【エッセイ】ダイビングやってきた
中学の頃活動していた野球部で、私はたしかこんな事を言われた記憶がある。
「てふなむってパワプロで言うと『ケガ率100%』だよな。」
当時の私は毎年何処かしら骨折していて、まともに夏合宿できた事がなかった。練習による疲労骨折もあれば、兄弟喧嘩による骨折もある。きっと体の感覚が鈍感なんだろう。一時期「鈍感力」という本がブームになったこともあるけれど、鈍感過ぎると自分の危機すらわからなくなるので私はちょっと敏感なくらいが丁度良いと思っている。ちなみにこの「ケガ率100%」はもしかすると現在進行形なのかもしれない。
★★★
本日私は月に一度のスキューバダイビングをする為に沼津にやって来た。本日の天気は雨だけど、波が荒れてなければある程度問題無くダイビングは行われる。しかも今日の気温は平均18度と、海の水温と比較してもそこまで誤差が無いためダイビングが終わって岸に戻った時に感じる寒暖差がほとんどない。ある意味ダイビング日和だった。
沼津は相変わらず「ラブライブ!サンシャイン」に占領されており、ラッピングがラブライブになっているバスがあった。私はそのバスを横目に見ながら集合場所へ向かった。
目的地へ着くと、雨にも関わらず多くのダイバーが準備をしていた。私もインストラクターやベテランダイバーにチェックをして貰いながら器材をセットしていく。毎回やっているのに必ず何処かセッティングを忘れている。BCDとタンクを並行にしていなかったり、ホースをつけ間違えてたり。失敗するのはしょうがないけど、まだまだ経験が足りないなと痛感する。
今日はコンパスナビゲーションとドライスーツの講習だった。ナチュラルナビゲーションは自分の腕を直角になるように拡げてそれを軸として進行するけど、今回のナビゲーションは腕じゃなくてコンパスを使用した。コンパスなら方位が確定している為、その方位を軸として進む事ができる為誤差が少ない。誤差が発生するとしたら、コンパスを付けてる腕がぶれてないか、体を回転させる際に、コンパスの指針が正確に動くようにゆっくり回転させる事くらいだ。気をつけるべき箇所が少なくて分かりやすい。それでも正確にやるのは難しかった。
やった事としては、設置されたメジャーの0m地点から正確に四角を描くようにコンパスを見ながら逆時計回りで移動するというもの。0m地点で自身の向いている方向と北の方角を確認しながら目標物を見つけ、コンパスを装着した左腕は固定しながら移動していく。まず初めに10キック、そして左に旋回して10キック。この後左に旋回した後ちゃんと10キック、最後に10キックで戻れるかといった確認テストになる。こうやって書いてみると簡単に感じるけど、コンパスはガラス内にある油の中で動いているので体をゆっくり回転しないと針がついてこない。また、手を固定させながら進むのも難しい。ちなみに私はフィンをつけないと泳げないダメダメ水中野郎というのもあり、左腕を固定しながら進むのが難しい。3回テストしたところ、確かこんな感じだった。
1回目: 10キック、10キック、11キック、9キック
2回目: 10キック、10キック、9キック、11キック
3回目: 10キック、10キック、6キック、12キック
要は安定しなかった。それでもナチュラルナビゲーションよりかはマシかも。
続いてドライスーツの講習。手を使わずに水中で静止する「中性浮力」の練習をした。まず初めにドライスーツに空気を入れ、足に空気が溜まるのを確認する。その後BCDに空気を入れ、体が自然に上がるまでいきを吐き続ける。体が上がってきたら、息を吸って体に空気を入れ、体が浮き上がり過ぎるのを防ぐ。これを上手い具合に繰り返して体が水中に浮いた状態を保ち続ける。教えてもらいながらだとできるけど、自分1人でやるにはまだ時間がかかりそう。もうちょっと魚みたいに自由になりたい。
また、ドライスーツに空気を入れ過ぎた時のリカバリ方法も学んだ。これは単純で、足が浮き上がって垂直になってしまったらバタ足で地面に手をつき、その反動で上体を起こした後、素早く排気しながら息を吐き続ける。これはすぐに出来た。勢いよく手をつく事で体を起こすのが楽にできた。
雨も強くなり、お昼ご飯を現地でゆっくり食べるのが難しくなったので急ぎ帰ることになった。
器具の片付け途中、右手の薬指がチクッとした痛みに襲われた。見てみると蜜蜂が私の薬指に止まっていた。もしかすると私が干していた器具の近くで雨宿りをしていたのかもしれない。海辺だから蜂がいるとは思わなかった。油断した。今まで蜂に刺されてこなかったことと今回は蜜蜂だから毒性も強くなくアナフィラキシーを発症することは無かった。でもなー。せっかく海に来たんだからどうせなら海の生物に刺されたかったな。
会計を済ませた後、帰りはベテランダイバーさんに沼津駅前まで送ってもらった。私達はダイビングについて色々話し合った。
「中々出来ないっすね〜。」
「いやー、慣れですよー。出来ないところ意識しながら続けてれば上手くなりますから。」
まあそんなもんだよね。何事も。それでも社外の人達と話す機会がそもそも少ないからか、こんな感じの会話でも楽しく感じた。ダイビング下手くそだけど、また来よう。
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