写真集「真綾 Four Seasons 2022 in NIIGATA」

はじめに
introduction


何か大切なものを書こうとするとき悩むことが多い。文才のない私がイイタイコト、ツタエタイコトを端的にまとめたうえで、さらに文体を華美に表現するという文章記述能力に乏しいからだ。

写真で表現する世界は撮影に対してあまりその説明たる文を必要としていない。

それは写真そのものが表現の世界であり、写真に添えられるであろうキャプションについては(SNS では重要な意味をもつであろうが)写真そのものや作品群で語るべき世界であって装飾たる文章は必要とされない場面である。いやむしろ邪魔でさえもあるのだ。

それでも今回ばかりは撮影を重ねた膨大な作品群を繋いでいく文言は必要であろうと思っていて、自分自身でそのときの空気感や雰囲気感、作品観は語らなければならない、いや文字にしておきたいという部分でもあろう。

しかしながらそして冒頭で述べたように、私自身が大切なものを表現する文才をもたないのがネックで背任感を禁じ得ない。

冒頭からネガティブな書きぶりであったが、とてもまとめきることのできない能力の低さに申し訳なさを感じながらいくつかに分けながらこれまでの振り返りを紹介していくことにする。

まず最初に作品群のうちのひとかけらから。


『 街角の少女 』


『街角の少女』
デジタルカメラマガジン 2022.9 月号
ポートレート部門 優秀賞(1位)受賞作品
Nikon Z9 + Nikkor Z 50mm f/1.2S
model 真綾
Date 2022.4
location 新潟市沼垂テラス
SS 1/2,000,f/1.2,ISO100,マルチパターン測光

<解説>
街の光景を生かした写真はスナップフォトグラファーなら得意な部分であろう。しかしいわゆるスナップとポートレートは性質が異なるものである。詳しい説明などは他に譲る(内田ユキオ氏がこの違いについて秀逸な記事を書いている)とするが、当作品は「スナップポートレート」と呼ぶことにする。

当作品のロケーションはもともと昭和期に繁栄していた街並みを再開発して構成された場所である。レトロ感のある通りで息づいている人たちの生活感を感じながら、そのような場所に一人の少女を配置した。

独特な視線をもつ少女。ファインダーをのぞきながら彼女の存在そのものが語る世界はこの街並みを語るに相応しいと思いながらシャッターを切った。

スナップポートレートの醍醐味は人情を「写す」ことにあるのだ。

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