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労働基準監督署が来たけど、目に見える残業が減っただけだった

 どうも、定時で帰りたい人です。
 私が少し前までいた前職の会社は、長時間労働やさまざまな問題を抱えていた企業でした。
 実はそんな前職の会社を、入社2年目のときに労基へ通報したことがあります。その結果は、残業は確かに減ったけど、目に見える残業時間が減っただけでした。

当時の会社の問題

 当時いろいろ問題はあったのですが、労基に訴えた内容としては以下の問題がありました。

  • 会社全体で毎日残業3時間が当たり前な時期が長くあった

  • なおかつ休日出勤も多い月が長くあった

  • 当時入社2年目の自分や同期に就業規則がわかるものが渡されていなかった

  • 就業規則がわかるものが手元にないため、36協定が周知されていない状況にあった

労基にはメールで通報した

 労基への通報って実は電話だけじゃないんです。サイトがあって、そこのフォームから通報もできます。
 私はそこから通報しました。
 ただ、電話よりもメールの方が通報できる手軽さや身分証明的な問題から、電話の方が労基が動いてくれるという情報を見たことがあります。

労基に動いてもらうためにやったこと

 ただのメール通報では労基は全然動いてくれない、という情報を見た私は、労基に動いてもらうために、ネットの情報を収集し、メール内容に以下のことを行いました。(数年前の出来事なので情報元がなくてすいません)

  1. 情報の信憑性を上げるために、メール内に自分の実名と電話番号を入れた(通報時の選択項目で「会社には通報したことを明かさないでほしい」にはしてました)

  2. 具体的な法律名を挙げ「労働基準法第106条違反・労働基準法第32条違反の申告をさせていただきます」というように文章を入れた

  3. 証拠になる書類が提出できる状態であることと、会社内にも労働法違反を証明できるものがあることを明記した

1.実名と電話番号を入れた

 匿名で通報はできるのですが、それだと労基も忙しいのでなかなか動いてくれないと聞きました。
 なので、自分の身分を明かし、情報の信憑性を上げるために実名と電話番号を入れ、入力フォームの「匿名の上、メールがあったことも明かさないでもらいたい」の欄にチェックを入れました。
 結局辞めるまで会社の誰にも私が労基に通報したことはバレていませんでした。

2.具体的な法律を入れた

 「お役所は○○法違反とか言われた方が動きやすい」という情報があり、具体的な法律名を挙げた方が労基が動く可能性高いという情報を目にしました。
 なので、
・労働基準法第106条違反
→就業規則・三六協定が冊子などで交付されておらず、個人で自由に閲覧できるようになっていない。社内で掲示などもされていない。
・労働基準法第32条違反
→三六協定が周知されていない状態で、従業員に1日8時間かつ1週40時間以上の労働をさせている。

みたいな感じで通報したい内容にあてはまる労働基準法を挙げて通報しました。

3.証明できるものがあることを明記した

 これもある意味当然なのですが、証拠がないと労基はなかなか動いてくれません。
 しかし、メールの入力フォームには証拠の写真など添付できるわけではないです。
 なので、「労働基準法第32条違反に関して、証拠として給料明細に残業時間・休日出勤時間に明記されているので、それを提示することも可能」であることと、「会社内に残業申請の紙があるため、それも証拠になりうる」だろうことを明記しました。

2~3カ月後、労基は来た!

 前述の通り、メールの通報があったことも明かさないでほしいとしたため、労基の来た理由は別の理由だと会社から言われましたが、労基はちゃんと来てくれました
 ただ、メール通報ではすぐには労基来ないよーという情報も私は事前に知っていて、ネットでも2~3カ月後くらいに労基が来る、みたいなのを見た記憶があったのですが、その通りでした。
 一度来ただけでなく、私が辞める数か月前にも総務と上司が「労基が~」みたいなことを言っていたので、継続して指導などしているようです。

残業時間は減った。けれど…

 通報した結果、残業時間は減りました。
 しかし、時短ハラスメントや持ち帰り残業、内職扱い作業など、残業以外の問題が発生しました。

時短ハラスメント

 会社「残業はするな。でも仕事量は変えないよ」

 実質そんな感じで、毎年決まってくる仕事は特に仕事量を減らすということをしてくれるわけでもない。人を増やしてくれるわけでもない。
 でも残業は労基に言われるから減らしてね、ってなんじゃそりゃ。

持ち帰り残業・内職扱い作業

 これは私が所属していた部署だけでしたが、元々外注作業者なども雇っていた部署だったため、終わらない仕事は内職扱いで持ち帰って家で作業しろという暗黙の了解というか、仕事の量的にそうしないと終わらない状況だったので実質命令されてるも同然でした。
 これは労基に通報する前もあったことであり、私が辞める直前までありました。
 労基への通報内容に含めようかと思ったのですが、当時はうまく情報が集められず、通報内容には含めませんでした。
 ただ、コロナによる在宅勤務が増えていく中、「在宅勤務と作業内容は同じなのに内職扱いにされ、割安の賃金で働かせていた」というのは、ちゃんとした証拠をそろえれば、残業時間として換算されると思います。
 私はその証拠を集める気力すら失って、会社を辞めたんですけどね!!

「残業すればいいじゃない」という風潮には抑止力として効果が出た

 残業以外の問題として表面化したとお伝えすると、労基への通報が無駄だったんじゃないか、と思われてしまうかもしれませんが、そういうわけではございません。通報前にあった会社の
「仕事が終わらないなら終わるまで残業させればいいじゃない」
「他の部署も手伝いに駆り出して作業すればいいじゃない」
といった風潮の抑止力になったのは確かです。

 特に私の勤めていた会社は、それまで忙しい部署があれば残業だろうが休日出勤だろうが、自分の仕事じゃなくても駆り出して長時間労働させるのが当たり前でした。
 通報後はそれは残業2時間までに限定され、自分の部署が落ち着いている時期には堂々と早く帰ったり、休日を謳歌できるようになりました。
 当時の自分としては、これは大きな変化でした。

 また、残業の多い部署は一応会社の管理職内で共有され、問題としてあげられるようになったようなので、これも残業が多くなりすぎないようにするための抑止力となりました。

 正直、私の勤めていた会社に内職作業なんてものがなければ、残業以外の抜け道を使おうなんて会社も思わなかったんじゃないですかね……

その他の労働条件・環境についても、会社が気を遣うようになった

 「いや普通の会社はそれが当然だよ?」と思われるようなことも、私が勤めていた会社では杜撰な管理なものでした。
 しかし労基への通報後には、「労基に言われるんだよね」という言葉が総務からたまに口にされるようになり、総務側の意識が変わったように思います。

就業規則がちゃんと一人一人に渡された

 通報内容にも上げた通り、当時入社2年目の私は就業規則がわかるものが手元にない状態でした。他の社員やパートさんたちも古い就業規則を持っている人はいても、最新の就業規則は当時誰も持っていませんでした。

「新しい就業規則になったんだけどねー」

と総務のおじいちゃんはのらりくらりとうやむやにしていたわけです。
 たぶん言えば見せてくれたんでしょうけれども、それって就業規則の周知義務には違反しているのは間違いないんですよね。

 でも通報、さすがにすぐではありませんでしたが、その後ちゃんと1人1人に就業規則が渡され、新しい就業規則になった場合もすぐ新しいものと差し替えるように変化しました。

「労基に言われるから」と総務がパートさんたちの労働条件についても気にするようになった

 今回は詳細を省きますが、正直私が勤めていた会社は、パートさんたちの労働条件・環境もかなり問題が多くありました。
 上司たちや総務は、通報前にはそれが問題とすら思っていないような状況でしたが、総務がいろいろと気にするようになりました。

 まあ、私の上司は
「そうはいっても仕事がはけないのはどうするんですか」
と、法律違反とか問題とかよりも、実務が終わらないと総務と言い合いしたり、全然問題解決してくれなかったわけですけれども!!

 でも通報によって会社の問題が減ったのは確かです。
 労基に通報したいけれども電話とか直接行くのは無理そうって人の参考になれば幸いです。