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【私の好き嫌い】本丸!すきな私小説きらいな私小説

十一.私小説

 私小説がすきだ。大好き

 私小説家は自分の見たもの聞いたものだけを書き、傲慢で、エゴ丸出しである。人間らしい、文章が。かわいらしいし、むかつく。何抜かしてんだ手前、とか思うときもある。だから好き。ちなみに村上春樹氏は私小説が嫌いらしい。私とは趣味が合わない。

 バリバリの自然主義作家は、島崎藤村とか、御大・志賀直哉とかであろう。いずれも文章がうまい。志賀直哉は、マジのガチでうまい。後世に影響を及ぼすところ大で、ちょっと悪影響もあるんじゃないかという人までいるぐらい、うまい。

 小山清の文章は、とにかく愛おしい、カワイイ、クール・ジャパンという感じ(多分違う)。

 川崎長太郎は、貧乏、助平。実家の庭に小屋を建てて、住んで、書いた。これもかわいい。近松秋江は、女々しい、手前それでも男かよ、と言いたくなる。「黒髪」「別れたる妻に送る手紙」が代表作なのかな。書いていることはほぼ全部いっしょ。愛別離苦。求不得苦。そんだけ。情けない。けど、よい。

 これ私小説か? という私小説もある。藤枝静男。笙野頼子。平皿が空中を飛んだり、池に潜って雌金魚と交合したり、茶碗と問答したりする『田紳有楽』。おんなたちが、女だけのクニをつくり、原発を有し、電力を輸出し、またいかがわしい品物を輸出する『水晶内制度』。わたしは金毘羅だったと滅茶苦茶なことを告白する『金毘羅』。

 いちばん最近では西村賢太という人もいた。DV、中卒、底辺港湾労働者、暴力沙汰で逮捕歴もある。とっくに死んだ藤澤清造(明治・大正・昭和初期の私小説作家)という人を異常に敬愛し、別れた女に拘泥し、小説を書いた。おもしろい。ちょっと文章がうま過ぎるきらいはある。さいきん、急にお亡くなりになった。

 いま思いつくのはこういう感じです。

◎きらいな私小説
 きらいな私小説というのは基本ありませんが、一人だけいます。

 車谷長吉
 文章が意味もなくこわい、けれんみがある、ナルシストに(す)過ぎる。


 こんな感じです。私小説は、私の血肉です。

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