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「鬼滅の刃」キャラクター造形と花札について考える


この記事はネタバレを含みます。

「鬼滅の刃」の主要キャラクターは「花札」をモチーフにデザインされている説。こじつけもございますが温かい気持ちでご覧ください。

鬼殺隊 

藤に時鳥(ホトトギス)
まずは「藤に時鳥」の札。
夜に鳴く鳥・ホトトギスが、赤い月の前を飛んでいる。赤い月は夜明けが近い「有明の月」。藤を背に飛び立つホトトギスは、まるで夜明けを待ちながら鬼狩りを行う鬼殺隊を象徴しているようである。

画像3
藤に時鳥

竈門炭治郎

○芒(すすき)に月
竈門家に代々伝わる「花札のような耳飾り」。
「芒に月」の札をベースに、「日輪」から11本の放射線を加えたデザインになっている。

芒に月

〇タン
赤い短冊(赤タン)、もしくは青い短冊(青タン)のついた札の通称。1月から12月まで、花札のすべての月にあり、5枚集めると役になるので、まだ役の覚えられないちびっ子が大好きな札だ。
炭治郎の耳飾りは、花札の札よりは、この短冊に近い形をしているそして、炭治郎の「タン」にも音が通じる。

タン

竈門禰豆子にまつわる花札

○萩
鬼になった禰豆子が、覚醒した時に現れた痣の形が「萩」。
特に明言されていないが、コミックス11巻表紙では、痣の浮き出た禰豆子の背景に萩のシルエットが描かれている。

※※蛇足※※ 
花札の「萩」と「藤」のデザインは、ちょうど上下に反転したような図案になっているため。鬼と人の、対比と言う、意味があるのかもしれない。

我妻善逸にまつわる花札

〇柳に雷
「柳に雷」は、「柳」の中ではカス札だが、他の札と合わせることで大化けするジョーカー的な札である。
ピンチになると大技で敵を打ち負かす「雷の呼吸」の使い手・善逸とイメージがぴったり重なる。

柳に雷

※※蛇足※※ 
物語初期から兄弟子の獪岳は善逸を「カス」と呼んでいる。「カス」だった善逸が無限城での一騎打ちでカッコよく勝利する、という展開は、当初から考えられていた設定なのだろう。

嘴平伊之助

〇萩に猪
炭治郎の同期・伊之助は「猪」の札。マツゲがかわいい。実に。

萩に猪

胡蝶しのぶ

〇牡丹に蝶
牡丹と戯れる蝶の絵柄は、花の呼吸と蟲の呼吸を使う胡蝶姉妹を思わせる。

牡丹に蝶

栗花落カナヲ

〇紅葉に鹿
「紅葉に鹿」の札は鹿がそっぽを向いている図案から「しかと(無視)」の語源になったとか。というわけで話しかけても答えてくれない栗花落カナヲさんのイメージ。

紅葉に鹿

つまり、「猪鹿蝶(いのしかちょう)」トリオで上弦の弐「童磨」を倒したのだ。

※※蛇足※※ 
猪・鹿・蝶、そして各札に描かれている萩・紅葉・牡丹のモチーフは、仲の良い登場人物という関係性でみても成立している。
 ・猪(嘴平伊之介)と萩(竈門禰豆子)
 ・牡丹(胡蝶カナエ)と蝶(胡蝶しのぶ)
 ・紅葉(胡蝶しのぶ)と鹿(栗花落カナヲ)
 ※しのぶは回想シーンで紅葉柄の着物を着ている

煉獄杏寿郎

〇菊に盃
煉獄家のキャラクターデザインは「菊に盃」。
赤と黄色のコントラストが美しい菊の大輪。そして「寿」の文字が入った盃。

菊に盃

※※蛇足※※ 
何はともあれ、煉獄さんはとてもかっこいい。

宇髄天元

〇梅
宇随さんの左目のペイントは梅の花。
あえてなのか、堕姫の元の名は「梅」。

甘露寺蜜璃

○桜に幕
甘露寺蜜璃は「桜に幕」つまり「お花見」をイメージして作られたキャラクター。お花見といえば3色団子。桜・白・緑の配色は彼女のイメージカラーだ。

桜に幕

○こいこい
そして花札の遊び方の一つ「こいこい」。
ある意味、鬼滅・最大の謎である「恋の呼吸」は、花札ルール「こいこい」から誕生した…のではないかと思っている。
点数が2倍4倍と増加する「こいこい」はまさしく「筋肉捌倍(はちばい)娘」。また、同じく賭場での代表的な遊び「丁半」はサイコロの目の丁(偶数)と半(奇数)を、当てるゲームだが、甘露寺と戦った「半天狗」をイメージしている。

※※蛇足※※ 
当初は刀鍛冶の里編とは別に賭場を舞台にしたエピソードを用意してたけど、ファン投票で甘露寺人気が高まり、登場が早まったのではと推測。

悲鳴嶼行冥

○芒(ススキ) 別名:ボーズ
1巻・第4話にて「鬼殺隊」という組織が初めて紹介される。この時、冨岡義勇・胡蝶しのぶ・伊黒小芭内、さらに剃髪の僧侶らしき男性の後ろ姿が描かれている。
つまり若干デザインは変わったが、初期段階から登場人物の一人を僧侶(ボーズ)という設定で登場させる予定だったと思われる。

時透無一郎

○柳に蛙(小野東風)
ふわっと一度膨らんでまっすぐに垂れるヘアスタイル、風の吹くまま気の向くまま、という佇まいは柳の木のイメージ。また、12巻の表紙には時透無一郎の背景に柳が描かれている。
また、懸命に柳に捕まろうとする蛙を見て、「気づき」を得た小野東風の説話は、命がけで自分を助けようとする小鉄の姿を見て記憶を取り戻した無一郎のエピソードと重なる。

柳に蛙

※※蛇足※※
ところで言葉にはこだわりのある吾峠先生が「無限列車」、「無限城」、「無一郎の無は無限の無」と、「無限」というキーワードを3度も登場させたのは何か意味があるのでしょうか。とっても気になっています。

不死川実弥

○「桐に鳳凰」
不死川実弥は全身傷だらけの、タフな人物として描かれている。また最終決戦後、不死鳥のようによみがえるなど、名前からも不死身の男、最後まで生き延びる設定で作られたキャラクターだと推測される。
また、桐は「キリ(最後)」に音が通じていることから12月の札なのだが、不死川は柱合会議に「最後」に姿を現した柱であり、炭治郎に「最後」まで心を開かなかったラスボス的な柱として描かれていると思われる。

桐に鳳凰

伊黒小芭内

〇菖蒲
もはや消去法であるが、強いて言えば、菖蒲。
22巻・第188話は、たった一話の中で彼の過去・現在・来世まで集約した「伊黒回」であるが、梅の木の下にたたずむ甘露寺蜜璃に向かって、伊黒小芭内があるいて行く姿に花菖蒲が添えられている。花菖蒲の花言葉は「嬉しい知らせ」「メッセージ」。大事な言葉を伝えに行くシーンとして伊黒を象徴する花、と言えなくもない(文通もしてるし)。

菖蒲

※※蛇足※※ 
まあ、菖蒲のイラストは季節感がバラバラな彼岸の世界を表現する演出として描いているだけかもしれませんね。

鬼舞辻無惨

〇松
最後に消去法で残った「松」だが冨岡義勇でもなく、表紙絵で松とセットで描かれている継国縁壱でもなく、鬼舞辻無惨で締めくくりたい。
彼が身に着けている衣服に、古代から生命力の象徴として伝わってきた文様「ペイズリー柄」が取り入れられている、とネットで話題になっていた。
ペイズリー柄の和名は「松毬模様」。つまりは松ぼっくり。病弱な体質に生まれ、生き汚いと言われるほど生きることに執着してきた無惨にはぴったりだなと思うのである。

まとめ

いかがでしょうか。そもそも「花札」というゲーム自体が「親」「子」「山」「鬼札」「12月」などなど「鬼滅」感をかもしだしているじゃないか…。と思ったのがきっかけで、探してみました。
義勇さんだけ該当なしとなりましたが、きっと違う世界線から来たのでしょう。

「鬼滅の刃」は多くを語らない作品である上に、吾峠先生の独特のこだわりがあって色々な小物の描き分けが細かいので、実は何かを表している記号じゃないか。など、あれやこれやと考えるのが楽しいです。

真実は作者のみ知る、ですが。

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