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2020年10月22日(木) 晴れ
今日は退院日。
私の退院手続きも看護師さんにとってはいつものルーティーンで、片付いた病室のベッドに横になり迎えを待っていた。
昼過ぎ、30分遅れで迎えにきてくれたオカンの車に乗り込み帰路についた。
帰り着いた我が家には鳩が一羽増えていたのには驚いた。飛べなくなった鳩を母が連れて帰ってきたそうだ。オカンはニコニコしながら私その経緯を語った。ぴーちゃんと名付けられたその鳩は今では怪我もなんのその家のなかを自由に飛び回っていた。
私とオカンが仲がよくない。鳩の一件も私を苛立たせるのである。「他人は変えられない。変えられるのは自分だ」これはオカンに苛立ったときのおまじない。今日もこう自分に言い聞かせながらフンをよけて自分の机に座り溜まった仕事を片付けた。
夜、そろそろ寝ようというときに、怪我をした足のことを考えるとベッドに寝た方がいいだろうということになった。入院する前は布団に寝ていたので、空いているベッドといえば父のベッドしかなかったため、あまり気は進まなかったが、そうすることにした。
父の部屋に入ると、持ち主が帰ってくることを当然のことのように待ちわびている本や洋服やパソコンやテレビがあった。
この部屋のものを整理することはまだできそうにないと思った。
きっと、心のずっと奥のほうでは、ひょっこり帰ってくること期待している部分があって、この部屋を整理し、ものを捨てることはいよいよ死を受け入れることになりそうで、それは私にとっては、死んだという事実を告げられることより辛い気がした。
そして寝て、また朝がくる。悲しみは後からやってくると聞いたことがあるが本当だなと思う。そして追い越してゆくのだろうとも思う。
写真は、のんびりとした川内川沿いの堤防。
亀田信暁
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