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ソウルフードで上長にホームランを打った話

よく「ソウルフード」と呼ばれている食べ物が各地にあったりしますが、なぜそう呼ばれているのか、皆さまは理由を考えたことがありますか?

福岡県飯塚市のソウルフードである「イタリアンスパゲティ」をめぐって、近づきがたいと思っていた上長と、私が気軽に言葉を交わせるようになったきっかけの話をしたいと思います。

何でも深堀りして考えがちな、私の性質が良い方向に作用したという珍しい事例ですので、似たような方々の参考になれば幸いです。

※野球の話ではありません。


福岡県飯塚市のソウルフード、イタリアンスパゲティ


それでは、この話のキーとなる食べ物、福岡県飯塚市にある「エクセルブランチ」というレストランの看板メニューと思しき、「イタリアンスパゲティ」について、お伝えします。

その日、車で出かけていた私達夫婦は、目的地の途中の飯塚市で昼食をとることにしました。

上長(以下Aさん)が飯塚市出身であることを聞いていた私は、なんとなく「話のタネになればいいなー」ぐらいの気持ちでネット検索で出てきた、飯塚市のソウルフードを食べることにしました。

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エクセルブランチの店構えです。少し年季の入ってますが、看板は新しいです。きっと繁盛しているんでしょうね。

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これが、イタリアンスパゲティです。熱々の鉄板にのって出てきます。

その日、私達は「美味しいねー」という感想を言い合って、店を出ました。


突如、正念場と化す飲み会


後日、会社の飲み会でAさんと話す機会があり、私は件のイタリアンスパゲティについて、話してみました。

私「そのお店、飯塚のソウルフードって書いてたんですよ。
  ソウルフードって本当なんですか?」

Aさん「あ~、僕もよく学生の頃、通っててねー。
    そっかー、今、ソウルフードってことになってるんだ」

懐かしそうに笑うAさん。

Aさん「どう?美味しかった?」

私が感想をなんて言おうかと考えた時、とある考えが頭をよぎります。

これはAさんの出身地でソウルフードと呼ばれている食べ物だ。
ここで生半可な感想を言うことは、Aさんの出身地、ひいては人格を否定することに等しいのではないか。

Aさんは判断力が素晴らしい方で、たとえ専門外のことであっても、本質を見抜き、的確な判断ができる方でした。

私はバッターボックスでバットを構える自分の姿を思い浮かべました。

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私は今、分岐点に立っているんだ
きっと、この問いになんて答えるかで、今後の自分とAさんの関係が変わる

私は「マツコの知らない世界」でマツコがゲストの勧める食べ物を褒めるところを思い浮かべました。

マツコはその食べ物の本質に関わる部分を切り取り、的確に褒めます。
それがゲストを喜ばせ、視聴者の共感を呼ぶのだと思いました。

「美味しかった」は何も考えてないと分かる一番ダメな回答だ。
あえて、添え物のウインナーに触れる?
いや、あくまでウインナーは添え物で、本質じゃない。
考えろ。
何がこの食べ物をソウルフードたらしめているのか。
頭をフル回転させて考えるんだ。
そもそも良い料理とは何なのか?
私はあのスパゲティを食べる時に何を感じていた?
熱々の鉄板にケチャップの焦げる音と匂い。
ウインナーやピーマン、卵の彩り。
ん?生卵?
そうだ!卵だ!
なぜ、あえて生卵がのっているんだ?
目玉焼きでもおかしくないはず。
まず、ウインナーの赤とピーマンの緑と卵の黄色で見かけが美しい。
卵が鉄板で焼けることで、音が出るし、食感が変わる。
良い料理とは、食べる時に五感を刺激するのではないか?
これがこの料理がソウルフードである理由かもしれない。

私「いやー、あの潰した卵が鉄板に当たってジュウジュウ焼けるのが
  良いですよね!あと、それを麺に絡めて食べるのが最高でした」

私はいかにも「あれにやられました」といった感じで顔をしかめ、
芝居がかった感じで言ってみました。

いつも冷静なAさんは珍しく顔をくしゃくしゃにして大笑いし、私の背中を叩いて言いました。

Aさん「そうそう!それが美味いんだよね!君分かってるじゃん!」

私はこの会話のやり取りで、確かな手応えを感じました。
例えるなら、ホームランを打ったような・・・そんな感覚でした。
(ホームランを打った経験はないですが)

後日談


それから私はAさんと心なしか気軽に会話できるようになった気がしました。

異動により、Aさんとは別々の部署となってしまいましたが、Aさんは私の部署異動を名残惜しんでくださいました。

私にとってその出来事は、大きな自信に繋がったように思います。

物事を深く考えるのは、思いがけず人と仲良くなれるきっかけになるのかもしれません、というお話でした。

良い料理について結論めいたものを出せたのは、ひょっとしたら小さい頃に読んだ「美味しんぼ」のせいかもしれませんが・・・。


以上です。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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