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普通でいること

個性ばかり尊重される時代になったら、無個性でつまらなくて、何より普通に生きることだけを欲しているような自分みたいな人間は終わりだ。逃げるしかない。周りと同じスーツを着て歩く就活生だった自分を、厳しい校則を何の疑いもなく守っていた自分を、今更遡ってまで否定したくないんだ。

みんなで同じスーツ着て歩く就活生の子たちを「つまらない」「気持ち悪い」とか言う人は自己肯定感の高い人だよ。もし「就活も私服で」なんて言われたらしんどすぎるよ。
多様性を否定してる訳じゃない。でも普通を否定しないで欲しい。好きなようにやりたい人は好きなように生きたら良い。何で否定するのよ。別にやらされてる訳じゃないよ。

22歳の春、初めてスーツ着て会社に行って、大人になったんだなあ、って思ってた。就職するワクワクもあったし嬉しかった。何より、何にも出来なくて劣ってる自分がみんなと同じスタートに立てたのが嬉しかった。みんなで同じ格好をしている安心感があった。自分も、ちゃんと大人になれて就職できて、社会の一員になれたんだと、初めて自分を肯定できた。

マイノリティを肯定する裏で、マジョリティを否定されるのは悲しい。誰に否定されようと、生きていかなければならないのだから。普通に生きるだけで精一杯なのだから。

#エッセイ #コラム #cakesコンテスト2020

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