【Jリーグ第25節】FC東京 4-0 C大阪
■2022年10月12日(水) 19:00キックオフ
■味の素スタジアム
急に雨模様になり心配したが傘なしで味スタにたどり着き、試合中も降らなかった。なんとか職場をぬけだして味スタに向かうのも今季はこれが最後。
台風の影響で延期になった第25節の調整日程。前節はホームで湘南に不覚を喫したが、今節は勝ち点差4で追う直上のセレッソ大阪との直接対決であり、わずかながら可能性の残るACLのためにも連敗は許されない。
中三日での連戦とあって、安部に代わって前節途中出場だった松木が、また左ウィングにはレアンドロに変わってアダイウトンが先発した。右SBの長友もベンチ・スタートとなり、中村が先発した。
フォーメーション
スウォビィク
中村 木本 森重 バングーナガンデ
塚川 東 松木
渡邊 オリヴェイラ アダイウトン
前半
立ち上がりにいきなりピンチを迎える。6分、左サイドを縦に通されそこからクロスを入れられるとファーに走りこんだ敵FWがフリーでシュート。枠を外れたが決定的な形で命拾いした。
そこからは東京がボールを握りコンビネーションから敵陣に攻め上がる展開に。東京のプレー強度が高く、出足のいいプレスで敵のボールを奪取、セカンド・ボールもしっかり収めながら主導権を握る。
攻撃の形は作りながらもなかなかフィニッシュまで持ちこめない時間が続くなか、27分、松木が中盤から前線中央へ縦パスを通すと、オリヴェイラがこれをスルー、ファーの渡邉が左足で流しこもうとしたが惜しくも左ポストをヒット。さらにこぼれ球にアダイウトンが詰めたがこれも同様に左ポストをヒットする。決定機だった。
さらに41分、左サイドからバングーナガンデがクロスを入れると中央にアダイウトンが飛びこみ頭で合わせるが枠外に。さらに44分、アダイウトンが左サイドからドリブルで切れこみシュートを放つがこれも枠を外れる。スコアレスのまま前半を終了。
ボールを握り前を向いて戦う姿勢ははっきりしており、実際にチャンスも作れているが決めきれなかった。前半のうちにリードしておくべき展開だったが、後半修正してくる敵に対して後手に回らず主導権を握ったまま戦いたい。
後半
後半開始早々の48分、アダイウトンの落としを受けたバングーナガンデがアーリー・クロスを放りこむ。ファーでこれを受けた渡邊がワン・トラップで置き直し、そのまま左足でファーへ巻いたシュートを狙うとこれが決まって1-0と先制。きれいなゴールだった。
その後はポゼッションをややC大阪に譲ったものの主導権は渡さない。一進一退の攻防となるがアドバンテージを得て東京が優位に試合を進める。
75分、オリヴェイラとアダイウトンに代えてフェリッピと紺野を投入。フェリッピはトップに、紺野は右ウィングに入って渡邊が左にまわった。
76分、右サイドの中村がファーにクロスを上げると、渡邊が右足のダイレクト・ボレーで合わせる。これがワン・バウンドしてGKのニアを抜きゴール。渡邊のこの日2得点目で東京がリードを2-0と広げる。
さらに77分、右サイドで紺野がキープしたボールを塚川に預けると、塚川がワンタッチで柔らかいクロスをゴール前に上げる。中央の渡邊が頭で合わせるとこれも決まり3-0に。ほぼ試合の趨勢は決してしまった。
81分、塚川、渡邊に代えて安部、レアンドロを投入。すると83分、安部が右サイドで紺野とのワンツーから裏に抜け、深いところから中央へクロスを送ると、ニアに走りこんだフェリッピが軽くひっかけてそのままゴールに。4-0となり試合は決まったといっていいだろう。
85分、東に代えて木村を投入、森重を中央に置いた3バックに移行し、3-4-3のフォーメーションとなる。89分、レアンドロからパスを受けた松木が持ち出してミドル・シュートを放つが敵GKにセーブされる。
アディショナル・タイムには安部のスルー・パスから裏に抜け出したフェリッピが持ち上がり、最後は並走したレアンドロに横パスしてGKをかわし、レアンドロが流しこんだがオフサイドの判定。フェリッピは自陣からスタートしたようにも見え、オフサイドの判定は微妙だったがVARチェックの結果ゴールは認められなかった。あとフェリッピからレアンドロへのパスもオフサイドあったかも。
終了間際にはバングーナガンデのクロスにファーの紺野がダイレクトで合わせようとするが空振り、こぼれに松木がバイシクルで合わせたがミートしきれずボールは敵GKがキャッチ。結局終盤まで押しこんだ東京が4-0でC大阪に快勝した。
戦評
前半はボールを支配して攻撃的にしかけたが、シュートが2本続けてポストに嫌われるなど決めきれず。勝ち筋を逃してしまう懸念もあったが、後半立ち上がりに渡邊のゴールで先制すると、我慢の時間もありつつ終盤立て続けに追加点を挙げて一気に試合を決め、上位進出に希望を残す重要な勝ち点3を得た。
シュート数17-6、CK1-1、ポゼッション54-46と、ボールを支配しながら主導権を握って試合を進めたことが数字からも窺える。この試合ではプレスされても怖れることなくパスをつなぎ、敵の守備網をかいくぐって前進することができていたし、敵ボールにも果敢にチャレンジして取りきるプレッシングが機能しチャンスに直結していた。
ボールを保持することを攻撃からゴールにつなげる意識が明確で、ミスやボール・ロストもあるがやるべきことの方向感がはっきりしているうえに、それがチームで共有されているので、いるべきところに人がいてボールが動くという今季目指すものにかなり近づいた感があった。
前節、敵の強度の高い前プレと強固なブロックに特徴を出せず、まだまだ課題が多いこともあらためて思い知ったわけだが、その4日後にこれだけ強度の高いプレーで課題への取り組みを見せられたことは今のチームの状態や監督の戦術の浸透を見るようで頼もしかった。
SB、インサイド・ハーフ、ウィング、トップのそれぞれに質の高い競争があり、選択肢があることも大きいし、CBも木村のレンタル・バックで形が整った。アンカーは青木の状況がわからないが、東の充実は嬉しいし今のチームを支えていると思う。
まだまだ完成にはほど遠いが、シーズンの修了試験だと勝手に考えている残り6試合をここまで3勝1敗。課題を明らかにしながらも進歩を見せ、やりたいフットボールを表現しつつそれなりの結果を出せているのは地力がついてきた証拠と見てもよいのではないか。
この試合では渡邊が素晴らしかったのはいうまでもないが、森重、東といったベテランが鬼気迫るパフォーマンスを見せてチームを引っ張った。渡邊は試合によっても、また試合のなかでもいいプレーとクレバーさと技術が空回りするプレーのムラがあると思っているが、この試合では高い集中力でしっかり答えを出した。
渡邊を81分で交代させたのはサポから祝福を受ける機会を作るためのアルベル監督の配慮だと思うが、僕がいたバックスタンド上層では立ち上がって拍手する人が少なく残念だった。決勝点を含むハットトリックを決めた選手なのだから満場のスタンディング・オベーションで花道を送り出したかった。
東京はこれで戦績を14勝11敗7分とし、勝ち点を49(1試合あたり1.53)に伸ばして5位に浮上。上位の試合数がそろったので比較がわかりやすくなったが、3位の広島との勝ち点差が5、4位のC大阪との勝ち点差が1。ここまで来たら勝ち点55が目標だし、そのときに他がどうなっているかはそのときに見てみるしかない。
今節にも優勝が決まる可能性があった首位横浜が磐田に負け、2位の川崎が勝った結果、両者の勝ち点差が2に縮まり、次節の結果次第では、最終節の味スタでの川崎戦に優勝がかかる可能性がある。優勝を目指す川崎と満員の味スタで戦って勝ちたい。
評点
[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
スウォビィク(3) フェイントで敵のプレスをかわしたのにはシビれた。
中村(3.5) 読みと出足のよさで敵のパスを何度もカットした。
木本(3) 森重の好パフォーマンスの陰には木本のカバーあり。
森重(2.5) スゴみのある守備とはこのこと。敵FWに仕事させず。
バングーナガンデ(3) すごい勢いで成長している。アシストを記録。
塚川(3.5) 彼が加入してチーム全体のレベルが上がった。
東(2) まさに攻守の要。すべてのボールが東に集まった。
松木(3) 最若手ながら「ここまでやる」の手本になっている。
渡邊(1.5) 積極的なプレーが生きた。文句なしの活躍。
オリヴェイラ(3.5) ボールを収め続けた彼には感謝しかない。
アダイウトン(3.5) ポスト直撃の惜しいヤツあり。得点王狙える。
===
フェリッピ(3) 残り2試合、ディエゴ不在は彼が埋める。
紺野(3.5) 痛恨の空振り。役割は十分果たした。
レアンドロ(3.5) 幻のゴールは残念。結構マメに走った。
安部(3) ナイス・ランで4点目を呼びこむアシスト。
木村(-) 時間短し。安定感あった。
電車と歩きだったので久しぶりにスタジアムでビールを飲んだがスーパードライだったのが残念。売り子をしっかり見わけなければだった。
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