見出し画像

北海道縦断歩き旅 10日目 「エール」瀬棚町~

バナー1

10日目を迎えた。

朝食を民宿でいただく。昨夜の夕飯の時のように3人で会話をしながら頂いた。

鮭がピカイチに美味しかった。

画像2

民宿から近いので3本杉岩を軽く見に行く。

画像3

画像4

画像6

美しい石像があって両側、人魚が彫ってある。

海側の人魚は人に見てもらいにくそう。

画像7

晴れていて海がますます青くなってきた。

海産物を売るお店をよく見かけるようになる。

歩いていると通過する車から声をかけられ。

「兄ちゃんずっと歩いてんのか?」「アワビ食っか?」


そういうと車を止めて、手招きをした。

「これさ、ウメェから食ってきなよ」

と道のわきの船着き場のでアワビをその場で洗い。

「塩水で洗ってそのままカジるのが、いっちばんウメェんだ。」

とアワビをくれた。

初めてアワビをそのままカジって食べると、歯ごたえがコリコリして美味しかった。

「美味しいかー?おいら、歯がもう無ぇから食えねんだ!」

歯がない口を見せてニッコリと笑う。


なんでも、自転車で旅してる青年にたまにアワビやウニをごちそうしているのだそうだ。


おじさんは車をUターンして去っていった。

きっと、歩いているのを見かけて車を出して追いかけてくれたのだろう。


ありがとう。

画像8


画像7

画像9

トンネルをいくつか通る。

中には照明が長い区間消えている場所があった。

試しに背中のフラッシュライトを消して歩いてみると、進んでいるのか分からない錯覚に落ちて。

暗闇の壁を見ると、目を開けているのを疑うほどに、目を閉じているときと同じ暗さだった。

画像11

トンネルの前に電話ボックスがあった。見かけたのはこの場所だけだったと記憶してる。

トンネル内は必ず消火栓と非常電話が等間隔に置かれている。

トンネルの天井照明が古いタイプでも、消火栓の赤い照明は必ずLEDで新しかった。

画像12

画像13

トンネル工事の殉職者のお墓もあった。

誰か掃除しているのか、小綺麗だった。

トンネルの中で歩いていて「もし閉じ込められたら」と想像するとかなり怖いので。40年前トンネル工事をするのは相当な覚悟が必要だったんだろう。

手を合わせて、先に進む。

画像15

茂津多トンネル(全長1974m)を通る。

トンネル点検工事中だったので、片側通行止めになっていたので。

道路整備員に従い、通行止めの片側を一人通してもらう事に。

2km近く、車の心配がいらない道を歩く。路面も綺麗でタイヤの転がりもよく快適。すぐに通り終わってしまった。

狩場トンネル 全長1647m

兜岩トンネル 全長1370m

白糸トンネル 全長1806m

1キロ越えのトンネルを続けて通る。

そのあとも小さなトンネルをいくつか通る。


暗く長いトンネルで色々過去の記憶がよみがえる。


昔の彼女がオーバードーズで入院した時、精神病院が僻地にあり、行きはタクシーで駆け付け、帰りは知らない田舎をひたすら歩いて帰った記憶が蘇った。

”摂食障がい”

彼女から言って認知した上で付き合ったが。

聞いても知っても認知が足りなかった。

きっと乗り越えられると思っていた。

一番悪かったのは”治る”と思っていた。

治らない障がいに治る事を期待する。

本人も治したいものだと思い込んでいて、貧乏なのに治療費や漢方の為に仕事を増やして会う時間が減っていた。

会わなくなると、悪化するのも知って、泊まり込みの仕事を切り上げて終電で帰って朝まで話す時間を作ったりして。

だんだん、無理がでていた。


”ジェンダー”

”醜形障害”

”アルコール依存症”

”パーソナル障害”

ひとつひとつ、時間がない中で電車の中など勉強した。

そのなかでも一番大きなものが「双極性障害」だった。


病院の帰り道、なにも無い田舎の道路を果てしなく歩いた。

あの帰り道は、今でも忘れられない。

いくつか細かなトンネルが終わり。

海岸線を歩いていると、白いワゴン車が通り過ぎ。

運転席の窓から、親指立て去っていく車がいた。


トンネルの中でだいぶネガティブになっていて、

この先の人生に自信が無くなっていたので。


人生にまでエールを貰ったようで。

嬉しかった。

この辺は野宿できなさそうなので、民宿を探す。

1件満室といわれて断られるが、2件目に民宿ヤンサにお願いしたら承諾を貰えた。

当初「素泊まりなら」という事で夕飯はつけられなさそうだったが、「歩いてきたみたいだしウニ丼でも用意しようか?」と言ってくれた。

ただ、自分がウニの冷凍工場でバイトした経験があってウニがやや苦手なので変更してもらう事に。


結果的に大きなサザエを用意してくれた。

ありがたいので完食したかったが、胃が小さくなっていて食べきれなかった。

せっかくのご厚意なのに申し訳ない。


初めて民宿のお風呂に入る、なんか他人の家のお風呂を借りる時のような、心地がして落ち着かない。

トンネルが多かったのであまり疲れは感じなかったが、足には疲れが出ていたみたいで、一度荷物を降ろして歩くと痛くて歩きにくかった。

10日目も毎日足が痛かったので異常に感じ、入念に軟膏を塗った後ストレッチを試す。痛くて動かせなかったので明日の朝やることに。

■10日目終了 歩いた距離 約37km



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?