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2024.06.27 悲しい現実

元々バスターミナルがあり、今は新しいマンションを建設中のところに、ウクライナ避難民を受け入れる施設がある。
周りは工事中で、砂利だらけ。果たして足を踏み入れていいのかと、毎回少し不安になる。

今週は、日本人の同僚が出張に来た。予定を決める中で、彼女がこの施設を覗いてみたいと言ったため、知り合いを通じて訪問の承諾を得た。

この施設は、危機が起きた2カ月後に設立。スロバキア政府、ブラチスラバ市役所、UNHCRや国際赤十字などの国際機関、NGOが一カ所に集まり、多くのウクライナ避難民に支援を届けることを目的とした。

入り口をくぐり、進むと左手にRegistrationのカウンターがある。ウクライナ人たちは、まずは受付をし、目的のブースへと進むことになる。

受付書(もしくは我々のように施設を案内してくれるブラチスラバ市役所の職員)がなければ、セキュリティを通り2階のスペースへは入れない。ウクライナ避難民の安全を考え、非常に厳格なセキュリティ体制をとっている(写真も一切禁止)。誰しもが受け入れに寛容なわけではなく、時にヘイトを言いにくる人がいるからだ。

2階に上がると、各機関がブースを並べている。ウクライナ避難民専用のビザ申請、就職相談、難民申請、一般的な生活に関する相談などができる。加えて、子どものスロバキア語講座教室、一時託児所、緊急救護室なども完備されている。

1階には私の友人が運営している、コミュ二ティセンター(先週写真家が講演活動していたのと同じ)がある。週4で何かしら活動を実施し、ウクライナの方たちが集まれる憩いの場としている。

非常に画期的であり感動した。本来、これらの支援や申請を受けるために、避難民たちは苦労をする。土地勘なく、言語も分からず、どんな支援が、どこで受けられるのかすら分からない。ちなみに、日本で自然災害が起きた時も同じである。色々な支援や国からの補助が入るものの、申請や相談の仕方が分からず、結局屋根が傾きながら生活を続ける人も少なくない。

それが一カ所に集まることで、精神的にも体力的にも避難民の負担を軽減できる上に、ホスト国としても管理がしやすくなる。なにより、支援の取りこぼしが減る。

ウクライナ危機から2年半経ってもなお、この施設には毎日200人は訪れ、50人は新規でビザ申請をするという。まだまだ支援を必要とする人が、多くいることを表している。だが、この施設は9月で閉め、場所の移動を余儀なくされているらしい。規模感も小さくなる上に、場所が変わることで利用者の足が遠のく可能性もある。ニーズがある一方で、どの国でもウクライナ避難民への助成金も削られ、より厳しい状況へと向かっている。なんとも悲しい現実である。

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