見出し画像

日記240608創作物

特に予定のない日だった。故に一日という膨大な時間をどのように埋めていくか完全に自由な状態だった。やらねばならぬタスクもなく、人と会う約束もなかった。幸せという抽象的な言葉を具体に変換するならば、きっとこういう時間になるのだろうと考えた。一見空虚で、無意味で、退屈な一日だったが、ここは現代日本である。娯楽には事欠かない。受け手の精神状態が健康に保たれていて、それらを受け取る体制さえしっかりと整っていれば、誰でも幸せを享受することはそう難しくないのだ。私は怠惰を尽くした。そして創作物を端から摂取していった。今日のメニューはこうだ。ゲーム(ティアーズオブザキングダム)→ゲーム(オクトパストラベラー)→Youtube→漫画(HUNTER×HUNTER)→小説(お供え)→小説(朽ちる散る落ちる)。至福である。きっと毎日こうだと飽きてしまうのだろうが少なくとも今日に限っては素晴らしい時間が過ごせた。創作物の摂取という、謂わば他者の人生の疑似体験によって幸福を享受するなんて、では一体私自身の人生はどうなったのだという感じだが、案外人生というのはこういうものなのかもしれない。大きな図書館を想像する。私の人生というものはつまりその図書館の壁であり、天井であり、棚であり、そこには様々な創作物が、芸術が、他者の人生が収まっている。私の人生の価値は図書館の壁や天井に依るものではなく、そこに収まる他者の人生に依っている。そんな妄想。そんなものかもしれない。一日が他者の人生で埋まっていく。それに幸せを感じる。人生という言葉が持つ、「私の人生は私自身のものです」といったニュアンスに可笑しさを感じる。ある面から見れば確かにそうだが、しかし思ったより自分の人生は他者の人生の集合体に近い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?