京都陸橋「森井勇磨」 市民ランナーでボストンマラソン入賞の快挙〜彼の成功の裏側に迫る〜
◯森井勇磨選手について
京都陸橋に所属している市民ランナーの森井が、ワールドマラソンメジャーズの1つであるボストン・マラソンで日本人では瀬古利彦以来43年ぶりの2時間10分を切る2時間9分59秒で8位入賞を果たした。
大学時代には山梨学院大学で箱根駅伝を走り、実業団に進んだ彼だが、現在は西京極陸上競技場の運営会社でフルタイムで働きながら市民ランナーとして活動している。
森井のこれまでの自己ベストは、ボストンマラソンのわずか8週間前に出した京都マラソンでの2時間14分15秒であった。
◯森井勇磨選手のこれまでの競技実績
2009年~2013年 山梨学院大学
2014年~2018年 SGホールディングスグループ
2019年~2021年 医療法人ひらまつ病院
2022年~京都陸橋
◯ボストンマラソン以前の自己ベスト
5000m 14:07:55 2020年9月
日本体育大学長距離記録会
10000m 29:19:25 2020年12月
日本体育大学長距離記録会
ハーフマラソン 1:02:50 2024年2月
丸亀国際ハーフマラソン
フルマラソン 2:14:36 2024年2月
大阪マラソン
NEW
フルマラソン 2:09:59 2024年4月
ボストンマラソン
実業団退社後、市民ランナーとして活動しながらハーフマラソンとフルマラソンのベストを更新した。
<参考>
WORLD ATHELETICS Yuma MORII | Profile | World Athletics
駅伝歴ドットコム森井勇磨(京都陸協)のプロフィール - 駅伝歴ドットコム (ekidenreki.com)
日本人のボストンマラソンにおける実績
<歴代優勝者>
田中茂樹(1951年)2:27:45
山田敬蔵(1953年)2:18:51
濱村秀雄(1955年)2:18:22
重松森雄(1965年)2:16:33
君原健二(1966年)2:17:11
采谷義秋(1969年)2:13:49
瀬古利彦(1981年)2:09:26、(1987年)2:11:50 -
日本人では唯一の複数回(2度)優勝者である。
川内優輝(2018年)2:15:58
日本人のボストンマラソン優勝者は8名
2時間10分切りを達成したのは1981年瀬古利彦さん以来であった。
<参考>ボストンマラソン - Wikipedia
〈森井選手へボストンマランンのインタビュー〉
森井選手のインタビューの動画もYouTubeにございます。
以下のリンクからご覧になれます。
https://youtu.be/oemLLjgUX60?si=_HGSSlsML6ESsSYO
○当日は最高の状態だった
トップ10に入って世界で勝負することを目標にボストンマラソンにのぞんだ彼は嬉々として当時のことを語った。
「試合が近づくにつれて、身体の状態もモチベーションも上がってきて、メンタル面でも最高の状態でのぞむことができた」
また、レース以外でも「食事なども気にせずワクワクしながら食べたり、前日もボストンの町も観光することができた」と、緊張せず当日を迎える事が出来たようだ。
事前に行った練習でも手ごたえを感じていた様子だった。
3月20日、気温3度で雪が降る暴風の中、当時履いていたシューズが途中壊れながらファルトレク走(1分間速いペースで走り、30秒間遅いペースで走る練習)を行った。ここで、トータル距離でベストを更新することができ、コンディションが悪い中でも走ることができる自信につながったようだ。
○1人でやりきる覚悟と自信があったからこそ
入賞することができた
現在は実業団時代のように集団で練習しているわけではない為、1人での練習についても語った。
「1人で練習を行うメリットは、体調、休養の取り方、練習の強度などあらゆる面でコントロールすることが可能であることだ。だが、デメリットとして、1人でやりきる覚悟と自信が必要。今回のボストンマラソンはそういう覚悟や自信を持つ事が出来たから達成できたと思っている。また、競技面以外でも気づける事が沢山あったことが競技面にもよい影響をもたらした」
実業団と今を比較して、駅伝の結果を重んじる実業団では、レギュラー争いをかけた練習でエネルギーを使ってしまうことが自分に合ってなかったのかなと振り返った。
「今は練習でレース以上のトレーニングをする日もあれば、ゆるくやる日もあって、うまいことメリハリをつけて行うことができていることが個人でやっている強みだと感じている」
◯東京マラソンのようなフラットなコースでも勝負できる自信はあります
今後のキャリアの目標を聞くと森井は
「国内で勝負するなら東京マラソンが1つのターゲットになると思っている」
そう語った。
今回のボストンマラソンでアップダウンの多いタフなコースでも勝負できることを証明した森井だが、昨シーズンでは比較的フラットなコースである丸亀ハーフマラソン、大阪マラソンでコンディションの調整をせずにベストを更新することができている。
また、ボストンマラソンでも自身の課題であった、レース後半でペースアップをすることができたことが自信につながった。
そして東京マラソンを見据えて言った。
「コンディションを調整をしたらハーフマラソンを61~60分台で走ることは可能だと思っている。それが達成できたら、東京マラソンのようなフラットなコースでも勝負できる自信はあります」
彼のこれからのキャリアが楽しみだ