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レジ袋はなぜ有料に?

2020年7月1日からレジ袋が有料になりますね。制度の概要や対象となる袋の説明は経済産業省のHPにとても見やすくまとまっています。

ここでは、以下目次のことについて考えていきます。今回引用が多いですが、お時間のない方は引用を飛ばして読んでください。

レジ袋はなぜ有料に?

プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」には以下のように書いています。

一方で、(プラスチックは)資源・廃棄物制約や海洋ごみ問題、地球温暖化といった、生活環境 や国民経済を脅かす地球規模の課題が一層深刻さを増しており、これらに対応しながらプラスチック資源をより有効に活用する必要が高まっている。こうした背景を踏まえて 2019 年5月に政府は「プラスチック資源循環戦略」を制定し、その重点戦略の1 つとしてリデュース等の徹底を位置づけ、その取組の一環として「レジ袋有料化義務化(無料配布禁止等)」を通じて消費者のライフスタイル変革を促すこととした。

まとめると、「プラスチックは廃棄物処理、地球温暖化で問題だから有効に使いましょう。レジ袋を有料にしたら、プラスチックの削減について考えるきっかけになるよね。」ということかと。この「考えるきっかけ」というのが大切です。

レジ袋を有料にすると辞退する人は増えるのか?

庁舎内店舗で試してみたところ、「レジ袋を配布しない」をデフォルト設定にすると、辞退率は高くなりました。

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プラスチックゴミ削減への効果は?

レジ袋の使用量を調べるのが難しかったです。年間300億枚、305億枚という数字を見かけますが、その根拠となる資料を見つけられない。こちらのサイトで数字の検証をされてます。

2019年9月26日行われた「第1回 レジ袋有料化検討小委員会合同会議」で日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会様の資料には以下のように記載されています。

国内のレジ袋は廃プラスチックの約2%に過ぎず、有料化することで削減できても廃プラスチックの実質的な削減には至らない。

では、廃プラスチックは年間どれくらい出ているのかというと、プラスチック循環利用協会「プラスチックリサイクルの基礎知識 2019」によると、2017年の廃プラスチックの総排出量は903万t。この2%となると18万t。半分の方が辞退する仮定すると、9万tの削減になります。

地球温暖化への効果は?

地球温暖化の一因と考えられている二酸化炭素(以下、CO2)の排出量を計算してみます。

レジ袋を作ってから捨てるまで(原料採掘、製造、輸送、使用、焼却)までのCO2排出量は、プラスチック循環利用協会「LCAを考える」によると、1枚3.0gのレジ袋で15.4g/枚。9万tのレジ袋に関係するCO2排出量は9万t÷3.0g/枚×15.4g/枚=46万t。

46万tのCO2がどのくらいの量に相当するかというと、
1.スギの木153万本(面積にして東京ドーム325個分、渋谷区くらい)のCO2蓄積量
2.日本全体の二輪車(バイク)7ヶ月分のCO2排出量

1.林野庁:樹齢36~40年のスギ1000本/haのCO2蓄積量302t
2.国土交通省:2018年の二輪車のCO2排出量79万t
をもとに計算

レジ袋有料化はプラスチック削減を考えるきっかけに?

どうでしたか?レジ袋を有料化はプラスチック削減を考えるきっかけになったでしょうか?

COVID-19が猛威を振るうなか、使い捨てプラスチックのあり方も見直されています。最後に、レジ袋有料化検討小委員会合同会議で日本ポリオレフィンフィルム工業組合様の資料を紹介して終わりたいと思います(全文はのせませんが、1ページ目だけでも読んできいただきたいです)。

プラスチックを悪とするのではなく、有効に活用する方法を考えていけるといいですね。

レジ袋は「使い捨てプラスチック」ではないという認識です。現在無償配布されたレジ袋については消費者が家庭での梱包用や、水切り袋等、ごみ袋の為のごみ袋等、再利用されていることが大部分であり、各家庭にかなりの使用済みレジ袋が使い捨てにせず、大切に保管され、大事に再利用され続けています。これを使い捨てと言うべきでしょうか?

*ポリオレフィンフィルムはレジ袋で主に使用されているポリエチレンを含む樹脂の総称です。

編集後記

この記事を書く前はプラスチックの原油使用量は原油年間使用量の3%で、レジ袋はその内の少しだから削減しても寄与率は高くないだろうと思っていました。しかし、なぜ有料なのかと考えるとレジ袋にとどまらず、身の回りのプラスチック製品を見返すよいきっかけになりました。最後にご紹介した引用の「レジ袋は使い捨てプラスチックではない」という一言、ふと机の横の小さいゴミ箱をみるとレジ袋がしっかりとセットされてました。

日本の「プラスチック資源循環戦略」にご興味のある方はこちらをどうぞ↓

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Photo by Mathyas Kurmann on Unsplash

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