残しつつも投入ができない。東京が一人多い状態となる。

アディショナル・タイム、敵FWと競ったトレヴィザンが左肩を負傷。今季左肩の脱臼で離脱して戻ってきたばかりだったが、どうも同じところを負傷したらしい。トレヴィザンはトレーナーに支えられて泣きながら退場、木本が交代で入った。ちょっといたたまれない感じ。結局2-2のまま後半を終了、試合は延長に。

延長

週末にはアウェイでのリーグ戦が控えており蒸し暑いコンディションのなかでの延長戦は避けたかったがしかたない。延長開始のタイミングで長友とアダイウトンに代えてバングーナガンデと永井を投入。永井はそのままトップに、バングーナガンデは左SBに入り小川が右SBにスライド。

東京は攻撃の圧を上げ、バングーナガンデを効果的に使いながらサイドからの攻撃を試みるが中央では長崎の守備も厚く、また高さのアドバンテージもなく、ボールを圧倒的に支配しながらも決めきれない。

99分、足をつった東に代えて青木を投入。この交代の際にナゾの空費時間があったのだがよくわからなかった。しかしこの空費のせいと見られる延長前半のアディショナル・タイムに悲劇が起こる。

ずっと敵陣でボールを保持していた東京がロスト、カウンターを浴びる。左サイドを持ち上がられ、中へ切れこんで最後はファーのネットへミドルを決められる。バングーナガンデがついて行ったが止められなかった。延長に入ってから2-3と勝ち越しを許し厳しい感じになってしまう。

延長後半から紺野に代えて安田を投入、前に圧力をかけて最後までゴールを狙いに行ったがほぼフィニッシュまで行けず、結局2-3で痛い逆転負けを喫してしまった。これで今季はルヴァンカップも天皇杯も終了、リーグ戦しかなくなってしまった。

戦評

地力では東京が優っており、シュート数16-9、CK16-5と敵陣で攻撃をしかける時間が長かったが、流れから崩すシーンは結局序盤しか見られず、試合が進んで長崎が東京の攻撃に慣れるとともに、ボールは支配しながらもチャンスは減って行った。

内容的には悪くなく、少なくとも週末の湘南戦よりは人もボールも動き、チャンスを作ることもできていたし、2ゴールを挙げることもできていたが、相手がどこであれ3点を失うとさすがに勝つのは難しい。週央の試合で120分の全力投入を余儀なくされたうえ敗戦、加えて戦列に復帰したばかりのトレヴィザンを失ったことは大きなダメージだ。

この試合に関しては、この調子ならゴールはいずれ生まれるというナゾのおごりがチームにもサポにもあったような気がして、リスク管理がややルーズになったのはあるかもしれない。

どんなにボールを持っていてもロストしてカウンターを浴びたりセット・プレーを与えたりすることはあるわけで、それに備えたあたりまえのリスク管理はどこのチームでも最低限の約束ごととしてあるはずなのだが、それが発動できなかった感があった。

特に久しぶりの試合となったトレヴィザン、代表から帰ってオフ明けの長友、攻撃に特徴を見せたバングーナガンデらの守備に危うさがあったように見えた。トレヴィザンのケガも裏を取られそうになったところを競りに行ってのもので、結果的にファウルを取られ警告を受けている。ケガは本当に気の毒だが、試合勘に不足があったかもしれない。

ここからはもうシーズン後半となるリーグ戦にすべてを投入するしかなく、いいわけの利かない戦いとなる。季節的にも消耗戦であり、これまでの戦いを踏まえて内容をよくしながら結果も相応に求めるというむずかしい舵取りが求められるだろう。

やろうとしていること自体はおかしくなく、今日の敗戦でなにもかもが無に帰するわけではないが、逆になにを積み上げて行けば目指すものに近づけるのかはそろそろ整理して考えてみた方がいいかもしれないと思う。

評点

[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
波多野(4.5) セーブもあったが3失点はGKとして評価できない。
長友(5) しぼりすぎてファーを使われるケースが散見された。
森重(4.5) リスク管理を徹底できず、守備の崩壊を招いた。
トレヴィザン(5) ブランクの影響は大きかった。復帰を待つ。
小川(5) プレーに冴えがなかった。自重したか。
渡邊(4) ゴールにつながる動きはできたが後ろを空けた。
東(4.5) ボランチが板についてきた。いい縦が出る。
安部(4) さすがに日曜日は休養か。故障が怖い。
紺野(4) キレていた。ただ左足のミドルは警戒されている。
アダイウトン(3.5) ナイス・シュート。FWとしての仕事はした。
レアンドロ(3.5) ダイレクト・ボレーでまた伝説を作った。
===
高萩(4.5) 今イチ存在感を出せなかった。
木本(4.5) 緊急発進。いてくれてよかった。
バングーナガンデ(5) 決勝点を止められなかったのは痛恨。
永井(5) 特徴を生かせなかった。
青木(-) 時間短し。
安田(-) 時間短し。

中継の解説が石川と徳永だったのがすごくよかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?