手紙社リストVOL.9“本”編「花田菜々子が選ぶ、いろんな『なつかしさ』を味わう本10冊」
見出し画像

手紙社リストVOL.9“本”編「花田菜々子が選ぶ、いろんな『なつかしさ』を味わう本10冊」

手紙社

あなたの人生をきっと豊かにする手紙社リスト。今月の本部門のテーマは、「いろんな『なつかしさ』を味わう本」。その“読むべき10冊”を選ぶのは、ブックコンシェルジュや書店の店長として読書愛を注ぎつつ、私小説も人気を博している花田菜々子さん。「雰囲気こそ大事なのでは?」という花田さんが雰囲気で(いい意味で!)選ぶ、ジャンルに縛られない10冊をお届けします。

──

1.『ファンシー絵みやげ大百科
著・文/山下メロ,発行/イースト・プレス

はじめてこの本に出会ったときの衝撃は今でも忘れません。子どもの頃からおみやげ屋さんで商品をじっくり眺めるのが大好きだった私ですが、あの頃大切に集めていたファンシー雑貨たちのことを突然思い出しました。ローマ字で書かれた謎ワードに、キツネのキャラクターがついた80年代的キーホルダー、ひとつでいいのでもう一度手に入れたいなあ。

2.『向田邦子ベスト・エッセイ
著/向田邦子,編/向田和子,発行/筑摩書房

お正月ってなぜか普段の日常よりいろんなものがちょっと古くてなつかしいですよね。テレビの中の空気とかも。もはやそれを味わうことが楽しみになっています。2021年はちょうど没後40周年であらためて魅力が再評価された向田邦子さん。初めて読む方にはおせちのように美しい詰め合わせ的なこちらがおすすめ。昭和の気配が心地よいです。

3.『ごちそうさまが、ききたくて。 : 家族の好きないつものごはん140選
著/栗原はるみ,発行/文化出版局

当時爆発的に売れたという栗原はるみさんの料理本。ただのレシピ集ではなくエッセイと写真集の要素が加わった鮮烈な1冊。私が初めて手に入れて夢中で読んだ(そう、これって読むための本でした)のは25年前でしたが、今見てもびっくりするくらい色褪せてないし全部おいしそうですごい。

4.『ももこの世界あっちこっちめぐり
著・文/さくらももこ,発行/集英社

2021年に文庫化された、さくらももこさんの旅エッセイ。昔『もものかんづめ』を読んだ人も多いかもしれませんが、あの「まるこ」な語り口のままにひょうひょうと綴られる旅の様子は、どこかさめているようでもあり、可笑しくてなつかしいです。旅エッセイって感動屋じゃない人のほうが面白く描けるのかも。

5.『赤毛のアン
著・文/ルーシイ=モード=モンゴメリ,訳/岸田衿子,イラスト/安野光雅,発行/朝日出版社

書店員をやっているとつい新刊にばかり目が行ってしまうのですが、そんな日々の中でも、たまに子どもの頃好きだった名作を読み返したりすると必ず「え!? こんなすごいこと書いてた!?」と驚いてしまいます。《本好きあるある》かもしれませんが、今帰省している人とか、ぜひやってみてほしいなあ。

6.『コドモノセカイ
編/岸本佐知子,発行/河出書房新社

子ども時代を思い出すときに、古いアルバムや同窓会の思い出話からはこぼれ落ちてしまうもの。それは出来事というよりは子ども特有の想像力越しに見えたこの世界の不思議さや、怖さ、不気味さではないでしょうか。その手触りを思い出させてくれる幻想的な短編小説集。

7.『イニシエーション・ラブ
著・文/乾 くるみ,発行/文藝春秋

カセットテープが全盛の時代の恋愛を描いたミステリー小説。もうネタを知っている人もいるかもしれませんが、ラスト直前で突然それまで読んでいたものの意味がガラガラと崩れて生まれ変わる「どんでん返し」系の傑作。背景の時代もなつかしければこれが大ヒットした頃ももはやなつかしの域に……。未読の方はぜひだまされる快感を味わってください。

8.『たのしみノートのつくりかた
著・文/杉浦さやか,発行/祥伝社

そもそも何かを「手書き」すること自体減ってしまった今日この頃。昔はスクラップ帳や旅日記なんか作っていたっけ……という淡い感傷を平手で張り飛ばされるようなものすごい熱量の《手書きのススメ本》。杉浦さやかさんのアナログノート作りの鬼っぷりをとことん味わえる1冊。新年だし、何か今年は新しいことをしてみたいなあという人にもおすすめです。

9.『ノスタルジア食堂
著・文/イスクラ,発行/グラフィック社

かつてのソビエトや東欧で労働者たちが食べていた、素朴な料理を再現したレシピ本。各国のカルチャーに精通する著者のこだわりのつまった装丁や本文のレイアウトが雰囲気よすぎてしびれます。ロシアに生まれていないのに「なつかしい」と感じるこの気持ちって、いったい何なんでしょう。何の縁もないのにロシア料理パーティーがしたくなる1冊です。

10.『素晴らしきお菓子缶の世界
著・文/中田ぷう,発行/光文社

買っても何の役にも立たないとわかっていながらつい手が伸びてしまうこの種の本。国内外のお菓子の缶を中心に、大好きだった古き良き缶から最先端のおしゃれな缶までがずらりと並びます。大人の女性たるもの、愛すべきガラクタばかりが入った大切な缶のひとつやふたつ、所持していたいものですよね。2022年も自分の「好き」をお守りに、楽しく生きていきましょう!

──

選者:花田菜々子
流浪の書店員。あちこちの書店を渡り歩き、現在は「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」で店長をつとめる。著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』など。

──────────────────────────────────

月刊手紙舎トップへ戻る

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
ありがとうございます!
手紙社
手紙社のnoteへようこそ! こちらは、毎月1日〜7日だけオープンする月刊手紙舎(https://tegamisha.shop/)に連動するコラムや、手紙社の部員たちが作るコンテンツに特化したページです。どうぞお好きなところからお入りください。