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「昔のゲームの方が想像力を刺激されて良かった」は本当か

少し前のこと。Twitterを見ていたら、こんなツイートが目に入ってきた。

ファミコンのゲームやってた時に、ドット絵からリアルが想像できるから楽しいっていう人どれくらいいたのかは気になる…


おそらくこの記事(↓)からの流れだと思うんだけど、面白かったので「『昔のゲームの方が想像力を刺激されて良かった』は本当か」について思ったことをつらつらと書く。


本当に「今のゲームは映像がリアルだから想像力を使わない」のか?

元の記事は、外出自粛の流れを受けて、日本レトロゲーム協会がスーパーファミコンとソフト2本を希望者に無償で配布する、という内容。スポーツ報知の取材に、同協会の石井理事長はこんなふうに語っていた。

「今のゲームだと映像がきれいだから、想像力を使うことがない。ドット絵のゲームは、十分感情移入ができる。想像力を働かせて楽しめるのが魅力だと思う。子供らの何人かでも、スーパーファミコンの良さをわかってくれたらうれしいですね」

「今のゲームは映像がリアルだから想像力を使わない」
「昔のゲームは映像がチープだった分、想像力を刺激されてよかった」

――うん、確かに、どちらもよく聞く言説ではある。でも、本当にそうだろうか?

するめさんもTwitterでこんなふうに反応していた(一部抜粋)。

さすがするめさん。もう僕が書くことがなくなってしまったw

――で、それはそれとして、話は最初のツイートに戻るわけです。僕が面白いなと思ったのは「ファミコンのゲームをやってた時に、ドット絵からリアルを想像していたか?」という点。


――これ、冷静に自分の記憶をたどってみると、たぶん、「していなかった」と思うんですよね。


「スーパーマリオ」を遊びながら何を想像していたか

確かに、ドット絵の向こうに「見た目以上の何か別の世界」を感じ取ってはいたんだけど、それは「リアル」の延長というわけではなかった。マリオはマリオであってボブ・ホスキンスではなかったし、グーニーズを遊びながら映画のマイキーを想像したこともなかった。ドラクエ1で草原を歩いていても、現実の草原のような風景は浮かばなかった。


あれ、じゃあ「昔のゲームは映像がチープだった分、想像力を刺激されてよかった」というのは幻だったのか……? いや、でもじゃあドット絵から何も想像していなかったかというと、そういうわけでもなかったんですよ(ややこしい)。

例えば、マリオが狭い足場を渡る時は自分のことのようにハラハラしたし、ドラクエで呪文を唱えれば本当に風や炎がまきおこっているような気がした。「アトランチスの謎」ではだだっ広い島を探索しているような気分を味わったし、「ドラクエIII」は本当に世界をまたにかけて冒険している感覚があった(よくオープンワールドゲームで「マップの広さ比較」が話題になるけど、宇宙規模のやつを除けば僕は今でもドラクエIIIがトップ陣に食い込むと思ってる)。

それは決して「リアル」な風景ではなかったけど、少なくともわずか25色、256ドット×224ドットの画面から得られる以上の「何か」を受け取っていたのは間違いなかった。でもその「何か」って一体なんだ? と考えると、これがなかなかうまく言語化できないんですよね……。

この「何か」の部分は人によってかなり違うと思うんだけど、僕の場合は多分「あれはああいうもの」として受け取っていた……ような気がする。

例えばマリオだったら、

画像1

これ(↑)ではなくて、

画像2

これ!(↑)

「こういう生き物が、こういう世界で冒険してる」というのが僕の「スーパーマリオ観」です。なにそれ怖い。

「いやそれ想像してねえじゃん!」って言われそうだけど、それもちょっと違っていて、なんだろう、絵的には確かに「そのまま」なんだけど、でもそのまま受け取っているかというとそうでもなくて……あああ、やっぱり全然説明できないわこれ! なんというか、アニメを見てる感覚に近いと思うんですよ。アニメ見ながら実写の映像を想像する人って多分いないですよね……?(いないよね?)

ちなみにTwitterでこの話題についてツイートしたら、「パッケージやイメージイラストから想像を膨らませてた」って声がけっこうあったので「そのまま派」はけっこう少数派のような気がする。そういえばマシーナリーとも子とビックバイパーのプラモ作った時にも話したけど、シューティングの自機とパッケージのイラストを同じものだと思って見たことなかったんだよな……。

Screenshot_2020-05-11 ビックバイパー(グラディウスIV)のプラモデルを適当に組みながらプラモとSTGについてダベる会をしました


あ、でもするめさんへのリプで同じようなこと書いてる人いた! 「そういうもんだと思ってた」派、どれくらいいるんだろう。


今のゲームだって「想像」しながら遊んでいる

ちょっと視点を変えて、逆に今のゲームについてはどうだろうか。

自分の場合は、ベースになる映像が豪華になっただけで、今のゲームでも昔と変わらず想像は膨らませながら遊んでいる……と思う。むしろディテールが増したことで想像の余地が広がった部分もある。

例えばドラクエに出てくる村人の生活ぶりを想像したりはしなかったけど、FF7 REMAKEのミッドガル市民とか、神羅社員の生活とかは想像せずにはいられないし、映像がリアルになったからこそ「今までは刺激されなかった想像力が刺激される」みたいな部分も間違いなくあると思うんですよね。単管バリケードと路線図に着目したこの記事とかはすごく面白かった。


そういう意味では、昔よりもむしろ「想像」の飛距離は伸びているんじゃないか。あともちろん「十三機兵防衛圏」みたいに、今でも「想像の余地」を意図的に演出やゲームに組み込んでいる作品もある。結局、昔も今もゲームって「プレイヤーの想像」なくしては成立しない遊びなんですよね。

ただ一方で、確かに「ドット絵のマリオがそのままの姿で、ああいう世界で冒険しているのを自然に受け入れる」みたいな狂った想像はしなくなったかもしれない。


えーと、まとまりがなくなってきたのでこのあたりで締めます(構成考えずに書き始めるとこうなるという悪い例)。最後になんか「昔のゲームも今のゲームもどっちもいい」的なこと書こうと思ったけどするめさんがもう上で言っちゃってるしな……。上記はあくまで「僕の場合」であって、特に「ファミコンのゲームをやってた時に、ドット絵からリアルを想像していたか?」はもっといろんな人の意見を聞いてみたいですね。

ということで、駄話にお付き合いいただいてありがとうございました(一応100円に設定してるけど駄話なので最後まで無料です)


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・トップ画像出典:熱血ゲームTV「ジパングのどうくつで やまたのおろちに敗れる | ドラクエ3」
・マリオのイラストとドット絵出典:マリオポータルサイト「マリオって?」

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