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2023/11/12 ゆず


6日目

とある本に、「中2のころに夢中になったものが、自分のやりたいことのヒントになる」と書かれてあったので、自分のそれを思い出してみたところ、まっさきに出てきたのが「ゆず」だった。
フォークデュオのゆずである。

ゆずを差し置いて、他に夢中になったものはない。
「生涯一番再生したCD」は、ブルーハーツの「LIVE ALL SOLD OUT」だろうが、総合再生時間アーティストは、ブルーハーツでもなく、GOING STEADYでもなく、間違いなく、ゆずが一番だろう。

初期3作品「ゆずの素」「ゆずマン」「ゆず一家」の歌詞は丸暗記していて、同じくゆずっこだった友明くんと、テスト用紙の裏に、まるごと1曲の歌詞をただ書いて見せ合いっこをするのが好きだった。
間違っている歌詞はないか、お互いに確認しあう「裏テスト」をしていたのだった。

ライブアルバム「歌時記」は、MCも、曲入りのあおりセリフなんかも、全部丸覚えしていて、友明くんと「ゆーじん」「こうちゃん」の役割を交代しながら再現ライブごっこもよくやった。

そこまでやれていたのは、もちろん、自宅での熱心な自習時間があったからで、部屋のコンポのCDトレーは、必ずゆずのいずれかが入っており、スピーカーは、2人の織りなすハーモニーに合わせたエイジングがなされていっていた。

ぼくの毎日がゆずで埋め尽くされていた。
インターネットもなかった時代だけれど、片田舎で手に入れられるだけの情報を求め、ゆず関連の本を受験勉強のごとく繰り返し読み、「岡村町」「ジャージ」なんていう初級用語はもちろん、「岩ちゃんは、眉毛をいじらないことをモットーとしていること」「コンビ名がハイライト(タバコの銘柄)になりかけたこと」「うすっぺら、という未発表の名曲があること」などが僕の頭に叩き込まれていった。

あんなに好きになれたものは、生涯ないだろう。
よくよく考えてみると、ゆずは、今の僕のいろんな源になっている気がする。

今でもラジオを聴く習慣があるのは「ゆずのオールナイトニッポン」を聴いていたからだ。

Pheobe Bridgersや前野健太など、なんだかんだ歌が好きなのは、ゆずのフォークソングが染み付いているからだろう。

久しぶりに「ゆず一家」のジャケットを見てみたら、岩ちゃんの赤いTシャツの着こなしに見入ってしまった。それにどれだけ憧れていたか。一瞬で僕の眼球だけ、中学生のあの頃のものに戻ってしまった。

冒頭の「中2のころに夢中になったものが、自分のやりたいことのヒントになる」とすれば、僕のやりたいことは、このゆず熱とどう関わっているのだろう。

今度ギターをもって、海かどっかで、大声で「地下街」なんかを歌ってみよう。
お父さんのお下がりのYAMAHA FGでコードを抑えてた感覚を、この左手はまだ覚えている。

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