他人の日記を読む楽しさ
数週間前に本屋で衝動買いした村井理子の『ある翻訳家の取り憑かれた日常』を少しずつ読み進めている。本屋でこの本を目にするまで村井理子という名前は見たことも聞いたこともなかった。
この本は2023年の1月から12月まで大和書房のウェブマガジン『だいわログ』に掲載された日記をまとめたものらしい。嬉しいことに今チェックしたら2024年も日記は続いている。
日記の内容は主に仕事の進み具合や家族とのやりとり、不安定なメンタルの状態の浮き沈みなのだが、「原田とエイミー」という実話なのかフィクションなのか定かではない恋バナがたまに登場する。恐らく日記に書く内容に詰まった時か、或いはその日の出来事を無かった事にしたいような日に村田さんは「原田とエイミー」の世界に現実逃避しているのではないかと思う。勘繰り過ぎだろうか。村田さんの日常の合間に不定期に別の物語が潜入してくるという構成が面白い。
公開を前提に書かれているものなので、多少は「よそ行き」に書かれている部分もあるのかもしれないが、かなり正直にありのままの日常の出来事や精神状態について綴られている。
このエピソードなんかはツボにハマって大笑いしてしまった。ちょっと長いが引用する。
この作者の本業は翻訳家なのだが、親の介護などについて書かれたエッセイも好評で、常に何本も翻訳とエッセイの原稿を同時進行で抱えている売れっ子ライターだ。翻訳作業の進め方やエッセイの執筆に行き詰まった時の対処法などについて書かれているのも私にとっては興味深い。
この秘密兵器が何なのか知りたい!
翻訳やエッセイ執筆の作業が苦境に達した時など自分を勇気づけるために村井さんは「大丈夫、俺ならできる」とか「できるはずだ、俺ならば」と男言葉で唱える。
この本を読んでいると村井さんに「大丈夫、お前ならできる」と励まされているような気になるのだ。
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