【乳がん3年目】温泉でおっぱいない問題の“善意の暴力“
おっぱいが両方なくなり3年目の今年。
私は家が所謂温泉地のそば(箱根や小田原の近い神奈川の西の方)なので、温泉やスーパー銭湯、サウナが車で30分圏内に豊富にある。
大学生でスーパー銭湯と温泉にハマり、社会人になっても20年間、平日は仕事終わりの深夜も含めて週2~3回、温泉やスーパー銭湯に行くほどサウナやお風呂好きである。
3年前に胸がなくなって、一時なんやかんやあったものの、今も同じくらいの頻度で通っており、最近はリモートで働けるので、就業時間いっぱい、温泉の休憩所で温泉入ったりしながら仕事するなんて日も実は少なくない。
手術をする前は、仕事で遅くなって終電無い時に、新宿のテルマー湯とか水道橋のラクーア、六本木のロアビル6階の温泉など、泊まれるスーパー銭湯行って、サウナや風呂入って、食堂で夕食食べてから、始発までそこで仕事したり仮眠…みたいな過ごし方をした日も多かった。
病気が分かって両胸全部取るとなった時、もう二度とお風呂いけないのかもが結構ショックだった。
なぜなら学生の時、近所のスーパー銭湯で出会った胸が片方えぐれた高齢の女性の姿に衝撃を覚え、まだ覚えてたから。
自分が同じ感じになる…しかも両方。絶対公衆浴場いけない…と反射的になぜか考えてしまった。
でも個人的には週何度も行っていたライフワークがなくなるのだ。大問題。
そして大問題なので、何とかできないか、同じ状況の方はいないか…とネットで調べると2018年当時でも、意外とブログやSNSで色々情報が出てきた。そしてテレビや雑誌などでもそうした問題を取り上げた情報に自然に目が向くようになった。
当時たまたま夕方のニュースでピンクリボンのお宿の特集を手術した直後くらいにみて、病院の退院オリエンでもバスタイムカバーの事を教えてもらったりもした。
休職中、暇だったので意外と色々なスタイルや考え方を知る事ができた。
バスタイムカバーで胸を隠して乳がん専用のお宿でお風呂を楽しむ。
もう気にしないで胸を出す。
タオルで隠してうまく入る。
やっぱり気になって未だ入れない人。
おっぱいとった3年前は、特に色々試行錯誤をしていた。
一時期ニップルを付けるに落ち着いた事もあったが、ノリで肌が荒れたのとめんどくさくなり(一回ノリが取れて湯船に乳首が浮いてしまった)辞めた。
https://note.com/teisan10/n/nda7e4703d0be
一番最初は摘出で初入院中、乳がんの方が読む無料の冊子が置いてあったのだが、誰も見てないし、自分が気にしてるだけというインタビューを読んだ。
かたやお風呂に入る事がはばかられ、何年経ってもいまだ怖くて温泉や人前に出られないという一般の方の手記も読んだ。
それを読んで思ったのは、ご自分が気にしない人はそれでいい。
でも気にしている人に対して自分の感想ではなく「誰も見てないし、誰もそんな人の事なんか気にしてない」と提言…も何か違うなと思った。
色々気になってしまい、怖くなる方もいるだろう。胸や人の目線に対する感じ方も人それぞれだし。
だから自分は実際入ってこういう状況だったよと事実を伝えるなら良いのだけど、「人の目を気にしてしまう、気後れしている」事に対してある種「人の目を気にし過ぎだよ」の主張がやや強い事を感じる場合も少なくない。
人は気にしてないと頭で分かっているけど、それでもやっぱりどうしても気になってしまい無理…という気持ちのバランスもある。
ちなみに私は最初は気になったけど、意外とそこまでジロジロ見られはしないので、思ったほど気にする事案ではなく、ただタオルを肩から下げて一応乳首が無い事が見えないようにする…で、落ち着いている。
…というのも、一度あまりにみんながそんなに人の裸を見ないので、「行けるんちゃう」と思い、試しに肩タオルも無くして、普通に胸を出すで温泉入るを3か所でやった事がある。
ちなみに私はこちらの方と同じように、両胸こんな感じで、再建してるので胸は膨らんでいる感じです。
▼画像参照元
https://www.huffingtonpost.jp/2017/10/06/women-bare-mastectomy-scars_a_23234693/
3か所で試してみた結果、とりあえず「そもそも気付かない」「ビックリしたけど見ないようにする」が大半だったが「見ないようにする」方が一番多く。その次に「私が気付いていなければ胸ガン見。気付いたら目をそらす」が多かった。
中には、極まれに珍しいのか、湯船で遭遇して凝視からの、サウナ・洗い場までついてきたおばあちゃんもいた。
何で胸がこうなっちゃったのか話を聞きたかったようで、色々聞かれた。
個人的な実験の結果「確かに気にしてない(というか見ないようにしている)けど、やっぱ胸は一応タオルで隠しとこ」に落ち着いた。
理由は個人的にそれが一番居心地良く大好きなお風呂を楽しめるから。
あまりに出し過ぎていると明らか見ないように気を遣われているのを感じて居心地が個人的に悪い。
肩からタオルを下げれば、まあそこまでして見てこないので1番気楽にお風呂に入れる温度感を作れた。
そして今日もリモートワークなので、平日朝から丹沢の温泉で風呂をあびて、温泉の休憩所で仕事をしつつ、休憩時間にお茶を飲みながらこれを書いている。いい気分だ。
公衆浴場に行く頻度が少ない人、多い人。
人の目を気にする人、しない人。
する人でもここまでは隠したいなど自分なりのラインがある人。
公衆浴場は気持ち的にどうしても無理だけど、バスタイムカバーを使ったり、乳がん専用お宿なら入れる人。それじゃないと入れない人。
周りは気にしてないと思える人、分かっていても思えない人。
みんな違うし、正解なんかない。
自分がおかしと思うものがあっても相手から見たらその考え方こそが、自分が感じている違和感と同じものなのかもしれない。
その人がそれが最善…と思ってやっている事に対して、こうした方が良いのに…全然そんな事ないのに…と切り返すのはある種の善意の暴力に見える時もある。
もちろんそれを言っている本人にそのつもりはなくて、ただ相手に良かれと思ってやっているのだと思う。
でも実は自分の方の考えが優れていると優位に立ち、相手を見下ろしながら実は気持ち良く相手をボコっている場合もある。
乳がんになって思ったけど、病気に対する向き合い方や気持ちの持ち方、再建の良し悪し、結婚や妊娠の件、仕事、趣味や温泉問題、生き方…などなど、1つの同じ病気ではあるけど、自分とは違う状況や考え方に、たくさんある事を知った。
どれもその人なりの、その人にとってベストな解決方法を持っている。
それに対して否定もせず肯定もせずただ認め、外野がとやかく言ってこない、そんな世の中になってくれると良いなと風呂に入りながらぼんやり思ったのでした。
(ただ一応治療方法については色々な方法があれど「とやかく言わない」領域は上記とは別の所にあると思っており、また別の話(ちゃんと病院行って所謂標準治療ちゃんと受けたい派なので…)だと思っています…)
それよりもう午前中が終わるし、いい加減そろそろ仕事するか…
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