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【Jリーグ第9節】広島 1-2 FC東京

■ 2023年4月22日(土) 14:00キックオフ
■ エディオンスタジアム広島

よく晴れた土曜日。このスタジアムは今年が最後らしいが結局行かずじまいで今日も自宅DAZN観戦。前節から負傷離脱者が戻って形ができ始め、週央のカップ戦では久しぶりの公式戦勝利も挙げた。難しい相手ではあるがこの流れで今季アウェイ初勝利を狙いたい。

先週のリーグ戦と同じメンバーが先発。負傷から復帰したバングーナガンデをベンチに置き、長友、トレヴィザンと合わせ3人がDFという控えメンバーに。このところメンバーを外れていたペロッチもベンチ入りしたが中盤の控えは東慶のみ。

布陣

スウォビィク
中村 木本 森重 徳元
小泉 松木
仲川 安部 渡邊
オリヴェイラ

前半

互いに激しい球際から一気にゴールに迫る狙いで強度の高い立ち上がりに。2分、中村がアフター気味に敵にチャレンジしてしまい警告を受ける。今季強度の調節ができず退場になったり自身もケガをしたりしているが、またしても早い時間帯での警告で不安しかない。

しかし5分、左寄りで得たFKを松木がけると、ファーから走りこんだ中村が高い打点のヘディングでボールをゴールにたたきこみ先制。1-0とリードを奪う。敵DFのあいだに上手く入りこんでのシュートで警告を帳消しにした。

しかしその後は広島がボールを支配、東京は自陣で守備に追われる時間が長くなる。奪ったボールはオリヴェイラにシンプルに当てることも選択肢に、前線で渡邊、安部がからみ、また仲川のドリブル突破も繰り出して形は作るがフィニッシュまではもちこめない。

広島はテンポよくパスをつなぎ東京ゴールに迫るが、シュートが枠をとらえられず失点はまぬがれている。中央をしっかりと固め対応はできている。

28分、中央で仲川がつぶれながらオリヴェイラにボールを渡すとオリヴェイラがこれをドリブルで前線に持ちあがる。オリヴェイラはエリア手前でボールをキープし、右サイドを駆けあがった中村にパス。中村が深いところまで運んで戻しのパスを入れると中央で安部がダイレクトで流しこみゴール。2-0とリードを広げる。

オリヴェイラのキープ、中村のクロス、安部のシュートときれいにつながり広島の守備を崩した。安部はフカしがちなシュートをよく押さえた。

36分、左サイドに流れた中村が徳元とのワンツーからドリブルでエリアに侵入したところで敵DFにブロックされ倒されるが笛は鳴らず。PKでもおかしくないと思ったがVARの介入もなかった。

これで流れを取り戻したかと思ったが、38分、ロング・ボールを裏にけりこまれ、背走しながらの守備となる。松木と徳元が対応したが後ろから出てくる敵をつかまえきれず落としたボールをけりこまれて失点、2-1と1点差に。なかなか楽はさせてもらえない。

アディショナル・タイムには徳元が前線に送ったボールを追って仲川と安部が走り、安部が敵DFと交錯して倒れる。GKは飛びだしておりファウルであれば決定的な得点機会の阻止にあたるシーンではないかと思われ、VARも介入したがOFRなくノー・ファウルの判定となった。

結局前半は2-1で終了。この後も激しい戦いが予想されるがこの控えメンバーで走り勝てるか。バングーナガンデのウィング起用も選択肢に、リードは忘れて激しく戦いたい。

後半

後半に入ると広島が前線を強化、前半にも増して自陣に押しこまれる展開になる。

50分、オリヴェイラが敵MFと競り合い、こぼれたボールを安部が拾ったところで敵MFに倒される。先にオリヴェイラが敵MFとの接触でファウルと判定されてアウト・オブ・プレーとなっていたが、その後のプレーによって敵MFが警告を受ける。プレーは広島ボールで再開されたので珍しいシーンとなった。

53分、木本からの縦パスを受けた仲川が落とし、これを渡邊がエリア外からシュートするがミートせずGKにセーブされる。

広島の攻撃を受ける時間が続き、ほぼハーフ・コート・マッチに。シュートも打たれるが自陣では身体を張っておりゴールは許さない。67分、仲川に代えてバングーナガンデを投入。渡邊が右にスライドし、バングーナガンデは左のウィングに入る。あるいは4-4-2の左SHのイメージかも。

75分、オリヴェイラと中村に代えてアダイウトンと長友を投入。アダイウトンはトップに入る。それであればペロッチではないかとも思ったが、ここは実績と信頼の違いか。長友はそのまま左SBに。中村は一度警告を受けており妥当な判断か。

東京は引きつづき広島の攻撃を受ける流れ。79分、左サイドでルーズになったボールを拾ったアダイウトンがドリブルで突破をはかるが並走した敵DFに最後はボールを奪われてしまう。見ごたえはあったが単騎頼みではムリがあるか。

82分、渡邊と徳元に代えて東慶とトレヴィザンを投入。トレヴィザンを中央に置いた3バックに布陣を変更。FWの枚数を増やしてきた広島に対し逃げきりに入る。終盤に得点の多い広島が圧を高めるが、投入したトレヴィザンが高さと強さを発揮して跳ね返し続け、しのぎきって2-1で辛勝した。

戦評

序盤にセット・プレーから先制、追加点も得たことが大きなアドバンテージになった。前半のうちに1点を返され、後半はほぼ一方的に押しこまれたが、ダブル・ボランチで守備が安定したこともあってか中央をしっかり締めて守りきり、リードを守ってリーグ戦では3月12日の横浜FC戦以来の勝利となった。

数字を見ればシュート数3-12、CK0-8、ポゼッション44-56と完全に広島が優位だったが、耐えるべき時間を耐え、また攻撃でも組み立て方には意図がはっきり窺え、先制できたこともあって試合そのもののはグリップできていたと思う。

自陣でのポゼッションにこだわりすぎることなく、森重、木本から前線に当てるボールも併用してリスクをコントロールし、オリヴェイラがこれをおさめて渡邊、安部がそれを受ける動きができていて、広島の強力なプレスに対抗できていた。

控えメンバーがDFに偏っていたのが気になったが、バングーナガンデを前で起用することでポイントを作り、アダイウトンのトップで敵の最終ラインを牽制しつつ、最後はトレヴィザンの投入で中央を固めるなど納得できる采配だった。

気になるのは仲川が結局カウンター要員のようなかたちでしか攻撃に関われておらず、彼に預けたり彼を走らせたりするような「使う」プレーがなかなか見られないこと。せっかくの飛び道具なのに使いこなせずこぼれ球を追わせてムダに疲弊させてる感がある。積極的に仲川を生かす組み立てをもっと見たい。

シュート3本というのはまったく満足できる数字ではなく、課題はたくさんあるが、結果が出たことでそれに取り組むリソースが捻出できる。カツカツではあったがこの勝ち点3は星勘定的にも非常に大きく、価値の高い今季アウェイ初勝利となった。

これで9試合を終えて3勝3敗3分、勝ち点9(1試合あたり1.33)となり暫定ながら順位表の上半分に入った。順位よりは勝ち点を積み上げて上位との勝ち点差を詰めることが先決であり、その足がかりとなる勝利だった。

評点

[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
スウォビィク(3.5) 厳しいシュートはほぼなく失点以外手堅く守った。
中村(2.5) いきなりの警告でビビったが1G1Aの活躍でカバーした。
木本(3) 縦に付ける意識が高くパスでチームを前に動かした。
森重(3.5) 自陣でのもたつきがやや目についたが守りきった。
徳元(3.5) 完全にピースとして機能しており采配に注目。
小泉(3) 長渕剛ファンであることを江本アナにバラされた。
松木(3) フィフティ以下のボールを何度も奪い取った。
仲川(3.5) ドリブルの初速で敵を翻弄した。もっと生かせる。
安部(2.5) 彼が前に引っ張るから全体がついてくる。
渡邊(3) とにかく走って広い範囲をカバー、ダイナモになった。
オリヴェイラ(3.5) あれだけ収めてくれると周囲が動ける。尊い。
===
バングーナガンデ(3.5) 前で使うのは選択肢としてあり。
アダイウトン(4) 前に置くだけで敵には脅威になる。
長友(4) 中で声を出してくれることに存在感。
トレヴィザン(-) 時間短し。役割は果たした。
東慶(-) 時間短し。試合をクローズした。

次は味スタ。連勝して流れに乗りたい。

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