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卒業生に贈る言葉

先日、勤め先の卒業式の後、教員がひとりひとり言葉を贈る流れになった。
うまく話せなかったこともあるし改めて文字にしておこうと思う。

「美術を通して子どもを育む」という領域でいろんな事柄を学んだと思いますが、いちばん大切なのは多様性を大切にすることだと思います。
作品づくりは、ひとりひとりが「私」を内から外へと取り出していくようなところがあります。
取り出した「私」を見て、触って、感じて、確かめて、掴まえていく、そんなことを繰り返すようなプロセスなんだと思います。
どろだんごをなでなでしているうちにだんだんピカピカに光ってくるように、作品づくりを繰り返すうちに「私」が磨かれていくと思うのです。
「育む」というのは、そんなプロセスに立ち会うことなんだというまなざしを持っていてほしいのです。

今の日本の現状とか、時代の状況とか、「私」をしっかり持つ事が難しくなっているようです。そんな時だからこそ、ひとりひとりが「私」をなでなでして磨いていく様子を見守ってほしいのです。
つながりとか友だちとか、とても大事なんですけど、それも「私」が磨かれてこそなんです。ピカピカになったら、鏡のように周りの景色が写り込むようになるじゃないですか。「私」がピカピカになったら、周りの人を写してやさしくできるのだと思います。

皆さんこれから新しい世界に進んでいく訳ですが、まずは自分自身が「私」を取り出してなでなでし続けて、周りを綺麗に写し込めるように磨き上げてください。

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