「神の一手」を探して(4)

「神の一手」を探して(1) 「神の一手」を探して(2)

「神の一手」を探して(3)

前回まで将棋の神さまへのインタビューを通して、「形勢」とは何かを明らかにしようとしましたが、神さまには局面の結論自体が分かるため、「形勢」という考え方がないということでした。前回のインタビューの最後で、少し光明が見えた気がしましたが...


神 (続き)2つの局面を比べて違うのは、局面から全探索をしたときの最終図での勝ち局面数/全局面数ぐらいだな。

――それだ!ではこうしましょう。形勢とは、ある局面から全探索したときの先手の勝ち局面数と後手の勝ち局面数の比率であると定義するのはどうでしょう?例えば、先手勝ち局面数:後手勝ち局面数が1:1なら互角、4:3なら先手有利、2:1なら先手優勢とか。

神 発想としては悪くないがだめだな。

――えー、何でですか!

神 その定義で先手優勢と判断しても、局面の結論が後手勝ちの場合がある。後手玉が必至で、先手玉に王手をかけてきたとする。逃げ方は3通りあるが、正解は1つで先手勝ち、ほかの2通りは詰みで後手勝ちとすればどうだ?

――むむむ。さっきの定義だと1:2で後手優勢、しかし局面の結論は先手勝ちですね... 定義に失敗しました(がっくり)

神 そうだ。お前がどれ程将棋を指せるか知らんが、人間はまだまだ神に及ばんようだな。

――ぐうの音も出ないです。

神 まあ神に近しい人間が現われたとして、その時にはハンデでもつけて将棋を指すことになるだろうが。

――ハンデですか。というと駒落ちですか?

神 駒落ちの結論は下手勝ちだから、上手である神は、下手の人間がミスをしないか待つだけだ。興醒めだろう。そうではなくて、「瞬時に全探索」という能力に制限をかけるのだ。

――(これは重要なヒントかも・・・)

さて、インタビューの途中まで敗勢でしたが、ここにきてチャンスが来た、ような気がします(笑) 「瞬時に全探索可能」という能力に制限をかけると、神さまには局面がどう見えるのでしょうか?




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