初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『M61 61式戦車』
●開発経緯
U.C.0058年、サイド3がジオン共和国を名乗り、独立を宣言しました。これによって、他のサイドでも独立の機運が高まります。地球連邦政府は、第二のジオン共和国を出現させないため、経済制裁を加えたり、「反連邦組織によるテロから人々を守る」という名目で軍拡を行いました。
ここら辺の話を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
U.C.0061年、“60年代軍備増強計画”によって、“43式戦車”に替わる新たな主力戦車の開発が進められ、“M61 61式戦車”が制式採用されました。
第二次世界大戦までは、“重戦車”や“中戦車”、“軽戦車”や“駆逐戦車”など、用途に合わせて、様々な種類の戦車が生産されていましたが、戦後に兵器のマルチロール化が進み、すべての面で高水準のバランス型に一本化されていきます。これが主力戦車(MBT:Main Battle Tank)です。
M61は完成後も様々な改良が加えられていき、中でも最新の“M61A5 MBT 61式戦車5型”は無敵の強さを誇り、“究極の主力戦車”と呼ばれました。
ちなみにTV版および劇場版『機動戦士ガンダム』に登場するのが前期型、OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』および『MSイグルー』シリーズに登場するのが5型です。
M61は主に欧州、北米に配備され、地域によって、それぞれカスタマイズが施され、カラーリングも様々です。
●陸の王者
様々な最新技術が導入され、自動化が進められたことにより、初期型は車長、砲手、操縦手の3名、5型は車長が砲手を兼任し、2名で運用されます。
主砲は戦車としては珍しい連装砲が採用されました。人力では困難な装填は自動装填装置によって行われ、僚機との衛星を介したデータリンクシステムによって、位置情報や状態などの情報を共有することができ、長距離精密射撃も可能でした。
転輪側面には“スカート”と呼ばれるサイド•アーマーが設置されていますが、取り外すことも可能で、寒冷地では雪詰まり防止のために外されることもありました。また、前部フェンダーには雑具箱が搭載され、後部ハッチから物資や人員を収納することができます。
しかし、様々な機能を盛り込んだため、従来の戦車より一回り以上も大型化してしまいました。それでも機動性は高く、最高速度は不整地でも時速90kmを出すことができる破格の性能を誇りました。
駆動方式は電気駆動(モーター)とされていますが、劇中では内燃機関(エンジン)のように描写されています。恐らくコロニーに配備するには排気ガスが出せないため、電気駆動が必要だったのですが、地上戦で使用するに当たり、内燃機関に置き換えられた、または元々ハイブリッド方式だったと思われます。
このように最新技術が盛り込まれた高性能戦車であるM61A5はまさに“陸の王者”として君臨することになりました。
●ミノフスキー粒子とMSによる凋落
しかし、U.C.0079年に一年戦争が勃発すると、ジオン公国軍によるミノフスキー粒子散布戦術とMSの登場によって、その地位が揺らぐことになります。データリンクシステムは封じられ、長距離射撃はまず当たりません。また、有視界戦闘となったことで、2名での運用は困難を極めました。
その他にも、戦車は砲塔を360度回転させる都合上、上部装甲を厚くすることができません。MSはそんな戦車の弱点を狙い撃つことができたのです。
一年戦争に投入されたM61は、MSによって大量に撃破されてしまいましたが、連邦軍にMSが配備されるまでは、MSに対抗できる数少ない兵器として、戦線を支えるのに貢献したのも事実です。基本的には物量に任せたごり押しではありましたが、巧みな戦術を駆使し、通算で7機のMSを撃破した猛者も存在しました。
●スペック
全長:11.6m
車体長:9.2m
全幅:4.9m
全高:3.9m
最高速度:時速90km
乗員:車長兼砲手1名、操縦手兼通信手1名
主な搭乗者:ハーマン•ヤンデル、レイバン•スラー、ミッチェル、フランシス・マリオンほか連邦陸軍兵士
●基本武装
○2連装155mm滑腔砲
本機の主砲で、前期型の150mmから強化され、MS-06の装甲を一撃で貫くほどの威力を持ちます。砲門は独立可動し、左右交互に発射することも斉射することもできます。砲手の腕次第ではありますが、左右それぞれ別の目標に命中させることも可能です。自動装填装置による連射も利き、通常榴弾から徹甲弾や焼夷弾、閃光弾など弾種の切り替えを行うこともできます。
○7.62mm主砲同軸機関銃
左右の主砲基部に備えられた対歩兵用の機関銃です。
○HMG M-60 13.2mm重機関銃
砲塔上部に設置された対歩兵用の重機関銃で、車長が遠隔操作を行うことができます。
○M-299 5.56mm機関銃
砲塔後部のバスケットに装備可能なオプション装備で、こちらも対歩兵用です。
○スモークディスチャージャー
砲塔の左右側面に設置された発煙弾発射機です。前期型には左右3基ずつの計6基、5型には左右4基ずつの計8基が装備されます。
●戦後長らく運用された名機
地上戦における主力兵器としては、MSに取って代わられることになり、生産も中止されてしまったM61でしたが、実はU.C.0087年頃まで運用されています。
連邦軍はあくまでも連邦政府の一機関でしかありません。有事ならともかく、平時から軍事に莫大な予算を注ぎ込むことなどできません。特に戦後しばらくは復興に力を入れなければならないため尚更のことです。倒すべき大きな敵がいない状況であれば、主力戦車として完成されたM61で治安維持は事足りるわけです。
後継機としては、“RX-75 ガンタンク”をベースとした“RMV-1 ガンタンクII”が開発され、拠点防衛用に少数が生産され、ジャブローなどに配備されています。
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