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【徒然】僕と狭いキッチン

「なんだ、こんな狭いキッチンか…」

 親に学費や生活費を負担してもらってる身にも関わらず、これから4年間を共に過ごす場所に抱いた感想がそれだった。

 唯一いいなと思ったのはガスコンロがあったことくらい、それも一口だけだったけど。

 そんなことを思いながら今年に至るまで、何度もこの狭いキッチンに立った。鍋の吹きこぼしや油でステンレスが汚れる度に拭いて、時々磨いた。夏はコバエに苦しみながら、冬は床の寒さに震えながら、窓から吹き抜ける金木犀の香りに心踊りながら。

 初めて友人を招いた時は大量のパスタを出した。サークルの仲間と鍋パーティーをしたし、餃子を作りすぎて焼く頃にはふやけてた。そひて、別れた彼女と肩を並べて料理を作った。良いものまで悪いものも含めて思い出深い。
 
 「住めば都」なんて言葉があるけれど、今じゃこんな狭いキッチンも「僕らしく居られる場所」だ。

「ここともあと数ヶ月かでお別れか…」

消えていく時間に焦燥しながらも楽しむことを忘れたくない…

美味しくて楽しい味と匂いと音のキッチン、明日は何を作ろうかな?

─てけれっつのぱ は ふと思った。

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