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2021.10/27~29石垣島採集

新型コロナウィルスの影響で長らく外出の制限がされていたが、緊急事態宣言が解除され僕自身のワクチン接種も終わったので数年ぶりに石垣島に採集へ行くことにした。

今回の目標は2種類定めている。
しかし、とにかく1番の目標は「楽しんで」採集をすることである。
久しぶりの南西諸島での採集なのでとにかく楽しみながら色々な生き物を見たい。ただその一心で石垣島に行きたい。

この石垣島採集を思い立ったのは10月初旬だったが、それから当日までGoogle Mapの衛星写真と地質調査表と見比べながら、短い期間でどこを調査するかを決めた。
この期間が本当に楽しい。
早く現地へ行き、実際に自分の足で見て周りたい。

楽しい時間はあっという間に流れるもので、ついにその日はやってきました。

石垣島採集1日目

関西国際空港へ向かう。
久々の関西国際空港。まだ新型コロナの影響があるらしく普段の数の人の姿が見えない。
空港内の飲食店も多くがシャッターを降ろしている。
空港関係者の数の方が多いのではないだろうか。


久々の飛行機。久々のPeach。
機体の揺れと時折感じる無重力感に内臓を掻き回され、手汗を握りながらも無事に石垣島に到着することが出来た。
飛行機から降りた瞬間から肌に感じる熱気。10月下旬だというのに気温は26度もある。
関西国際空港と同様に石垣空港も人の姿は疎らで気色が悪い程の静けさだった。

早速レンタカーを借り、ホテルにチェックインする。
そして荷物を置くと早々にホテル近くの浜辺へと向かった。


今回の目標のうちの一種類である

リュウキュウタマワラジムシ


を探す為である。

リュウキュウタマワラジムシ
Alloniscus ryukyuensis
ニホンタマワラジムシの南西諸島における代替種。
砂浜への依存が強い。
保護色の為体表は生息する砂地と似たような色合いになるので、砂浜ごとに色合いが異なる。
基本的にニホンタマワラジムシより小型で、同種でも南に行く程小型傾向が強くなる。

ダンゴムシの本より引用 著:奥山風太郎

飼育が困難である本種の飼育に挑戦してみたい。
ただその一心で探した。

浜辺に到着し周囲を観察すると夥しい数のオカヤドカリ達に出迎えられる。
その尋常ではない数に毎度驚かされ、なぜこの生き物が天然記念物なのだろうか。と疑問に思う。
しかし、石垣島に来たのだな。と実感させられる生き物に心は踊る。

黙々と海岸に打ち上げられた流木や海藻などを捲り探して行くが、なかなか見つからない。
生息地である浜辺にはわらわらと居ると情報を得ていたのだが、全然居ないではないか。

これは完全に浜を間違えたな。と思い帰路につこうとしたが、恐らく過去には川が流れ込んでいたと見られる谷状になった場所が目に入ったので少し探索してみることにした。

この浜辺は砂浜ではなくゴロゴロとした大きな珊瑚で形成されているので、日が暮れ始めると周囲からオカヤドカリ達のカサカサとした足音が雨でも降っているような錯覚に陥るほど聞こえてくる。

30分程オカヤドカリ達の足音を聞きながら砂を掘っていると何やら掘り返して山になった砂が内部からモゾモゾと動いているではないか。

オカヤドカリか?と思いながらもモゾモゾしている物体をそっと摘み上げた。


...見つかった。


砂と一緒の体色。
大きさも米粒より一回り大きいくらいの純白の体。

念願のリュウキュウタマワラジムシである。

久々の採集の中の1匹だったこともあり、気分が非常に高揚した1匹であった。
1匹を見つけてからはあれよあれよと見つかる。


同所から少し幅の広いタマワラジムシも見つかったが、また別の種類なのだろうか?
砂と呼ぶには大きすぎる粒も確認できる。

同所では純白とは真逆である漆黒のタテジマコシビロダンゴムシも発見できた。

またヤンバルコシビロダンゴムシと思われるダンゴムシも採集できた。


透明感があり非常に美しいダンゴムシだったのだが、
1匹しか発見することが出来ず、採集はせずに観察だけをして逃がすことにした。
(この1匹が最終日まで、いや今現在も気になり続けている。)

無事に採集できたので一旦夕食を摂るためにホテルへと戻る。
本命はこの後である。

石垣島初の食事は地元の料理が食べたいと思い、個人経営の古びた居酒屋へ入る。
しかし、石垣島ではまだ新型コロナの影響で時短営業を継続している飲食店が多いようで、入ったお店もそうだった。

閉店30分前に急いでソーキそばをすすり、そそくさとお店を後にした。

会計をしながら店員さんに確認すると飲み屋街の飲食店は特に時短営業はしていないらしく、中心街から離れた飲食店だけのようだった。

石垣島(沖縄県)は新型コロナへの関心が高いのか自宅の外壁にスプレーで「Enjoy Home!」、「Stay Home!」等と書かれている光景をよく目にした。



そして、2箇所目の浜辺へと車を向ける。
次の浜は石垣島北部に位置する海岸である。
現在地は石垣島南部。一気に縦断する。

海岸へと向かう道中、道路には次々とオオヒキガエルが飛び出してくる。

道路脇の街路樹には何故か多数の猫が木登りをしていた。


オオヒキガエルを見ながらGoogle Mapを頼りに目的の浜辺の近くへ辿り着いたが、浜辺へ出られる道がなかなか見つからない。
Google Map上では細い道が確認できるのだが、草木が覆いかぶさり実際には道などなかった。
我慢出来ずに無理矢理入った薮では大量のリュウキュウイノシシと目が合い冷や汗をかいた。

ひたすらGoogle Mapを見ながら入れそうな道をなんとか探し出し、無事に浜辺へと抜けている1本の道を見つけた。
(昼間に下見をしておくべきだと痛感した。)



浜辺へと無事に出る事ができ、ふと空を見上げるとそこには満点の星空が広がっていた。
僕の住む滋賀県もこの石垣島も同じ田舎ではあるが、星空の美しさは全くの別物であった。
なんせいくら田舎と言っても滋賀県には街灯がある。
石垣島には街灯も少ないのだ。

美しい星空と波の音を十分に感じた後は一転し、目線を下へ向ける。
1箇所の浜辺は石灰岩と珊瑚が主体で形成された浜辺だったがこちらの浜辺はサラサラとした砂地の浜辺である。非常に歩きにくい。

早速目に付いた大きな流木を捲ってみることにした。

すると1箇所目とは違いわらわらと居るではないか。
1箇所の苦労はなんだったのかと思う程の数のリュウキュウタマワラジムシが流木の裏に張り付いている。



この浜辺で見つけたリュウキュウタマワラジムシは少し赤みがかった部分がある。

必要分を採集し終え、次は飼育に生かすために生息環境をじっくりと観察することにする。

リュウキュウタマワラジムシを発見することが出来た条件は全て大きな珊瑚や流木を捲った裏面である。

流木の裏は少し色が変わるくらいの仄かな湿度。
砂を触ってみると手にまとわりつかず非常にサラサラとしていた。
更に掘ってみると掘り進むほど砂の湿度は増して行くが、深層にリュウキュウタマワラジムシの姿は見られなかった。

繊細そうな純白の体と見た目、海岸に生息するという情報から勝手に湿度を好むと思っていたが、意外と乾燥気味の方が良さそうである。

せっかく出会えたリュウキュウタマワラジムシとその命を無駄にしない飼育方法を見つけたい。

その思いで周囲の環境をよく観察し、この日はホテルへと帰...ろうとしたのだが、車を停めたその脇にある小規模な砂地にキセルガイの仲間を発見したので少し探してみることにした。

範囲にして1m四方もない程の空間。
砂地と言っても土が乾燥し砕けたようなさらさらの砂である。
深さも3cm程しかないのだが、数匹のヤンバルコシビロダンゴムシを発見した。

ヤンバルコシビロダンゴムシ
Spherillo sp.
ヤンバルコシビロダンゴムシとした種と似た個体は南西諸島に広く分布している。
少なくとも沖縄諸島の各島に産する個体は同一種またはごく近縁な関係である。

ダンゴムシの本より引用 著:奥山風太郎

メインの目標は2種類だが、サブ目標として各地に生息するヤンバルコシビロダンゴムシを集めるという目標もあったので有難い。
ダンゴムシの本には同一種または近縁な関係とあるが島々または同一島内の個体でも地域が変われば色味や大きさ等が変わる。
またVenezillo parvusという熱帯広域分布種も南西諸島、小笠原諸島で発見されているので同じ島内であっても地域別で採集して実際に見比べたい。

(それにしてもこんな乾燥した場所を好むだなんて不思議である。)

石垣島採集2日目

ホテルに戻ってから採集した生き物の観察をしながらオリオンビールを飲んでいたので前日の就寝は2時だったが早起きし、朝から有名な島豆腐のお店で朝食を済ませる。

豆腐には何も味付けがされておらず、塩、自家製味噌、コーレーグースなどで好みの味を付け食べるようになっている。

ふりかけご飯が妙に懐かしい雰囲気を醸し出していた。

まずは何も付けずに豆腐だけを口にしてみると、口に入れた瞬間から濃厚な豆の香りが鼻を抜ける。
普段食べている豆腐よりも豆の香りが強い。

次に塩を少しふりかけ口にしてみる。
今度は豆の香りはそのままに豆腐の甘さが強調された。

豆腐好きには堪らない美味しさである。

最後に店員さんおすすめの自家製味噌とコーレーグースを追加するとようやくご飯の「おかず」となった。



今日は海岸ではなく山へと車を向ける。

2種類目の目標である、

カガホソコシビロダンゴムシ

を探す為である。

カガホソコシビロダンゴムシ
(ツヤタマコシビロダンゴムシ)
Spherillo sp.
光沢が強くとても美しい。
国産のタマコシビロダンゴムシ(Spherillo属)を見る限りでは本種が最も艶やかである。
求める生息環境がシビアでやや局所的かつ数は多くない。

ダンゴムシの本より引用 著:奥山風太郎


ネットやSNSで写真を見る機会は多いが生息環境が局所的ということと飼育が困難で累代が難しい事から長らく実物を拝む事ができなかった。

宮古島、伊良部島、西表島でも発見されているが、この石垣島産のカガホソコシビロダンゴムシが最も美しいと思っている。長年の憧れである。

ぜひ実物を拝みたい。
そしてやはり生息環境を実際に観察し、飼育に生かしたい。

まずは朝食を頂いた豆腐屋の近くの鍾乳洞付近の林を見てみる。


この場所では多数のタテジマコシビロダンゴムシとヤンバルコシビロダンゴムシが発見できた。
石灰岩が豊富にあるからなのか、両ダンゴムシ共にとても大きい。

各種SNSで"ヤンバルコシビロダンゴムシ"と検索してもあまり情報がないことからもわかるが、恐らくヤンバルコシビロダンゴムシを見つけて喜ぶ人間はそう多くないと思う。
(飼育も「土」を飼育しているようなもので決して楽しいものではない。)

タテジマコシビロダンゴムシ
Spherillo russoi
色彩や模様の個体差が大きく、和名のような縦縞のある個体は実は多くありません。
色彩や形態に変異が多いことから、かなりのシノニムを生み出している。

おどろきダンゴムシ図鑑より引用 著:奥山風太郎

タテジマコシビロダンゴムシもヤンバルコシビロダンゴムシと同様に地域により見た目に違いがあるのでぜひ集めたいダンゴムシの一つだ。

一通り探索したあとはネット上にある様々な情報、友人知人からの情報をGoogle Mapと地質表と照らし合わせながら場所を絞り、導き出した山へと向かう。

山へ向かう道中は石垣島に来たんだな。と思うような景色が眼中に広がる。


周りには放牧された牛達が日向ぼっこをしていた。
10月28日ではあるが気温は28度もあった。
山に入るので毒虫対策に長袖長ズボンを着用しているので非常に暑い。

山の麓では木々に向かって網を振っている人を見かけたが、何を探していたのだろうか。

周囲の観光客達が爽やかに海を背景に写真を撮っている姿を横目に僕は日の当たらない山へと入った。


入ってすぐ、車を停めた脇にある側溝に溜まった落ち葉を掻き分けるとアマビコヤスデ、マルヤスデ、ヤエヤマモリワラジムシを見つけることができた。


アマビコヤスデとマルヤスデ。

ヤエヤマモリワラジムシ
Burmoniscuc ocellatus
逃げる姿はまるで小魚が泳ぐように見える。
ほかのダンゴムシ、ワラジムシの仲間と同様に体の一部または全体がオレンジ色になる変異が本種でも見られるが、比較的高頻度かつパターンも豊富

ダンゴムシの本より引用 著:奥山風太郎

本土で良く見るモリワラジムシよりも大きく、体のフォルムが古代生物のようで格好がいい。


石垣島特有の生き物に歓迎(?)され、満足したので本命の場所を探索することにする。
僕の採集は寄り道が大半である。

石灰岩などが転がるガレ場所で雰囲気はとてもいい。
だが、石を捲れど出てくるのはゴキブリの仲間とムカデ達である。
正直な所、地面に湿り気が無くあまりダンゴムシが居そうな感じはしない。

カガホソコシビロダンゴムシは事前情報によると「湿潤な森林」に生息する。とのことだったので、探索している場所はまさに正反対の環境であった。

心中は完全に諦めモードに入り、代わりにヤンバルコシビロダンゴムシは居ないかとスコップを片手に湿度がなく固まりきった地面をガリガリと削り始めた。

上の写真にあるような斜面の1番下。
道路から1mも離れていない場所をガリガリと削り続けたがヤンバルコシビロダンゴムシすらも見つからない。

心は完全に折れたのでそろそろ場所を変えようと思い、削り落とした土を元に戻していると、なんと土の中からピカピカと光る丸い物体が現れたではないか!

(この日初めて使ったカメラだったのでピントが全く合っていない)

心拍数が上がり、手を震わせながら慎重に摘み上げて確認する。

紛れもない。
憧れ続けたカガホソコシビロダンゴムシである!!


こんな乾燥した場所にいるのか!?

それが第一の感想である。

1匹発見したのなら他にもいるはずである。
折れかけた心は一気に鋼の心に変貌し、先程まで硬くて削りにくかった地面は大量のアドレナリンのお陰でサクサク削ることができた。

しかしどうだろう。1時間程探しただろうか。
2匹しか見つからなかった。

僕の心はまた折れた。

気分転換に昼食を摂ることにし、一旦下山する。
(厳密にはまだ山に入っていないが)


昼食もソーキそばである。(大好物。)
ジューシーと呼ばれる炊き込みご飯も美味しい。
(根強いファンも多い(?)某ラーメンチェーン店ス〇キヤの炊き込みご飯に近い素朴な味である。)


大好物のソーキそばでお腹を満たし、心の修繕を念入りに行った上で再度カガホソコシビロダンゴムシを発見した場所へと向かう。


今度は斜面の上を探索する為に木々をかき分け登っていく。


そして、ガレ場の小石を捲り現れた地面をスコップで削り続けると3匹目を発見するのに時間はかからなかった。

固まった土の粒がわかるだろうか?
このような粒をサラサラと掻き分けるとコロコロと転がり出てくる。


だが、やはり数は多くないようで1箇所から1~2匹出てくるのみで「当たり」の場所も20分に1箇所程しか見つからなかった。

しかし、何匹か採集していると見つかる場所の共通点に気付いたのでその共通点のポイントのみを探ると次々と発見できたのである!

ポイントを発見出来てからは興奮状態でマダニの事など頭になく四つん這いになって探し続けていた。
(すぐ外せたが1箇所マダニにやられていた。)

これだけ集まると壮観な眺めである。

オレンジの面積が多い個体は見つからなかったものの硝子細工の様な透明感と艶やかな光沢が非常に美しい。
大きさもオカダンゴムシ程の大きさがあるので全身で太陽光を浴び、山の中で見るより輝いていた。
他の島に生息するカガホソコシビロダンゴムシと呼ばれるダンゴムシは飼育しているが、他のカガホソコシビロダンゴムシがヤンバルコシビロダンゴムシに思えるほどの透明感と輝きである。


探している最中は必死に土を掘り返していたのであまり感じなかったが、下山してから実物のカガホソコシビロダンゴムシを見ると何とも言えない感動に包まれた。

まさか「湿潤」とは掛け離れ、腐葉土は疎か落ち葉も少なく、カチカチに固まった土のような場所に生息するとは。
生息環境を実際に観察しないとわからないとはまさにこのことである。

石垣島はここ数日降雨がなかったとのことだったので、それが原因で乾燥から耐える為に少しでも潜れる地面に潜り丸まって耐えていた。のではないかとも考えたが、のうのうと地面を歩いている個体も発見できたので不思議である。
(本人は潜れる場所や少しでも湿度のある場所を必死に探していたのかもしれないが)

更に今回探索した場所は山の中ではあるが海からの風が吹き抜けるような環境であった。
海からの風とは言え、更に乾燥を進める要因ではないのだろうか。
しかし潮風により何らかのミネラル分が供給されているのは確かだろう。

ネットやSNS上、図鑑等で目にする、「湿潤な森林」、「川の傍」などの情報は何一つ当てはまらない環境。
しかし、一点だけ当てはまる条件は「海の近く」ということだった。

今まで多湿寄りで飼育をしていたが案外湿度にはうるさい種ではなく、通気性とミネラルが大切なのかもしれない。

また脱皮不全に陥り易いという飼育者の情報もあるが、石灰岩がゴロゴロしている環境からカルシウムの要求量がかなり高い可能性が考えられる。

更に「もし」今回発見できた環境が「通常」の状態であるのなら硬い地面というのもポイントになるかもしれない。

今まで例を見ないが、硬い地面を利用して脱皮をするような性質があるとすれば多湿寄りの環境で腐葉土やヤシガラを使用し、飼育する環境は真逆の環境である。脱皮不全が頻発してもおかしくはない。

こればかりは一度の発見ではまだ判断しかねるが、何か参考になることはあるはずなので、今回の飼育に生かしてみたいと思う。


色々と考えさせられる事が多いが、この日は満足して帰路についた。


そして夕食は石垣牛に舌鼓を打つ。

1人前の量がかなり多い。

肉質は脂があるにも関わらず、脂っこくはない。
口に入れ噛み締めた感想は「雄々しい肉」と言った感じだった。
噛めば噛むほど溢れる旨味が感じられ、地元を代表する近江牛の脂が苦手な僕には非常に美味しく感じられた。

アメリカンな肉に旨味を足したような味で、和牛の脂が苦手な方はぜひ食べて欲しい。

口いっぱいに溢れる雄々しい旨味と脳裏に焼き付いた地面に転がり出て来る美しい硝子細工の思い出をオリオンビールで一気に流し込む。

最高の夕食であった。

更に店を変えて〆のソーキそばを頂く。

昼食に頂いたソーキそばは塩味のさっぱりとしたスープだったが、このお店の味は醤油の旨味があり僕の思うソーキそばにどんぴしゃの味だった。
(ソーキそばの味はその店々で違うので好みのお店を探すのも楽しい。)
(ちなみにコーレーグースも風味が様々である)

また店主のおじいちゃんとおばあちゃんの人柄もよく、ほっこりとした気持ちになれる素敵なお店だった。

今日は満足したのですぐに帰路につこうと思っていたのだが、やはり気になった場所へ立ち寄ってしまう癖は止まらない。


周囲に灯りが全くなく暗すぎて写真に映らないので雰囲気だけでも。

この浜辺ではハサミムシは発見できたがリュウキュウタマワラジムシは見つからなかった。


石垣島採集最終日

この日は16:50発の飛行機に乗らなければ行けないので、あまり遠出は出来ない。

しかも寝坊もしてしまった。

だが、目標の2種類を無事に発見出来て心に余裕が生まれているので優雅に朝食を頂くことにした。

昨日と同じ豆腐屋さんである。
今日はぶっかけスタイル。
ご飯の上にとろろをかけてその上から豆腐という初めて経験するスタイル。
今回は塩ベースの味付けがされていたが、このお店は豆腐に合うトッピングが多数用意されているのでタコ明太とコーレーグースを更に追加して頂いた。

これはハマる。


胃袋を満たしたあとは観光メインで石垣島鍾乳洞へ向かった。


鍾乳洞の中はひんやりとしていて気持ちがいい。
ライトアップもされていて非常に神秘的な世界が広がっていた。

天井から滴り落ちてくる雫が地面に落ち、弾ける音が心地よく鍾乳洞内に響き渡る。

とてもスリムなトトロも出迎えてくれた。

小一時間程鍾乳洞を満喫し、地上へ上がると気になるのはダンゴムシである。

庭?を整備していた職員さんと話をしながら少しダンゴムシを探していいですか?とお伺いすると怪訝そうな顔を一瞬浮かべたものの笑いながら許可をくれた。

ただ、整備された庭園なので露骨にガサガサと探す事はできない。
崩れた瓦や捲りやすそうな石だけを捲るのみにしておいた。

そして、こんな整備され尽くした庭園でも生息しているのがヤンバルコシビロダンゴムシである。


今回採集した2地域のヤンバルコシビロダンゴムシよりも頭が大きいように見える。

これがヤンバルコシビロダンゴムシの面白い所である。

同所に生息していたこの陸貝はなんだろうか?

オカチョウジガイ?キセルガイ?
何にせよ色味の派手さから外来の陸貝の可能性が高そうである。


しばらく探索していると、先程許可を下さった職員さんが話しかけて来てくれたので見つけたダンゴムシを見せたのだが、

「そこら中にいるよ!」の一言で終わったのは言うまでもない。

本土に住んでいる僕から見れば目新しいダンゴムシ達ばかりだが、石垣島在住で尚且つ毎日庭をいじっている職員さんからすれば毎日目にする「普通」な生き物なのである。

何匹か持ち帰ってもよいか確認すると更に驚いておられましたが、「飛行機に積めるならいいよ~」と許可を頂けたので数匹採集させて頂いた。

旅は地元の方と話すことも楽しみの一つである。
地元の方から得られる情報はネットで検索するよりも遥かに役立つ。

誰にでも話しかけられる性格が功を奏し、次回の採集地である宮古島に生息するダンゴムシに関する貴重な情報も得られた。


時間も時間なので石垣島鍾乳洞から空港へ向かう。

...はずだがやはり緑があると気になるので少しだけ寄り道をする。

街中にこんな森が現れたので少しだけ散策。

沢山のムリナネッタイコシビロダンゴムシとタテジマコシビロダンゴムシが生息していた。

蚊からの猛攻を受けたのでそそくさと退散することに。



途中で立ち寄ったジェラート屋さんにあった泡盛のジェラートが非常に美味しかった


スパークリング日本酒の澪をアイスにしたような感じの甘みでどれだけでも食べれそうだが、アルコールが3%程入っているようなので要注意。

美味しいアイスを食べて、空港に向かうのかと思いきや、最後に空港近くの海岸に立ち寄って石垣島の海を味わうことにした。

地面ばかりを見ていた3日間だったので綺麗な碧い海を眺めて目の筋肉を解す。
(流木はもちろん捲ったのは言うまでもない。)



石垣島の美しさ、楽しさに後ろ髪を引かれつつも空港に到着し飛行機を待つ間に更にジェラートを。

紅芋&ドラゴンフルーツと島豆腐。

島豆腐のジェラートは中に島豆腐がゴロゴロと入っていて、口いっぱいに豆の香りが広がり非常に美味しかった。
もっと早く出会っていたかったものだ。


こうして、久しぶりの石垣島での採集は幕を下ろした。

今回の採集は文句なしの大成功であったのは言うまでもない。
この記事を執筆しているのは11月2日だが、未だに土から転がり落ちてくるカガホソコシビロダンゴムシの美しさと見つけた瞬間の感動は脳裏に強く焼き付いている。


これから新型コロナがどうなるかわからないが、これからも色々な地域で採集をしたいと思える素晴らしい採集ができたと思う。



このような美しい生き物といつまでも出会えるように、

採集は必要最低限の匹数のみ。

立ち入り禁止の場所には立ち入らない。

ゴミを捨てないのは当たり前。
ゴミは拾って帰る。

捲った木や石、掘り返した土はできる限り元通りに戻して帰る。

自然に敬意を評してこれからも採集を楽しんで行きたいと思う。

TEMARIN MOTO

2021.11.2 公開
2021.11.3 加筆修正

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