見出し画像

【Jリーグ第27節】柏 3-6 FC東京

■2022年8月27日(土) 19:00キックオフ
■三協フロンテア柏スタジアム

この夏最後の暑さとなった土曜日。台風でセレッソ大阪戦が延期になり、3週間ぶりの試合に。常磐線に乗って柏まで駆けつけた。ここはアウェイでは最も好きなスタジアム。なんか久しぶりのような気がしたので確認してみると、2021年はチケットが取れず、2020年は無観客だったため、実に3年ぶりの日立台だったのだ。メインスタンドで柏サポに紛れての観戦となった。

塚川が移籍後初スタメン。レアンドロは前節清水戦での平手打ちを指摘されたことで謹慎となったかメンバー外に。怪我から復帰した中村がベンチ入りした。

フォーメーション

スウォビィク
長友 木本 森重 バングーナガンデ
塚川 東 松木
紺野 オリヴェイラ 渡邊

前半

例によって東京がボールを握る。塚川が入った効果か、あるいは柏のプレッシャーが弱いのか、ボールを出し入れしながら最後に裏に通すようなビルドアップが何度か見られチャンスを作る。渡邊、紺野が積極的にボールを受け松木、オリヴェイラがからむが、最終ラインを5枚にして守る柏の守備も固くフィニッシュまではなかなかたどり着けない。

一方で柏は中盤でポイントを作りつつ攻撃を組み立て、ボールの失い方によってはクリティカルなチャンスを作られる。互いに前を向いて攻めるが、どちらかといえば東京の方が試合を優位に進めている印象。

27分、敵のFKにゴール前で競った塚川が敵DFと接触し傷む。頭どうしが当たったようで塚川はまもなく立ち上がったが、敵DFは脳しんとうの疑いで交代。

40分、紺野のスルーパスを受けてオリヴェイラが右サイドを縦に抜ける。オリヴェイラがここからクロスを入れると、ファーに飛びこんだ松木がスライディングで押しこみゴール。東京が1-0と先制する。紺野のパス、オリヴェイラのボール・コントロールからのクロス、松木の押しこみときれいにハマったゴールだった。

さらに45分、塚川からのパスを受けた紺野が右サイド裏に抜け出し、切れこんで中央の渡邊にパス、渡邊がこれをさらにファーに流すと、大外から走りこんだバングーナガンデが左足でニアのギリギリを抜くシュートをダイレクトで放ちゴール。2-0とリードを広げる。バングーナガンデはプロ初ゴール。いいシュートがここしかないというコースに飛んだ。

アディショナルタイムには中央を抜け出した渡邊がトリッピングを受けて倒れる。決定的な得点機会の阻止で敵DFが退場かと思われたが警告となり、森重がFKをけったがゴール右に外れる。前半の最後に東京が立て続けにゴールを奪い、2-0で前半を終えた。

ビルドアップが機能しており、時間はかかったものの前半のうちに松木、バングーナガンデといった若手のゴールが決まりリードを得た。動けているし戦えている。後半ふわっとすることのないよう、厳しく戦いたい。

後半

しかし柏は後半から3人を交代、ギアを上げて押しこんでくる。最初の10分をしのげれば流れは再びこちらにくると思っていたが、54分、左サイドから上げられたクロスのセカンド・ボールから強烈なシュートを許し失点、2-1と1点差に詰め寄られる。押しこまれて受けに回ってしまった。

55分、塚川と紺野に代えて安部とアダイウトンを投入。アダイウトンは左ウィングに入り、渡邊が右にスライド。安部はそのままインサイド・ハーフに入った。

すると直後の57分、右サイドで松木のパスを受けた長友が深いところから折り返すと、ファーのアダイウトンがヘディング・シュートを放つ。これは惜しくもバーに当たってはね返ったが、安部が頭で押しこみゴール。東京がすかさず1点を追加し3-1と突き放す。

58分、オリヴェイラが敵との接触で傷みフェリッピと交代。フェリッピはそのままトップへ。

62分、東京の右サイドからのクロスにファーで飛びこんできたFWに頭で押しこまれ失点、3-2と再び1点差に。バンギーナガンデがついていたが格の違いを感じさせる身体の強さで強引に決められた。せっかく追加点を挙げたがなかなか流れをしっかり取り戻すことできない。

68分、松木が奪ったボールをフェリッピに展開、フェリッピが並走するアダイウトンにパスを出すと、アダイウトンはそのままドリブルで持ち上がり、敵DFを抜いてシュートを決めゴール。4-2と再び突き放す。交互にチャンスが訪れる展開に。よくゴールの決まる試合。

74分、右サイドから放りこまれたクロスにファーで合わされシュートを放たれる。これもバングーナガンデが対応したが股を抜かれ失点。4-3と三たび迫られる。しつこい。

78分、バングーナガンデと渡邊に代えて中村と木村を投入。最終ラインを中央に森重を置いた3バックに変更。右ウィングバックに長友、左に中村を置き、中盤は東と松木のダブル・ボランチ、安部を右ウィングに押し出した3-4-3の布陣となったように見えた。

81分、センターサークルで敵を背負ってパスを受けたアダイウトンが反転しようとしたところを敵DFに止められる。これが敵のファウルとなり、2度目の警告で退場となる。東京は1人多い状態に。これでようやく試合の趨勢が見えた感じがした。

84分、敵陣でルーズになったボールをアダイウトンが拾い、そのままフェリッピにパス。これを受けたフェリッピは敵DFにからまれながらも右足でニアを抜く強烈なシュートを決め5-3に。フェリッピの移籍後初ゴールで試合をほぼ決める。こういう仕事をする人なんだな。

さらに89分、左サイドでパスを受けたアダイウトンがドリブルで持ち上がり、安部とのワンツーから裏に抜けてシュートを決め6-3に。これでほぼ試合は決まり、残り時間は東京が危なげなくボールを動かしてそのまま勝利した。

戦評

全部で9ゴールが決まる乱戦になったが、常に先手を取った東京が最後は突きはなして勝ち点3を逃さなかった。前半と後半で様子が変わったが、結局は前半の2ゴールの貯金が効いた格好となった。

前半はシュートこそ少なかったものの、東、塚川を起点に右外に張る紺野と左外のバングーナガンデ、内側の長友、渡邊らが動きながらパスをつなぎ、松木、オリヴェイラがゴール前に入るなどビルド・アップが形になっていた。広島戦あたりから攻撃面の連係の底上げは見え始めており、この試合の前半はそれを表現しながら2つのゴールにつなげたという点で見るべきものがあった。

後半は乱打戦になった。柏が後半から3人を入れかえてギアを上げてきたのに押されて受けに回り、最初の10分をもちこたえることができずに失点したことで試合の流れを神経質なものにしてしまった。その後も突きはなそうとするたびに追いすがられ、最後は敵DFの退場もあって力ずくでねじ伏せたものの、前半のリードが1点だとヤバかった。

後半のゴールはどれも見事だったがアダイウトンの個人技に負うところが大きく、夏休みの終わりの派手な打ち合いは楽しくはあったものの、内容的には前半の方が今後につながる戦いだった。敵の勢いに押しこまれて流れを手ばなし、ヤバい時間帯も結構あった。もうちょっと踏ん張ってうまく試合を運びたかったが自ら試合を難しくした感もあり、リスク管理に課題を残した。

塚川がインサイド・ハーフとアンカーの中間的な動きで時間を作ったのがこれまでとは異なるところで、安部の前からガツガツ行くスタイルとの併用に可能性を感じた。攻撃の組み立てには進歩が見られ、いよいよアルベル東京2.0が形になり始めたかという期待がふくらむ。この試合では渡邊、紺野の巧さが目立った。

バングーナガンデ、フェリッピの初ゴールも嬉しい。特にフェリッピはこれで一気にチームになじんだのではないかと思う。簡単なシュートではなかったと思うが、これを決める力があるCFがチームにいるのは大きい。うまく使いたい。

数字を見ればシュート数11-11、CK3-3、ポゼッション61-39と、ポゼッション以外は互角。後半のゲーム・マネジメントが難しかった。

これで東京は25試合を終了、11勝9敗5分で勝ち点を38(1試合あたり1.52)に伸ばし暫定ながら7位に浮上。消化試合数に跛行があるため現在地の把握が難しいが、残り試合すべてに勝った場合に到達できる最大の勝ち点では横浜、川崎、広島、C大阪に次ぎ、鹿島と並んで5位。まだACL圏内を狙える位置にある。今季残り9試合、やれるだけやってなにが起こるか、やってみるだけの価値はある。

次節は首位横浜をホームに迎える。泡を吹かせる準備はできているか。

評点

[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
スウォビィク(4) いいセーブもあったが3失点はキツい。
長友(3.5) 守備でも地味に手堅い対応。スキル高い。
木本(4) 落ち着いてさばいたが後半はかきまわされた。
森重(4) 難しい展開になった。3失点は課題が残った。
バングーナガンデ(4) 成果と課題の両面で大きな意味のあった試合。
塚川(3.5) 時間を作り決定的なパスを出した。
東(3.5) アンカーの動きが板についてきた。
松木(3) ゴールだけでなくハードワークでよく顔を出した。
紺野(3) 再三ゴール前に危険なボールを送った。
オリヴェイラ(3.5) 状態は悪くない。価値あるアシストも。
渡邊(3.5) このスタイルのキーになる選手。
===
アダイウトン(2) 2ゴール1アシストに加え1人退場させた。
安部(3.5) ゴールはよく押しこんだ。競争相手ができた。
フェリッピ(3.5) ナイス・ゴール。使い方がわかってきた。
中村(-) 時間短し。動きはよかった。
木村(-) 時間短し。無難に守った。

アウェイだったが青赤のファースト・キットだったのが嬉しかった。試合開始前の場内を暗くしてサイリウムを振る演出が今イチグダグダだったのが柏の負けフラグだったのではないか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?