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元公務員が公務員に向いている人・向いていない人ってどんな人なのかを分かりやすく解説します

大学卒業後、一部上場企業を経て国家公務員に採用されました。その後約7年中央省庁の出先機関、地方局、霞が関の本省で働いてきた中で様々な人を見てきました。退職した人、精神的な病気になってしまった人、逆に生き生きと働いている人等々。

そんな人達を見ていると「どんな人が公務員の世界に順応できるのか?」「どんな性格の人が公務員に向いているのか?」が何となく分かってきたんです。

というわけで、今回の記事では「どんな人が公務員に向いているのか」を私のこれまでの経験を元にご紹介させていただきます。


1.体育会系組織に疑問を感じない人

役職が同じだけど年齢が上であれば採用年次に関わらず敬われます。逆に言うと「年齢や役職に神経質なほどこだわり上下関係といった構図を設定し仕事から飲み会といった場面で立ち回る体育会系なマインドや資質」は必須だと言えます。

私のことを例に出すと、新卒で入省したわけではないので同じ役職でも他の同僚より職場経験は浅いんですが、年齢が高い分必要以上に敬われました。飲み会で真っ先にビールを注がれたり恭しく敬語で接されたり・・・

公務の現場に限ったことではありませんが、こういった徹底的な体育会系風土が好きな人、慣れている人、心地いいと感じる人は公務員への適性が高いと言えます。逆にこういう風土が合わない人は間違っても公務員になってはいけません。

私なら、同じ組織に属しているんだったら年齢や役職に関係なく同じように接すればいいと思っています。役職は単なる役割にすぎません。部長はその部を統括するという役割を持った人であり、社長は会社全体をマネジメントする役割を持った人に過ぎません。組織に属する人全員が何かしら役割を持っているだけなんです。年齢なんて、数年早く生まれたか遅く生まれたか、だけの問題です。

しかし公務員の世界ではこういう考え方は通じません。基本体育会系な組織風土です。また、体育会系的なマインドを持った人はかなり好かれますし出世もしやすいでしょう。なので、こういう風土なら生き生きと仕事ができる、という方は適正バッチリだと言えます。


2.上司の言うことは正しいと本気で思える人

明らかに「何か変だぞ?」という上司の言い分を口答えせず遂行できる人は公務員への適性が高いと言えます。明らかに違う、どう考えても規定と反するしおかしいと言えることであってもより役職が高い人が「やれ」と言えばそれがたとえ正しくない可能性が高くてもやる必要があります。そして規定上正しくなるようにうまく調整し丸く収めるのが下の重要な仕事だったりもします。

某安倍総理婦人と森友学園の土地問題で近畿財務局が槍玉に挙げられていましたが、あれもまさにこれ。明らかにおかしいことでも上から言われたら実行しないと逆に処分されたり立場が著しく悪いポジションへ異動させられるなんてことにもなります。ハッキリ言って馬鹿げてますしくだらないし理不尽です。でも、そんな状況下にあっても淡々と従うことができる人こそが公務員適正があると言えます。

ただこれはあながち間違いだとも言えないんです。もしかしたら上司の言ってることが正しいのだけれど、自分の経験値や知識の少なさにより一方的に「おかしい」と思い込んでるだけかもしれません。なので、入省数年間は常に学ばせていただいているというスタンスは持っておくべきでしょう。

ただ私は、役職とか経験にこだわらず違うことは違うと言えること、間違っていると思われるものについては間違っていると発言できる風土が好きです。というか、そうしないと組織全体の成長は無いと思っています。なので当時職場の上司に本気で反発したこともあります。その結果地方へ左遷させられかけましたが。なので「上司の言うことは正しい」という考え方は公務員に常に求められているわけです。

ちなみに公務員に採用されると「採用権者」という採用の決定権を持っている人の前で宣誓書を読み上げる必要があります。この宣誓書に「上司の言うことに従います」という記載があるので、服務規程上も上司の言うことについてはある程度無条件で従わなければならないんです。なので、上司の命令に反発することは宣誓内容に反するため公務員としてはNGな行為だったりします。

私のように「おかしいことはおかしい」と疑問を持ち反論したり、それによりストレスを過度に抱えてしまうような人は間違っても公務員になってはいけません。仕事がただ辛いだけになってしまいます。


3.理不尽さに耐えられる人

基本職場内でも職場外からのご意見も理不尽の塊です。電話を取れば一般市民の方から「殺すぞ!」と過激なご意見をいただくこともあります(私は80回ほど殺されかけてますね)。職場内でも、能動的に仕事をしないしそもそも職務遂行能力が低い中年職員の尻拭いをする場面は少なくないです。また自分の職務範囲外の仕事を強制されるなんてことも結構あります。

また、仕事をいくら頑張ろうがサボろうが給料は変わりません。人事評価システムが無いんです(一応あるけど機能しているとは言い難い)。だからなのかわかりませんが昇給や賞与のランクアップも全員平等に与えられます。こういうやや理不尽なやり方に疑問を感じるのなら公務員適性はありません。

他にも、私より遥かに仕事ができないお荷物扱いの後輩がいたのですが、大学院卒業のため初任給時点で私より給料が上。さらに、仕事ができないから重要なポジションには異動させられず転勤も拒否していたためひたすら窓際でのんびり仕事をしています。

かたや私は入省後3年くらいは理想を追い求めていたので、ひたすら業務の改善を提案したりより難易度の高い仕事を求め率先してより難易度の高い仕事ができる部署へ異動する希望を上司に相談していました。

でも、給料は後輩よりも私のほうが下。賞与や昇給のランクも下手すると私のほうが低い評価で支払われていました。こんな理不尽は嫌ですよね?別に自分の能力が高いなんて言うつもりはありません。でも、ある程度は評価されていましたがそれが給与で返ってくることはないんですよ。

こういう理不尽は他にも山のようにあります。民間企業でもあまり変わらないかもしれませんが、役所はとにかくこういう理不尽な対応が山程あります。

なので胸に手を当てて考えてみてください。「理不尽さに耐えられますか?」。耐えられるのなら公務員を目指しても良いと思います。


以上3点を満たせる人が公務員に向いている人です。なのでこの3点を読んだ上で「どうしても合わない」と思った方は公務員になってはいけません。遅かれ早かれ私のように別の道を探すことになると思います。そうならないためにも、受験する前の早い段階で自分を見つめ直してみてください。

この3点を読んでもなお心から「公務員になりたい」という方がいらっしゃれば、是非応援したいなと思います。

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