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昇段審査対策③ 何故、四段からつまづくのか。誰にも教えてもらえない七段の剣道「理合」とは!?

六段以上の審査項目はこちらです

初段・二段・三段

(1) 正しい着装と礼法
(2) 適正な姿勢
(3) 基本に即した打突
(4) 充実した気勢

四・五
(1) 応用技の錬熟度
(2) 鍛錬度
(3) 勝負の歩合

六・七・八
(1) 理合
(2) 風格、品格

これ要するに

「着装・礼法」(1) 正しい着装と礼法

「構え」(2) 適正な姿勢(4) 充実した気勢(2) 風格、品格

「理合」(1) 理合(3) 勝負の歩合(1) 応用技の錬熟度(2) 鍛錬度

「打突」(3) 基本に即した打突(2) 鍛錬度

この4つです。こうやってみて頂くとですね、六段から何を一番求められているのかが明確になると思います。

何故、四段・五段でつまづくのか

子どもの頃の指導としては、相手の動きとはかは関係なく、遠間から打ち込んでいく指導をされるとは思いますし、それが剣道だと思っている方も多いと感じます。そのため、昇段審査で「立ち合い相手に1本を取れるか」を重点に置いてしまう。しかし、審査員はまったくそのような「打突」の部分は上記の通り4項目の1つにすぎず、「理合」を全く考慮されてない剣道は「×」になるわけです。

初段~三段でありますと「理合」の項目がないので、学生さんはむしろ三段までは簡単に取得できますが、ここでつまづくわけですし、かつての指導者も教えてこなかったことを大人になって自主的に勉強しなければならないわけです。しかも、実情としましては、七段の先生でさえも「理合」について確固たる理論が確立しているかも微妙な状態で、何が正しく何を信じたらいいのかわかなくなることでしょう。

四段から「理合」が求められる

理合とは、

剣道には、「理合(りあい)」という言葉があります。「理」に「合う」と書きますが、「理に合っている」という意味ではありません。「理に合っている」場合は「合理(ごうり)」と言います。たとえば身体の動かし方が理に合っていれば「合理的な身体運動」などと言うわけです。「理合」は、逆から読んで「合う(=合っている)理」という意味になります。剣道を行うことに関して「合っている理」、あるいは「合うべき理」というものがあり、これを剣道の理合、あるいは剣の理合

「理」とは「ことわり」で、「人の力では、支配し動かすことのできない、ものごとの当然のすじ道」というような意味があります。こうすれば必ずこうなるという必然の条理とか道理のようなものを「理(ことわり)」と言うわけです。ですから、「剣を用いて戦う技術においては、それに合うような、こうすれば必ずこうなるという必然の理」というものがあり、この「理」のことを「剣の理合」。「剣の理合」に基づいて、各人が各人にとっての様々な身体運用や剣の操作をするための法則、すなわち「ある人が、剣を扱う技術を行うにあたって、その人が従い守るべきよりどころとなる法則」というものがあり、これを、その人の「剣の理法」といいます。剣道というのは、剣の理合を百錬の稽古によって学び、そこから自らが行うべき、自らの法則「剣の理法」を自得するための修練のことです。

剣道は、剣の理法の修練による人間形成の道である。

この定義の意味をかみ砕いて昇段審査に望むというわけです

理合は、日本剣道形1本目~3本目と密接につながっている

「間の理合(間合)」「正中線による攻防の理合」「中心取りの理合」

この3つの「理合」をわかりやすく教えているのが、日本剣道形の1~3本目となります。ここで日本剣道形と竹刀剣道の密接な関連性が生まれるわけです。

間の理合(間合)は、相手と自分とが相対したときの距離。私のブログでは物理的な間しか扱いませんが、一足一刀の間、遠い間(遠間)、近い間(近間)があります。剣道では物理的な間だけではなく心の間もありますが、それは剣道で調べるのではなく「心理学」や「宗教学」で学んだ方がよろしいかと思いますし、補助的に考えればよろしいかと思います。

正中線の理合:日本剣道形2本目、解釈が変わるかもしれませんが、ざっくり述べるならば「構え」の理ですね。「正中線」というのは、身体の中心を縦に通る線です。これは人間の身体を正面から縦に真っ二つに切る線
剣道には、「正中線を斬る」という教えがあります。これが「正中線の理合」です。しかし、この理合を「相手の正中線を斬る」ことだと思っている人も多いようですが、そうではなく、これは「自分の正中線を斬る」という理合。相手を常に自分の真正面、すなわち自分の正中線上に置いておかねばなりません。つまり、自分の身体を貫く正中面の延長上に常に相手が来るように自分自身が動かなければならないということです。そして、逆の見方をすると、相手の正中線上に自分の身体を置かないようにすれば、相手から斬られることはないということにもなります。注意しておきたいのは、剣道の構えは正対ではなく、右足を前に出しているので若干右半身前の構えということですね。正中線だと思い込んで、左手の位置と右手の位置を真ん中にするんだと思いこまないようにしていただきたいわけでごじます。

中心取りの理合:日本剣道形3本目でもみてとれるのですが、これは打突機会を制する理のことです。

剣先を相手に向けておくことが「中心取り」と考えてしまうと、前述した「正中線」を相手に向けておくこととの違いがよく分からなくなってしまいます。そのため「正中線」や「中心」という言葉の使い分けがあやふやになって混同してしまいがちです。ところが、これは日本剣道形3本目をみてみると1「相手の技が尽きたところ」に「とう!」とつき返し、2「相手が技を出そうとするところ」に前に出て相手の追撃を許さず、3「相手が下がろうとするところ(技を受けようとするところ)」更に前に出て相手の顔面前に木刀を向けていきます。

勝つためには必ず制さなければならない、そして負けないために決して奪われてはならないポイントがあるそれを「中心」といいます。この「中心」というのは、先に説明した「間の理合」によって「打てる間」に入り込むと同時に、「正中線の理合」によって、自らの正中線上に相手を置いた上で、今、相手を打てば確実に打つことが出来るという、距離と時間の位置取りのタイミングがぴったり一致した瞬間の一点(ポイント)と見ることができます。

日本剣道形1本目~3本目は、理合の形である

このブログでは、3つの理合を、間合い・構え(正中線)・中心(打突機会)と捉えて審査項目「理合」と「構え」のマガジンを作成しております。

「理合」と「構え」


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