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『メディア社会—現代を読み解く視点』|読書記録

『メディア社会—現代を読み解く視点』を読みました。

へりおが個人的に付箋を貼ったポイントは以下の通りです。

「情報」は軍事用語で、「敵についての告」を指していた(27頁)/「プロパガンダ」はカトリック教に由来した(37頁)/文書の記録性と、ラジオの伝播性(61頁・154頁)/自ら情報を取捨選択できる現代は自己責任論を助長する(102頁)/「政策型報道」と「戦略型報道」(107頁)/ブルデューによる世論調査の公平性(118頁)/メディアの五つの機能(140頁)/都市によるコミュニケーション創造(158頁)/ビデオ装置本来の目的(162頁)/メディア論におけるゲートキーパー(166頁)/メディア依存による現実への過剰な危機感:『京都新聞』アンケート(176頁)/新聞とテレビのメディア比較(185頁)/ネット選挙とインターネット特性(211頁)


この中の一部を僕自身の考察を交えながら、取り上げていきたいと思います。


文書の記録性と、ラジオの伝播性(61頁・154頁)


他者と向き合う記録性の強い(時間バイアスがある)文書に対し、ラジオは記録性は弱いが伝播性に優れた(空間バイアスのある)メディアである。(61頁)
広告三媒体(新聞・雑誌・ラジオ)はフロー(流動的)な情報を伝達する即物的な消費財だが、個人蔵書であれ図書館であれストック(集積)される書物は精神性の高い文化財とみなされてきた。同じ活字メディアでも書物と新聞や雑誌では、私たちの取扱いは極端に異なる。(中略)新聞や雑誌は日付が過ぎれば基本的にゴミ扱いだが、古い書物は古書店で商品となってきた。(154頁)


我々にメディアの使い分けを意識させる文章ですね。

最近のSNSプラットフォームについても同じことが言えるでしょう。

TwitterやInstagramをはじめ、タイムラインが利用されている点において非常にフロー性が高いものであるといえます。しかしながら、その性質は一方で情報がゴミ扱いされてしまう危険性も孕んでいます。特にSNSで情報発信をしようと考える方はそのことを念頭において考え、複数メディアの使い分けをすると良いでしょう。

僕自身、ストックとしてnoteを活用しています。

いつかはkindle本を出してみたいです(笑)



自ら情報を取捨選択できる現代は自己責任論を助長する(102頁)


情報技術の発展により、個人はメディアが提示する無数の選択肢から自らの欲望にそった情報を自由に入手することが可能になった。だが選択そのものを自ら放棄しない限り、個人は特殊化、専門化した趣味の選択に膨大な時間を費やさねばならない。さらに自分の選択を合理化するために、人々は「自分探し」に多大なエネルギーを注ぐのだが、それは自己喪失の不安に由来している。結局、情報化によって個人は教会や学校や近隣共同体など物理的空間の規制から自由になったわけだが、個人の行動規範はもはや共同体によって担われず、すべては自己責任とみなされる。こうして、個人が背負い込む自己責任が増大すれば、それに耐えきれず精神的に破綻する者も現れる。そのため、誰もが国民文化と国民福祉に安住して、共通の歴史にアイデンティティを保証されていたナショナリズムを懐かしく思い起こす時代が到来する。(102頁)

長めの文章を引用しましたが、現代の情報取得の自由化と自己責任論、そしてナショナリズムの有機的なつながりを洞察する文章で非常に印象に残りました。

物理的空間の「規制」が実は「保護」的な役割を果たしていたことに気づきます。その保護を失った我々は、より広い意味での保護として国民主義に陥るわけですね。

自由が分断を生む社会。PS4のゲームである『DEATH STRANDING』のような世界を予見しているようです。



メディア論におけるゲートキーパー(166頁)


報道機関が必要なニュースを伝え、不要なニュースを排除する機能を、メディア論では「ゲートキーパー(門番)」という言葉で説明する。(166頁)

皆さんは、今のマスメディアがゲートキーパーとしての機能を果たしていると思われますか?

へりおが大学生時代、とある写真祭の設立者の方にインタビューした際に、彼は「都合の良いことしか言わないマスメディアへの反抗として、写真を通して世界各国に潜む問題を取り上げている」とお話いただいた経験があります。

テレビも雑誌も広告で成り立っている現代において、マスメディアは盛り上がる情報を極端に取り上げる傾向にあるように思えます。(アジェンダを設定し、世論を操作しています。)


僕自身はマスメディアに煽動されず、自らが様々な情報に触れ、ゲートキーパーのように選別ができる自立した人間を目指したいと考えました。その取り組みの一つとして、Twitterで個人的なニュースを発信し続けています。マーケティングのPESTの観点から情報発信をしています。(勿論、マスメディアが注目するものもあれば、まったくでてこないような情報まで発信しています。)

共感いただける方は、ぜひTwitterのフォローの方もお願いします。



まとめ

以上、いくつか論点として取り上げてみました。ここまで読んでいただきありがとうございました。

今回取り上げられなかったポイントについても時間がある時に考察しnoteにアップできたら良いなと思います。

新書は固い文章が多くなかなか手が出しにくい印象がありますが、その分学びの多い本でもありますので、皆さんも一度手に取ってみてはいかがでしょうか?


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