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好きなアーティスト第3弾『う』は、Weezer

WeezerのCDに出会ったのは、浪人時代に何気なく立ち寄った地元の古本屋だったのをよく覚えている。ブルーバックに何処となくイケテナイ4人の若い男の姿は、当時やりたいこともなく地元で燻っていた自分の姿と妙に重なって気になったのだと思う。また、ブルーバックに冴えないバンドメンバーが並んでいるというジャケットは、The Feeliesを思い出させることもあって、手に取ったのかもしれない。

時間だけは有り余るほどあった時だから、古本屋には長時間滞在し、山本直樹や窪之内英策、江口寿史などのコミックを片っ端から立読みして、そして中古Weezerのアルバムだけを購入し、自転車で帰路に着いた。

母親への帰宅のあいさつもそこそこに、自室へ戻ってCDをコンポに入れた時のことは今もはっきりと覚えている。ギターの奏でるピュアな響きに続いて、突然かき鳴らされる轟音。当時席巻していたグランジとは違う、ハードロックの影響を受けたギターサウンドなんだけど、どこかPOPなサウンド。そして、ヴォーカルから漂ういけてない男子の呟きのような叫び。一瞬にして僕は虜になった。

そして、2曲目で奏でられるパワーポップのようなギター。ピクシーズやダイナソーJrとも違う、ギターは歪んでいてもどこか悲しげで明るく、イケテナイ心の叫びが綴られる歌詞にますます夢中になっていた。

ファーストアルバムが傑作になっているバンドは数多く入りが、このアルバムもまさにそんな一枚になっている。でも、Weezerがすごいのはこのデビューアルバムが今もキラキラと輝いていながら、その後のアルバムも素晴らしいことだ。

イケテナイ姿で写っていたメンバーは、たくさんの傑作を生み出し、もうとっくにイケているはずなのに、今も変わらずあの頃のイケテナイ自分を励ましてくれたり、時には大切な何かを思い出させてくれる、そんな学生時代の友だちのような存在だから今でも新譜を聴き続けているのかもしれない。


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