今、目の前にある暮らしを育てること
このコラムの始まりの方にも書いた事がありますが、私は賃貸の古い一軒家に住んでいます。
古いと言っても、築30年から40年程の、古民家と言うほど古くはない一軒家。
賃貸なので、当然ながらこの家は自分のものではありません。
ただ、幸いにも大家さんが家に手を加えるのにO.K.してくれたので、壁に漆喰を塗ったり、床に板を敷いたり、DIYをして、それなりに自由にさせて頂いてきました。
でも住み初めて数年すると、友人、兄弟の中に、新しく家を建てたり、マンションを購入する人達がちらほらと。
私はそれが羨ましくて羨ましくて。
いいなぁ、そろそろ年齢的に自分たちも。なんて思いだしたんです。
そう思いだしたら、不思議ですね。今住んでいる家や暮らしが突然色褪せて見えて来てしまって。
賃貸だから、お金を掛けても勿体ないよね。
庭だって手を掛けても出て行かないといけないし。
次は下水の通っている場所がいいな。
草刈りに手間のかからない、程よいサイズのお庭のある場所がいいな。
そんな事を考える内に、家に手を掛けるのを躊躇するようになってしまいました。
何をするにしても、いつか出て行く家にお金をかけるのは勿体ない。
と思ってしまったから。
今の家に住みながら、その時の私に見えていたのは常に、予定のない、私の頭の中の未来の家でした。
夫との家族会議
そんなある日、夫と家族会議をしました。(大袈裟にそう呼んでます笑)
年齢的にも、そろそろ新しい家を建てても良いのでは?仕事もそれに合わせてこんな風にしたくて。と切り出す私に、夫は少しずつ返事をしたあと
「今住んでいるこの家だって、恵まれていると思うんだよね。」
と一言。
私はこの言葉ではっとして、色んな事を思い出しました。
相場では考えられない家賃で見付けたこの家と出会った時の事。
大家さんが家に手を加えるのに柔軟なこと。
自由に出来る庭があること。
松本を一望できる景色があること。
そして猫と暮らせること。
あげ出したらきりがない、この家のいい所をいっぱい。
その日を境に、私は新しい家を当分諦めることにしました。諦めたと言うより、今の家での暮らしをまた育てる覚悟が出来たのかも。
もしかしたら、自分の住処を作る一歩を進まないと、いろんなことが始まらない。と思い込んで、焦っていた気もします。
でも、全くそんな事ないんですよね。
周りに色んな刺激が多い世の中。
つい周りを羨ましく感じたり、焦ったりする事は自然な事なのかも知れません。
でも、未来の願望や不安をせっかちに追わないで、目の前の事とシンプルに向き合うことってとても大切ですね。
新しい家の事はまだ諦めたわけじゃないけど、いざその時がくるまで、この家での暮らしを大事に育てていきたいと思います。
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※張り切って始めたこの暮らしのコラム。
実はちょっと身構えてしまって、随分久しぶりの更新となってしまいました。いざ文章にしようと思うと、中々上手くまとまらないものですね。
自分が心から感じた事でないと、読んでいる人に響く文章は書けないなぁと、色んな方のコラムを読んで自分なりにお勉強していました。
のんびり更新して行きますので、心が少し軽くなったり、ほっこりしてもらえるように続けていきたいと思います。
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