『ドードー鳥が見た夢は』act3
act3.沢村家の食卓
セット、状況はact1と同じ。
京也、イライラした様子で登場。母、それに気付く。
母「あ、京也おはよう」
京也 (テーブルを両手で叩いて)「もうイヤだ!訴えてやる!」
父「京也、テーブルを叩くのはやめなさい」
母「京ちゃん、どうしたの?」
京也「兄貴がうるさい!」
母「和也また唸ってたの?」
京也「唸ってたよ!ていうか寝言がうるさい!『メイシーメイシー』って、どっかの外国の女の名前呼び続けてうるさいの何のって」
父「それは大変だなぁ」
京也 (父の方によって)「ねぇ父さん、オレ、一人部屋が欲しいんだけど」
父「何?」
京也「だって一人部屋なら兄貴に睡眠妨害されずにすむだろ?」
父「ダメだ」
京也「何で?!オレが可哀想じゃないってのかよ?!父さんはオレを愛していないのかい?!ひどいや!」
父「そういう訳じゃない!良く考えてみろ、うちは3LDK、家族は4人。そのうちの一部屋が私の書斎、もう一部屋が夫婦の寝室。残りの一部屋が子供部屋。もう余っている部屋はないのだ」
京也「父さんの書斎いらねーだろ!オレによこせ、その部屋!」
父「無理だ。書斎と言ってもほぼ物置として使われているんだ。もう足の踏み場もないぞ」
京也「荷物どかせばすむ話じゃん!」
母「それはそうだけど、何日かかるかしらねぇ…」
京也「そんなにギチギチに入ってるの?!」
父・母「入ってる。」(真顔で)
京也「マジかよ…。あ、じゃあオレ、リビングで寝る!それならいいだろ?」
母「ダメよ、京ちゃん、早起きできないじゃない」
父「いつまでも寝ていられると邪魔だもんな、リビングだと」
京也「大丈夫、オレ頑張って早起きするから!兄貴の騒音に比べたら早起きなんてかわいいもんだよ」
母「でもねぇ…」
父「何かイヤなんだよなぁ」(母の方を見る)
母「イヤだわぁ」(父の方を見る)
父・母「イヤー。」(京也の方を見る)
京也「何でだよ!」
父「とにかく、もうしばらく我慢しなさい。そのうち唸りもやむだろう」
京也「そんなぁ」
母「さ、あなたたち、早くご飯食べちゃって。遅刻するわよ」
父「うむ。そういえば和也はどうした?」
京也「まだ寝てる。今日は午前中授業ないんだってさ」
父「そうなのか。気楽なもんだな、大学生ってやつは」
京也「オレもとっとと大学生になりたいよ。」(食べ終わって)「ごちそうさま!いってきます!」
京也、袖に消える。父、母、それを見送る。
暗転。
act4はこちら。
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