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第3回「ケイシーとの出逢いは夢の中。ケイシーからの招待状を見つけたんです。」 渡辺 奈津 先生

渡辺 奈津(わたなべ なつ)
わたなべ皮フ科・形成外科、クラシカルホメオパシークリニック院長

大阪で1993年、『わたなべ皮フ科形成外科』を開業。西洋医学による処置や処方のみならず、漢方や生活・食事指導などを取り入れたホリスティックな治療を行う医師として、地元をはじめ各地で絶大な信頼を集めている渡辺奈津先生。併設しているクラシカルホメオパシークリニックの院長を兼任しながら、著書『クラシカル・ホメオパシーガイド』の出版や『ホメオパシー私塾』開講などで、ホメオパシーの啓蒙に努めていることでも知られています。そんな奈津先生も実はエドガー・ケイシーから様々な影響を受けた一人。今回はケイシーとのちょっと不思議な出会いから、真の健康についての考え方、美しくなるためのアドバイスまで、たっぷりと伺いました。

わたなべ皮フ科・形成外科

テンプル――
奈津先生との出会いはもう10数年前。当時、奥沢にあったお店にもご来店いただいたことがあります。すでにその頃から奈津先生は、治療に漢方やホメオパシーを取り入れているのはもちろん、古今東西のヒーリングやケイシー療法まで学ばれている希少なお医者様としてご活躍中でした。そんな奈津先生も、もとは現代医学一辺倒のドクターでいらしたんですよね。

渡辺――
そうなんです。医大を卒業した後、美と技術をテーマにした仕事がしたいと形成外科医になったんですが、当時は手術をするのが好きでしたね(笑)。というのも、その頃の私はまるで職人のように「いかに完璧に手術をするか」ということを追及していて、技を磨くにはただ実践あるのみだったからです。ですから一日中白衣を着て、家にも帰らずに病院で寝泊まりをしてはひたすら手術、手術の毎日。でも私にはそれがとてもハッピーだったんですね。おかげで自分で言うのも何ですが、どんどん腕を磨いてかなり器用に手術をこなせるようになっていきました。患者さんにもとても喜ばれていたんです。

テンプル――
やりがいのある仕事に就いて、実際に手応えも感じられていた。医師としてノリにのっていらしたんですね。

渡辺――
ええ(笑)。ところがそんなある日、人生初の大きな挫折のきっかけとなる出来事に遭ってしまったんです。それは、ある大やけどを負った患者さんに皮膚の移植をするという、命にもかかわる大手術を行っていた時のこと。一刻を争う事態であったために、私も普段より焦っていたのでしょう。メスで自分の皮膚も切ってしまっていたことに気付かないまま輸血の血液に触れ、C型肝炎に感染してしまったのです。

テンプル――
それで今度はご自身が患者さんになってしまったという。

渡辺――
そうです。何をするにも億劫で、常に倦怠感がつきまとう。最初は「まさか」と思いました。もともと「一件でも多く素晴らしい手術をするぞ」というようなヤル気満々タイプだった自分がそんな状態になるなんて、ウツにでもなってしまったんだろうか?と思ったくらい。でも、あまりのしんどさにきちんと検査をしたら、あの怪我がもとで肝臓を患ってしまったということが分かったんです。それはもうショックでした。それで今度は初めて患者としての病院通いが始まるわけです。そしていざ通院が始まって、病院で毎回味わうのは気の滅入ることばかり。たとえば、朝10時の予約のために9時から病院に行っても、待合室で延々と待たされて診療が終わるのは午後3時。

それだけ待たされても決め手となるような治療を受けられるわけではなく、主治医からは毎回「安静にしているように」という言葉の繰り返し。次第に睡眠にも支障をきたすようになってきたのでそれを先生に相談すると、今度は心療内科にまわされて、人の顔も見ない医師にただ睡眠薬を処方されるという有様。これでは行く度に病人になるようなものではないかと、自分が医療を受ける立場になって初めて患者さんの気持ちを痛感することになったんですね。だんだん自暴自棄になっていき「こうなったらもういつ死んでもいい。太く短く生きよう」と、思い切ってインターフェロン療法を受けてみることにしたんです。

テンプル――
その治療を受けるのは、かなりハードな選択だったのでは?

渡辺――
ええ。おかげで肝炎はだいぶ落ち着いてくれたのですが、その代わりに髪は抜け、体重は30キロ台にまで落ち、副作用には苦しめられました。そして、ピンポイントに臓器は回復したものの身体そのものはボロボロ、という状態に。それでこの辛さから抜け出したいと、やはり生活そのもの、まずは仕事から見直そう、と。

テンプル――
それでご自分のクリニックを開設なさるわけですね。

渡辺――
はい。ハードな手術生活にはもう身体がついていけない、もう少し落ち着いたスタイルに変えていきたいと、皮膚科の勉強をして'91年にクリニックを開業しました。まだ30歳過ぎの若輩者でしたから、経験値を高めようと、自分のクリニックでの診療に加えて大学病院での勉強も続けるという、二足のわらじをはいた状態をしばらく続けていました。

テンプル――
より、ご自分の意向に沿った診療ができるようになったわけですよね。ホリスティック医療に取り組まれるようになったのはその頃から?

渡辺――
いいえ。クリニックを開いた当時はまだホリスティック医療や代替医療を行おうとは全く思っておらず、現代医学での治療に専念していました。でもそれから何年か経つうちに、現代医学をもってしても治らない患者さんがいるということに気がつきはじめたんです。また、そういう人たちの病気には何か精神的なものが大きく影響しているようだ、ということにも。そこで、どうにかして患者さんを良くしたい一心から、心理学を学び始めるようになったんです。古典的な精神分析に始まって、トランスパーソナル心理学、NLP、ソリューションフォーカストアプローチetc.……。そして、それらを実際に治療に取り入れてみると、確かに症状がよくなる人が出てきました。

でもやはりまだ治らない人がいる。それなら、もっと深い治療をしなくてはいけないのだろうということで、さらにクリスタルやレイキ、ハンズオンヒーリングなどといったスピリチュアルな方法にもヒントを探るようになりました。といっても、やはり現代医学の医師であるという立場上、スピリチュアルな方法を実際の臨床で使うことはできなかったんですね。大いに効果が期待できるケースもあると分かってはいたんですが……。そんなジレンマに悩んだ末に、今度はホメオパシーという素晴らしいツールを見つけ、その奥深さの虜になって今に至ります。

テンプル――
開業されてから数年間は、奈津先生がホリスティック医療に目覚められる萌芽の時期だったんですね。ケイシーとの出会いもその頃に?

渡辺――
そうですね。実は、ケイシーとの出会いにはちょっと不思議なエピソードがあるんですよ。話は今から遡ること約15年前のある日。私は当時から明晰夢というものをよく体験していたんですが、その日もかなりはっきりとした夢を見たんですね。それは、診察室の机の引き出しを開けると、中から聴診器と鳥の羽、それからクリスタルが出てくるというものでした。聴診器はいつも使っているから分かるけれど、鳥の羽とクリスタルには一体何の意味があるんだろう? これを治療に使えということ?などと夢の中で思いを巡らせていると、今度は二つ折りにしたカードが出てきたんです。それには、

"Invitation card from Edgar Cayce"
 (『招待状 エドガー・ケイシーより』)

って書いてあったんです。それを見て『これは誰だろう?』と(笑)。当時はまだケイシーの名前すら全く知らなかったんですよ。

テンプル――
ええ~っ!?

渡辺――
それは全て英語で書かれていて綴りも覚えていたので、目が覚めてからすぐに調べてみたんです。そうしたら本当に実在していた人物だということが分かった。しかも膨大な医療リーディングを遺している人物だということも。それであまりに驚いたのと、このことにどういう意味があるのかを知りたくて、日本にあるエドガー・ケイシーセンターに即、電話をしてみたんです。電話に出られた会長の光田(秀)さんに事のいきさつをお話しすると、『すぐに理事になってください』と(笑)。

テンプル――
書店でケイシーの本が棚から落ちてきたのがケイシーと出会ったきっかけだという人を何人か知っていますが…。招待状とは!そんなことって本当にあるんですね(笑)

渡辺――
本当に不思議でした。それからというもの、ケイシーの本を読んだり、ひまし油湿布やウェットセルなど関連グッズを一式揃えたりして。グラディスさん(※エドガー・ケイシーの医療リーディングを臨床に取り入れた医師としてアメリカのホリスティック医学界でも有名な、御年約90歳の医学博士)が来日した時にはセミナーを聞きにいったりもしました。とにかくケイシーのリーディングには医師として共感するところが多かったですね。だから、今うちで扱っているコスメティックにも随分ケイシーのエッセンスを取り入れているんですよ。

テンプル――
リーディングが奈津先生の治療に少なからず生かされているということは、やはりケイシーとの出会いには意味があったんですね。

渡辺――
そうですね。それでしばらくの間は、あの夢で机の引き出しの中にあったアイテムのことを意味が分からないからと封印していたというか、忘れていたんですよ。それが、ホメオパシーを治療に取り入れるようになってから、はっと気付いたんです。ホメオパシーって、動物、植物、鉱物の波動を使うものでしょう。だから、羽やクリスタルはやっぱり治療に使えということだったんだなと、後になって合点がいったんです。招待状というのが、何へのお誘いなのか、いまだ分からないんですけどね(笑)。

テンプル――
ホリスティック医療の道へのお誘いだったんでしょうか(笑)。でも実際にケイシー療法をはじめ、様々なヒーリングや代替医療などを幅広く学ばれてから、病や症状、治療に関して以前とは全く考え方が変わられたとか。

渡辺――
はい。現代医学では、たとえばお腹が痛いと言われれば何か適した対症療法をしますよね。別にそれが悪いというのではないけれど、本人からなぜ腹痛になったのかという原因について考えるチャンスを奪うことになるともいえるんです。そうしてお腹が痛いという症状を単に薬でおさえ、そのパターンを繰り返していたら、いつかは腸閉塞になるかもしれない。足が痛いから痛み止め、寝られないから睡眠薬、熱が出たから熱冷ましetc.……。感覚を麻痺させるだけで本当の原因に対処しないというのは、火事が起きていても火の元を止めずに水をかけ続けているようなものなんです。

ケイシーも言うように、健康な状態とは『ボディ・マインド・スピリット』の3つがバランスよく調和して初めて成り立つものであり、それが乱れた場合に病気や症状となって表れるわけです。その病気や症状というのは、実は私たちに今生におけるレッスンは何かと気付かせるためのメッセージなんですね。ですから、どの部分のエネルギーに不具合が生じているんだろうと、まずご自身で気付くことに大きな意義があるんです。私たち医者というのはそんな患者さんのお手伝いをする同行者みたいなもので、病気や症状を治すのはあくまでも患者さんご自身なんですね。

そういったわけで私は今、患者さんに対症療法だけを行うことはしていません。もちろん、腹痛で苦しんでいる人に向かって我慢してくださいなどとは言いませんし(笑)、その時には痛み止めを処方します。無駄な苦しみを長引かせないという意味では、対症療法も必要ですからね。でも、患者さんには病気や症状の原因に対してきちんとご自身で向き合っていただきますし、痛み止めは病気を完治させるものではなく、あくまで慢性治療の一環として対症的に使うものとご理解いただきます。

テンプル――
テンプルのお客様には皮膚の乾癬やアトピーでお悩みの方も多いのですが、ステロイドについても同様にお考えでしょうか。

渡辺――
そうです。ステロイドも使いようですから、あまりに辛い症状であるなら短期間に使用して痒みを抑えればいい。ただ先ほどの例に戻りますが、ステロイドを使うということは、火事だからと火に水をかけてはいるものの、原因が分かっていないからまた出火する可能性がありますよ、ということです。だから、見た目だけで治ったと思ってはいけない。根本原因を探り、それに対処する必要があるんです。

テンプル――
とはいえ、乾癬やアトピーがなかなか治らないという人は、その原因を探るのにも相当苦心されていることが多いようです。どうすれば原因を掴めるんでしょうか?

渡辺――
普通はまず一般的な血液検査でアレルギー反応をみたり、化粧品のパッチテストをしたり、内臓の状態を調べたりするものですが、その検査結果が原因の全てだというわけではありません。たとえば今ここでアレルギー検査をして、ダニやホコリにプラスの反応が出る人がいるとします。でもそれだからといって、その人イコール花粉症やアトピーだということにはなりません。国語のテストが30点だからといって日本語が話せないわけではないというのと同じで、アレルギー検査も単なるテストにすぎないんですね。つまり、テスト結果は今起きていることの原因だという裏付けにはならないんです。

それから全身から体液が出てしまうような重度のアトピーに悩まされている人のなかには、カルマの問題が関係していることもあります。実際に以前そういう人に会ったことがありますが、退行催眠を受けたら自分が火あぶりの刑にあっていたということが分かったと話してくれました。その時の細胞の記憶を今に残していたことが、ひどいアトピーの原因だったというんですね。そういうわけで、一概にこうすれば症状の原因が分かるという簡単なものではないのですが……。やはり一番は、ご自身の皮膚と対話することですね。それには瞑想をするのがいいと思います。そして、体だけでなく心や魂のクレンジングを行い、ネガティブな感情をリリースすること。感情の抑圧というのもまた皮膚に表れるものだからです。

テンプル――
気付きが大事だということでしょうか。よく過去世退行や催眠療法などでは、気付くだけで治癒が起こると聞きますが。

渡辺――
他の人に言われたのではない、内からの気付きには大いに効果があります。でも、それだけでは足りない場合もあります。私が思うのは、『人は苦しみや修行ではなく、至福体験によってしか変われない』ということ。苦しみや修行からは気付きは得られるけれど、変化を遂げるところまではいかない。ですから気付きに加え、至福体験を味わって変容していくことこそが治癒を導く鍵だと思うのです。これを自分と患者さんの双方で体験することが、私の目指す次のステップでもあります。

テンプル――
どうすれば至福体験をすることができるんでしょうか?

渡辺――
ケイシーが提唱している『祈り』の実践ですね。そして、雑踏の中でも自分の祈りの空間を持てるような境地にまで達すれば、それこそ治癒は近いと思います。

テンプル――
なるほど。ただしそこまでの域に達するには、かなりハードルが高いといえそうです(笑)。やはりまずは肉体的なアプローチで、乾癬やアトピーを改善させる方法はないでしょうか。たとえばジョン・パガノ先生(※エドガー・ケイシー療法に基づいて主に乾癬治療を行っている、ニュージャージーのカイロプラクティックドクター)は、整骨と食事療法、排泄が大切だと仰っていますが。

渡辺――
それはもちろんそうですね。食事療法と排泄の大切さについては、私もクリニックでずっと言い続けてきました。食事については、本来はテレビでやっている○○食事法、などのような、何を食べたから治るという対症療法的なものはないんです。でも、ケイシーが言うように、肉や乳製品、穀物、でんぷん、糖分を極力避け、菜食主義を心掛けるというのは効果が高いと思います。

お通じについては、時に宿便まで取るくらいの徹底した排泄を心がけること。また、整骨でとくに頸椎や胸椎を整えてリンパの流れを良くすることも大事です。骨の歪みによってリンパの流れが滞ることが、湿疹の原因になっていることもありますから。あとはステロイドでしか良くならないと思い込むのではなく、いろんな治療法の可能性にも心を開くということでしょうか。

テンプル――
奈津先生ご自身も健康には気を使っていらっしゃるんですよね。

渡辺――
私は基本的には菜食ですし、お通じが滞らないよう時々洗腸もしています。お肉は年齢的なこともありますが、食べると腸が重たくなるので受け付けなくなりました。それでも食べ過ぎで身体が重たいと感じたら、すっきりするまでケイシーの勧めたリンゴダイエット(※リンゴだけを3日間食べる体内浄化法)を行うようにして体を調整しています。それから普段の洗腸に加え、海外に行った時にはクリニックでコロニクスを受けることも。全て自分の体の声に身を任せるようにしていますね。

テンプル――
それから奈津先生は皮膚のエキスパートでいらっしゃるだけに、間近で見ていてもお肌が本当に綺麗なのですが、ぜひお手入れ法についても教えてください。

渡辺――
これは誤解されている方も多いと思うので、ぜひ注意していただきたいんですが・・・。まず強い力で行うマッサージというのは、シミやしわを作る一番の原因になりやすいということをご存知でしょうか。よく美容家のマッサージ法が話題になっていますけれど、まず美肌を保つために一番大切なのはこすらない、触らないということなんです。洗顔ひとつにしても、皮膚の上にたっぷりと作った泡を転がす、というようなソフトな洗い方をしたほうがいいんですよ。肌を触らなかった人が最後に笑います(笑)。そして日焼けに注意する、タバコを吸わないというのは言うまでもない基本的なルールですね。

それと健康という観点からは離れますが、たとえばシミや肝ぱん、あざなどで悩まれている方は、クリニックに相談してレーザーや内服薬、塗り薬などで治療をしたらいいと思います。女性というのは、メイクのノリがいいだけでハッピーな気分になれるでしょう。もちろんやりすぎるのは禁物ですが、綺麗になることが活力の源になるのなら、適度に美しさを追求することにも意味がありますよね。

テンプル――
最後になりますが、奈津先生がこれから目指していらっしゃることは?

渡辺――
昔からずっと、お寺のような機能をもった場所を作りたいと思っていたんですよ。それも昔のお寺ね。寺子屋やよろず相談所、医療、皆が集まり祈ったり。私が何か患者さんにするというのではなく、ここに皆が集うことで、自ずから治っていく・・ような、そして治った方がまたそこでマッサージやってたりね。私は医療部門担当には変わりないですけども。そしてこの医療は波動医療、量子力学的医療というのが基本にあるというのは、間違いないことですね。私の信念はますます強くなってきています。ホメオパシーはそのひとつですが、それだけでなく幅広い「魂のレベルの医療」「進化をめざした医療」を展開してくつもりですよ。

2011年10月30日

今日は素敵なお話をたくさんしていただき、本当にありがとうございました。インタビュー、構成:河野真理子


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