映画感想文 落下の解剖学
フランス映画です。
夫が3階のバルコニーから落ちて死亡した状態で見つかる。
果たして、事故なのか自殺なのかそれとも他殺なのか.......
警察は検死の結果、頭に殴打の痕があるという事で他殺と断定、
容疑者で妻のサンドラを逮捕する。
そして、法廷でのサンドラの『解剖』が始まる。
映画は法廷での検察官と弁護士のやり取りがほとんどを占める。
法廷サスペンスと言われる映画。妻のサンドラはベストセラー作家。そういった事情で傍聴人は、多い。多分、多くの人は、サンドラは、無実だと思っていただろう。だが、検察官の手に寄って、または、夫が録音していたふたりの喧嘩の一部始終から、サンドラには殺意があったという推測に変わっていく。
その過程のサンドラの表情が変化して、また、傍聴人も顔が険しくなり、見ていておもしろい。まるで自分も裁判官になったように『サンドラ、やったんだな』と思えてくる。
サンドラの性格、性癖、個性、明らかになっていく全てからサンドラは、怪しいと思わせられる。
だが、判決は無罪。
サンドラの息子の証言で、すべてがひっくり返るのだが、映画では、その後を、ハッキリとは明かさない。
グレーのままで終わる。
この映画、何を観せたかったのかを考えた。
どこの家庭でも、毎日、習慣的に同じように過ぎるが、大きな、若しくは小さな事象はあるもの。其れらは、本人たちでないと分からないこと。ただ、その様子を録音していたとしても、そこだけをクローズアップされて『そうなんだ』と理解されたら、たまったもんでは無い。もっとあるんだよ、生活していると、いろいろと。
全くスッキリせず気持ちが不安定なまま終わり、こちら側に答えを投げ出す映画は、嫌いでは無い。だから、長丁場、観れたんだと思う。人によって、観た後の感想はいろいろだろうなと思う。サンドラは、やったのか、やらなかったのか、そんなものはどうでもよくなる。ただ普通の家庭がミスコミュニケーションをしてしまった、というだけ。
Anatomyの訳は、解剖学
日本語のタイトル、そのまんまでした。
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