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「暇」と「心地よい」を、怖がらないで。/水晶体に映る記憶

火曜日の朝は、ジンジャエールの材料を煮込みながら、いってらっしゃいと彼を見送った。

ぐつぐつ。ぐつぐつ。煮込んでいる時の鍋の中を見るのが好きで、つい釘付けになってしまう。生姜の香りが鼻の粘膜を刺激して、くしゃみが出そうになった。

なんでもいいから、元気になるような食べ物がほしかった。家にある材料で思いついたのが、それだったということだ。

「どうにか、生活を立て直さねばいかん。」

このところの私の脳内といえば、この言葉ばかりがぐるぐると回っている。

「生活を立て直す」といっても、絶望的に部屋がちらかっているとか、ご飯作る気力がないとか、お風呂入ってないとか、そういうのじゃない。むしろ最近は早起きの読書が心地よくて、晩御飯はたまに作りたくない日を省いて、新しいものを作ろうと以前よりも整ってきている。

どちらかというと、自分の心を立て直したい、
この気持ちの方が、近い気がする。

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このマガジンだけの共有にしたいと思った、大切な記憶をお届けします。

今日しか感じ取れないかもしれない有限な感性で、日々の感情や記憶の形を残していきます。自分の感性を守っていきたい、思い出していきたい方におす…

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