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サイゼリヤという名のサンクチュアリ


 

皆様は”サイゼリヤ”をご存知だろうか。

 

失礼、愚問だったかもしれない。

衆知の事実ではあると思うが、サイゼリヤとは日本が誇るイタリアンファミリーレストランチェーンである。

ちなみにサイゼリアではなくて、ザイゼリヤである。この間違いはサイゼリヤ信者の目の前で神を侮辱し、聖書を破り捨てる行為に等しいので細心の注意を払ってほしい。

 

私も昔サイゼリヤが大好きだった。まず、あの雰囲気がいい。

中高生でも気軽に入れるような雰囲気である一方、真実の口を模したモニュメントやダヴィンチが描いたっぽい絵画などの装飾によって、イタリアのお洒落な雰囲気がファミレスという枠の中で最大限に再現されている。時に自らが日本にいるのを忘れ、ミラノ風ドリアを頬張って「ボーノ」と呟き、マルゲリータピザではなく「マルゲリータピッツァ下さい」と注文してしまうぐらいのイタリア感だ。

 

また、値段も手軽で値段の割にはそこそこ美味しいものが食べられる。

サイゼリヤが誇る看板メニュー「ミラノ風ドリア」なんて、当時わずか299円であった。299円?考えられない。アンビリーバボーだ。500円は少なくとも払ってもいいと思える味だ。

 

ミラノ風ドリアは日本のファミレスが提供する食事の中で最もコストパフォーマンスが高い、と言っても過言ではない。ちなみにこのメニュー「みらのふうドリア」と読むのであるが、「オレ、みらのかぜドリアにしようかな」という1ミリも面白くないサイゼリヤ小ボケを挟むのがサイゼ通の嗜み方である。

 

また、ドリンクも充実している。200円ぐらい払えばメロンソーダ、白ぶどうサイダー等のソフトドリンク界の一軍はもちろんのこと、コーヒーや紅茶なども好きなだけ飲むことが可能である。好きなだけ飲むことができるので、たちの悪い中高生はドリンクバーだけで延々と居座り続ける。サイゼリヤを愛し、サイゼリヤの経営を見守る私としては、彼らに「回転率」という概念を鼻から注いでやりたい。

 

ちなみにたちの悪い小学生はドリンクバーで色々な飲み物を混ぜて謎の濁った緑の液体を作り、誰かに飲ませるという遊びをする。あれは本当に許せない。サイゼリヤが醸し出す小イタリアの雰囲気を命を賭けて守りたい私からすると、憤りを禁じ得ない愚行である。彼らには「むやみに混ぜるのは納豆だけにしときな」とイタリア語で囁いてあげたい。

 


数年前サイゼリヤに行った際、ドリンクバーの機械に「美味しい混ぜ方レシピ」が掲示されているのを見かけた。内容としては、オレンジスカッシュと白ぶどうサワーを2:1の割合で混ぜて、レモンなんたらを数滴溶かせばこんなに美味いドリンクが作れます、みたいな感じ。それは革命だった。

 

小学生の混ぜるという行為を止めさせるのではなく、逆に美味しい飲み方ができるように導くことで、店側と小学生の間でWin-WInの関係を築いていたのだ。サイゼリヤはイタリアンな雰囲気を守ることができ、小学生はドリンクを混ぜて楽しみかつ美味いドリンクを飲める。そこにはドリンクバーを基盤としたイノベーションが生じていた。

 


そんなサイゼリヤが今期、連結最終損益が36億円の赤字になる見通しだと発表している。


サイゼリヤと共に青春を過ごした我々にとってこんなに辛い話はない。王者サイゼリヤがコロナに負けず、完全復活を遂げる日を心待ちにしている。

 

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