石原裕次郎 八代亜紀の二大スターが共演したデュエットソング
昨年の10月に開設しました、石原裕次郎公式ファンサイト「裕次郎倶楽部」では、500曲を超える裕次郎さんの名曲が聴き放題で楽しめるサービス(月額・年額)だけでなく、大人の歌謡曲プロデューサー佐藤利明さんがコンシェルジュとなってお届けする動画企画「裕次郎アワー」や、様々な企画でお楽しみいただいております。
■500曲を超える石原裕次郎の曲が聴き放題!
石原裕次郎・公式ファンサイト「裕次郎倶楽部」入会受付中
今回は、佐藤利明さんの選曲による石原裕次郎さんと八代亜紀さん二人が共演した「魅惑のデュエット・ソング」プレイリストをご紹介させて頂きます。
是非とも皆様、石原裕次郎公式ファンサイト「裕次郎倶楽部」に入会いただき、まさに「裕次郎さんのすべて」ともいうべき数々の楽曲と歌声をお楽しみください!
*こちらのプレイリストは公式ファンサイト「裕次郎倶楽部」にて公開中です。
ぼくは、これまで何度か八代亜紀さんとご一緒させていただきましたが、2019年3月14日、ホワイトデーの日に、石原裕次郎さんとの思い出を伺いました。八代さんにとって、裕次郎さんは「憧れの銀幕スターで、甘い歌声の素敵なお兄さん」というイメージを抱いていたそうです。少女時代に観た『嵐を呼ぶ男』の「♪おいらはドラマー〜」とドラムを叩きながら、颯爽と歌う姿に憧れたと話してくれました。(オトナの歌謡曲プロデューサー・佐藤利明)
M1 銀座の恋の物語 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・大高ひさを 作曲・鏑木創 編曲・山倉たかし テイチク・オーケストラ
発売・昭和48年10月
最初に八代亜紀さんと裕次郎さんがデュエットしたのは、1973(昭和48)年10月にリリースされた「銀座の恋の物語」と「夕陽の丘」でした。まだ二十代の八代さんは、それまでヒット賞のパーティなどで、裕次郎さんに挨拶することはあっても、歌で共演するなんて思いもよらないこと。レコーディングは、緊張のままスタジオへ。お付きの人がたくさんいて、ものものしかったそうです。
《どうしよう?と思っていたら、裕次郎さんがこっちを向いて手を挙げてくれたんです。「亜紀ちゃん、今日はよろしくね」と声をかけてくださって、その言葉で、どれだけホッとしたことか。優しい声でね。安心しました。》
そうしてレコーディングしたのが、1961年の日活映画『街から街へつむじ風』(松尾昭典)の主題歌として、牧村旬子さんとのデュエットで空前の大ヒットとなった「銀座の恋の物語」でした。公称300万枚を超える日本のデュエット・ソングの金字塔です。
M2 夕陽の丘 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・萩原四朗 作曲・上原賢六 編曲・山倉たかし テイチク・オーケストラ
発売・昭和48年10月
「銀座の恋の物語」と同時にレコーディングしたのが、浅丘ルリ子さんと裕次郎さんのデュエットソング「夕陽の丘」でした。この曲は1963(昭和38)年9月「テイチク創業30周年記念作品」としてリリース。これもデュエットの定番となりました。
初めての裕次郎さんとのレコーディングで、スタジオで緊張する八代亜紀さんに、裕次郎さんは「歌は亜紀に任せるよ。ムード作りは俺に任せろ」と声をかけてくれたそうです。
M3 別れの夜明け 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・池田充男 作曲・編曲・伊藤雪彦 テイチク・オーケストラ
発売・昭和49年 3月
最初はカヴァーからスタートした二人ですが、それが好評で、翌年にはオリジナル曲が誕生します。八代亜紀さんの「なみだ恋」につづくビッグヒット「しのび恋」がリリースされてしばらくして、1974年、裕次郎さんとのオリジナル「別れの夜明け」が誕生します。作詞は池田充男さん 作曲・編曲は伊藤雪彦さん。
テストの時から、包み込むように裕次郎さんが八代さんをリードしてくれたそうです。裕次郎さんのレコーディングには欠かせない「お酒とタバコ」も、この時、八代さんは目の当たりにしました。ウイスキーの水割りとタバコを片手に、どこかのバーか、ホテルのラウンジにいるような優しい空間だったそうです。
M4 恋路 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・池田充男 作曲・野崎真一 編曲・山倉たかし テイチク・オーケストラ
発売・昭和49年3月
記録によると「別れの夜明け」とカップリングの「恋路」(作詞・池田充男 作曲・野崎真一)は1973年12月4日にレコーディング。リラックスしたムードで、イントロが鳴って歌い出す時に、裕次郎さんがグッと肩を引き寄せてくれて、「これ、ムード作りだからな」と。それがとてもチャーミングに感じたそうですが、その時の八代亜紀さんは、楽しむ余裕がないほど、ドキドキしていたそうです。
M5 恋いのち 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・二条冬詩夫 作曲・編曲・伊藤雪彦 テイチク・オーケストラ
発売・昭和49年7月
「別れの夜明け」がヒットして、二人のデュエット第二弾として1974年7月にリリースされたのがM5「恋いのち」(作詞・二条冬詩夫 作曲・編曲・伊藤雪彦)です。この曲も、実は「別れの夜明け」「恋路」同様、1973年12月にレコーディングしていました。この世紀のビッグカップルのヒットはあらかじめ約束されていたことがわかります。
裕次郎さんはどんな忙しくても「デュエットは一緒に歌おう。スケジュールをお互いにきちんと空けよう」「一緒に歌うのがデュエットだからさ」と、現場の空気、二人の親和力を大事にしたそうです。
M6 赤坂で別れて 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・二条冬詩夫 作曲・野崎真一 編曲・山倉たかし テイチク・オーケストラ
発売・昭和49年7月
M6「赤坂で別れて」(作詞・二条冬詩夫 作曲・野崎真一)は、「恋いのち」のカップリング。レコーディングセッションでは、二人とも歌はOKなのに、何度やってもNGになってしまう。なぜか、裕次郎さんがリラックスして、ついついウィスキー・グラスをカタカタと揺らしてしまい。その音をマイクが拾って。ディレクターの高柳六郎さんから「氷の音が入ってます」とダメ出し。裕次郎さんはそのたびに「おう、亜紀ごめんごめん」と少年のように照れていたと。
M7 なみだ恋 石原裕次郎
作詞・悠木圭子 作曲・鈴木淳 編曲・竹村次郎
発売・昭和49年5月
M7は、裕次郎さんが八代亜紀さんのビッグヒットをカヴァーした「なみだ恋」(作詞・悠木圭子 作曲・鈴木淳)です。これは当時、ポニーからテープのみで発売されたレアなテイクです。裕次郎さんはワルツのリズムが好きで、この曲もリラックスして楽しみながら歌っています。
八代亜紀さんは、1973年、この曲のヒットで、日本歌謡大賞・放送音楽賞、日本レコード大賞・歌唱賞を受賞。ここから八代亜紀さんの黄金時代が始まったモニュメンタルな名曲です。
M8 赤いグラス 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・門井八郎 作曲・牧野昭一 編曲・小谷充
発売・49年10月
M8はアイ・ジョージ&志摩ちなみさんの「赤いグラス」(作詞・門井八郎 作曲・牧野昭一)のカヴァーです。これはシングルではなく、1974年10月にリリースされた十枚組LP BOX「石原裕次郎の世界」の五枚目「酒」のために新たにレコーディングされたもの。『赤いグラス』は1966年、渡哲也さん、アイ・ジョージさん主演で映画化されています。
M9 人生の並木路 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・佐藤惣之助 作曲・古賀政男 編曲 横森良造
発売・昭和54年12月
裕次郎さんも八代亜紀さんゴールデンカップルのデュエットはテイチクでもドル箱企画でした。そこで1979年12月に二枚組LP「石原裕次郎・八代亜紀 魅惑のデュエット 夜のめぐり逢い」(30曲収録)のために、用意されたのがM9「人生の並木路」です。この曲は1937(昭和12)年、ディック・ミネさんが日活映画『検事とその妹』(渡辺邦男)の主題歌として歌って大ヒットした、テイチク・スタンダードです。
この時、二人は多忙を極めていたため、1969年の裕次郎さんの歌声に、八代亜紀さんのヴォーカルをオーバーダビングした昭和歌謡の名曲カヴァーです。
M10 東京ナイト・クラブ 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・佐伯孝夫 作曲・吉田正 編曲 山倉たかし
発売・昭和54年12月
M10も1972年の裕次郎さんの歌声に、八代さんのヴォーカルをオーバーダビングした「東京ナイト・クラブ」です。この曲はビクターでムード歌謡の時代を築いた吉田正先生の作曲、佐伯孝夫さんの作詞で、テイチクの裕次郎さんが吹き込むのは珍しかったのですが、裕次郎さんの愛唱歌で、ムードもぴったりの名曲中の名曲です。原曲は、1959年(昭和34年)7月、フランク永井と松尾和子のデュエット曲。松尾和子さんのデビュー曲「グッド・ナイト」のカップリングです。
M11 夜のめぐり逢い 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・池田充男 作曲・野崎真一 編曲・竜崎孝路 テイチク・オーケストラ
発売・昭和54年11月
M11は、裕次郎さんと八代亜紀さんの数あるデュエット曲の代表曲といえば「これ」の「夜のめぐり逢い」(作詞・池田充男 作曲・野崎真一)です。夜の東京を舞台に、大人の男の「めぐり逢い」をしっとりと描いた名曲です。二人の掛け合いが、気持ちのやり取りに鳴っていくスタイルで、カラオケブームのなか、新たなデュエット・ソングの定番となりました。
M12 ふたりの港町 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・池田充男 作曲・上原賢六 編曲・竜崎孝路 テイチク・オーケストラ
発売・昭和54年11月
M12は「夜のめぐり逢い」のカップリング「ふたりの港町」(作詞・池田充男 作曲・上原賢六)こちらは「港町演歌」スタイルで大人の男女の恋を歌っています。ちょうど八代亜紀さんの「舟唄」がヒットしている時のリリースで、そのムードもあります。レコーディングのとき、裕次郎さんは八代亜紀さんに「『舟唄』がヒットして本当に良かったね」と心から祝ってくれたそうです。
M13 なみだの宿 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・池田充男 作曲・上原賢六 編曲・伊藤雪彦 テイチク・オーケストラ
発売・昭和55年2月
M13「なみだの宿」(作詞・池田充男 作曲・上原賢六)も、「夜のめぐり逢い」と同時レコーディングされました。この曲も八代亜紀さんの「演歌」のスタイルで作られたデュエット曲です。裕次郎さんには珍しい「正統派演歌」です。「恋の湯の町、御前崎」というフレーズはまさしくご当地演歌の味わい。作曲の上原賢六さんは、裕次郎さんの「俺は待ってるぜ」「錆びたナイフ」「夕陽の丘」などを手掛けた裕次郎ソングの生みの親です。
M14 わかれ川 石原裕次郎&八代亜紀
作詞・池田充男 作曲・野崎真一 編曲・伊藤雪彦 テイチク・オーケストラ
発売・昭和55年12月
M14「わかれ川」(作詞・池田充男 作曲・野崎真一)は「なみだの宿」のカップリングで、こちらは、昭和30年代前半のテイチク・サウンド、裕次郎ソングのメロディ・ラインを踏襲した、少し懐かしい「テイチク歌謡曲」の味わい。作曲の野崎真一さんは、裕次郎さんの「夜霧の慕情」、八代亜紀さんの「もう一度逢いたい」を手掛けた、いわば二人を知り尽くした作曲家です。裕次郎さんと八代亜紀さんのデュエットとしては、これが最後のレコーディングとなりました。二人がテイチクに残したデュエット曲はちょうど13曲。まさしく日本の音楽史に残る夢の共演となりました。
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