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【エッセイ】父の手料理

今年三月に父は定年退職した。退職したが、今も会社との雇用関係は続いており時々出張に出かけている。(退職とは…?)それでも家にいる時間が増えたため、母のストレスが溜まっている。

そのため、父が出張している時は母が自宅に居て、母が出張している時は父が自宅に居るという循環が起こっている。確かにいつも同じ人と何年も一緒にいると飽きるし特に話したい事も無いから面倒になると思う。かと言って、離婚してもそれはそれでお互い生きていけないのが分かっているため、その手段はとらない。折り合いつけてお互い頑張っている。

また、父は趣味が無くて退職当初何をやるか頭を抱えていたが、今の所は庭の管理に落ち着いている。最近は大根を栽培しているようで、一昨日私も水やりをしたのだが、まあまあ立派に育っていた。食費が浮くのは有難い。

最近父は料理を覚えようとしている。テレビでポテトサラダを作るのが手間で面倒というニュースが流れ、何を思ったのか「じゃあ作ろう」となったらしい。もしかすると父はドMなのかもしれない。

最初にポテトサラダを作ったのが確か二週間前。父は「塩少々」の意味が分からない事もあり、二人前のポテトサラダの味付けに小さじ半分加えたそうだ。きゅうりが元々塩揉みしてあったため、かなりしょっぱ辛いポテトサラダが出来ていた。

そして今日ポテトサラダリトライ。今度は塩をほとんど入れなかったため、塩気が無い。しかし味が無い分は少しずつ調整すれば問題無い。父は私に言われた通り、塩をひとつまみ取って入れた。(後勝手にマヨネーズを一回り加えた。発想がデブである。)二回目にしてまあまあの出来のポテトサラダが完成した。

父は満足気に自分の作ったポテトサラダを食べている。不思議な光景だ。父が料理するようになるとは私が子供の頃思っても見なかった。母がいない時はいつもカップラーメンか鍋焼きうどんを食べていた。母がいなければ、家族の健康状態は最悪の結果になっていただろう。

人間目標持って生きれば死ぬまで成長するのかもしれない。

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