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「TEDトークは心の飴玉」|Passions Worth Spreading vol.3

「人間であるということは、劣等感を持っているということだ」

オーストラリア出身の心理学者、アルフレッド・アドラーが何十年も前に言ったように、誰しも劣等感の1つや2つ、抱えて生きているのではないでしょうか。

「しみわかは人一倍他人と比較するよね」「自分らしく生きて!」

そんな気遣いの言葉にも、「私の何が分かるの!」と反発してしまうくらいに奥底に秘めた劣等感が強い私は、物心ついた時から、私より賢い友達や運動神経の良い妹、はたまた優秀な父に対して、畏敬と劣等感が入り混じったような感情を抱いてきました。

この不安定な自分を変える出会いがありました。

それは、TEDでした。

「え、あのお喋り熊さんの映画だよね?」という勘違いから始まったTEDとの出会いは、私の人生に大きな変化を与えてくれることになります。

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初めまして!

TEDxUTokyo実行委員会でOff-Stageを担当しています、早稲田大学新3年の清水和華子です。

Off-Stageは、イベントにおいて、トーク以外の企画全てを担当しています。
ワークショップやフードコーナー、開閉会式、交流会などなどです。

「スピーチ大会だよね?」と言われることも多いTEDカンファレンスですが、TEDxUTokyoは、”Co-Build the Future”というビジョンのもと、ここでしか見れないエキシビション(展示)やここでしか出会えない参加者同士の交流を活性化させるため、Off-Stage企画もこだわって作っています。

トークだけに留まらないワクワク感や学び、熱狂や議論を生むために、Off-Stageチームは日々奮闘中です。当日にご期待ください!🙌🎉

今回は、Passions Worth Spreadingの第3弾として、「私がTEDに救われた話」をしたいと思います。
運営メンバーの1人である私のPassionを共有することで、TEDxUTokyoにかける思いや熱狂が伝われば嬉しいです!

TEDとの出会い

私が初めてTEDを見たのは、アメリカに住んでいた中学3年生の時でした。
その頃の私は、思春期特有のコンプレックスに加えて、英語が話せない絶望感もあり、負のオーラをこれでもかというほど出していました。

学校でジャスティン・ビーバーみたいにイケメンなブロンドの男の子とカイリー・ジェナーみたいにスレンダーで明るい女の子に話しかけられて、何を言われているのか分からずビビって、大泣きして、先生に「日本帰る!」って日本語で叫び続けたこともありました。

今考えると彼らは親切心から話しかけてくれていて、普通に接せば良かったのに、勝手に「彼らに私の気持ちがわかるはずがない」って線を引いてしまっていました。

日本人が他に1人もいない環境で、英語の発音が悪くて聞き返されることの心もとなさは、ブロンドの英語ペラペラな男の子には絶対に分からない。
少し食べ過ぎるとすぐに顔がまーるくなってしまう体型のコンプレックスもすらりとした美人の女の子には分かるはずがない。

自分の劣等感と向き合うことすら出来ていないのに、「他人に分かるはずがない!」と決めつけて、人から距離をとってしまっていました。

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国会議事堂前にて

そんなある日、授業で先生があるTEDトークを紹介してくれました。

「宿題の提出がギリギリだったあなたたちは、これを見なさい」と先生が見せてくれたのは、代表もNoteで紹介していた“Inside the mind of a master procrastinator(邦題:『先延ばし魔の頭の中はどうなっているか』) ”のトークでした。

このトークは、どうして人がサボってしまうのかを「先延ばし魔の頭には、”Instant Gratification Monkey(すぐにイージーな方に流れてしまうお猿さん)”が住んでいるから」というユニークな言い回しで説明していて、思わずゲラゲラ笑ってしまいます。

学校で初めて見た時は、内容が聞き取れず、どうしてクラスメートが笑っているのかよくわからなかったので、家に帰って何回も何回も聞き直しました。
日本語版と英語版のスクリプトを見比べながら勉強して、段々と意味が分かるようになってきた瞬間の感動は忘れられません。
クラスメートが爆笑していた”ツボ”を自分も理解できるようになったことで、周囲のクラスメートとの距離が、ぐっと近くなったように感じました。

聞く人を飽きさせないジョークや起承転結の素早さに加えて、最終的には、「明日も頑張ろう」と思わせてくれるポジティブさがあるこのトークが、私は今も大好きです。

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旅行先の風景

飴玉みたいなトーク

そんなきっかけでTEDと出会った私は、人生のあらゆる場面でTEDトークを見るようになりました。

例えば、自分の体型をコンプレックスに感じたとき。筋トレをしても筋肉が付きにくく、顔と足に脂肪がつくことをずっと気にしていました。

入学式で初めて出会った男の子に、「丸顔だね」って言われた時のショックは忘れません。
(おそらくあまり悪気がない発言ですが、失礼しちゃうわって思います。)

自分の見た目に自信がなくなった時に見るべきは、アメリカのファッションモデル、キャメロン・ラッセルの”Looks aren’t everything. Believe me, I’m a model(邦題:『ルックスだけが全てじゃない。モデルの私がいうんだから信じて』)”です。舞台上で服を着替えながら、見た目に恵まれている彼女が受けている特権的な扱いと、同時に、常に見た目に不安を感じている脆弱さを語っています。

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TEDxMidAtlanticでのキャメロン・ラッセル
TEDxMidAtlanticのブログより)

モデル業界のきらびやかさや「モデルだけが得られる特別扱い」に一種の憧れを感じるとともに、後半のパートで「私達モデルが、人類で一番、ルックスに対して不安を抱えている人種だ」と本音をもらす部分には、思わず涙が出ました。

見た目で勝負することを決めた彼女たちの苦悩を垣間見た経験でした。

私には、彼女の気持ちを100%理解することはきっと出来ませんが、赤裸々に語ってくれた本音に共感できる部分があったことで、彼女を身近に感じられ、親友に悩みを共有できたような安心感に包まれました。


かけがえのない人を失ってしまったときには、歴史家で日記収集家のサリー・アイビー・マクナマラの”What I’ve learned from reading over 10,000 diaries (『10000冊の日記帳を読んで、私が学んだこと』)”を見ました。

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TEDxViennaでのサリー・アイビーマクナマラ
トークの動画から)

不慮の事故で愛する人を失った女性の心の叫びや、亡くなってから母のことが理解できるようになった娘の悲しみ。驚くほどビビットに感情が描かれていました。そんな生の感情をトークを通して知ることで、自分の悲しみと向き合うことが出来ました。「悲しいのはあなただけではない」と先人たちが包み込んでくれて、また頑張る勇気を与えてくれました。

同じような経験を乗り越えてきた先輩達が、その人ならではの言葉や表現方法で、気持ちに寄り添い、落ち着かせて、新しい価値観をささやいてくれます。

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こんな風に私は、辛いことがあったときや悩んでいるときにTEDを見て、勇気づけられてきました。TEDは私にとって、ある意味、飴玉みたいな存在です。

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TEDトークは現在、世界中で100以上もの言語に翻訳されていて、誰もがアイデアに触れられるようになっています。

そんな、寛容で、インクルーシブで、温かくて、時に突飛で、面白くて、新鮮なTEDが、私は大好きです。

頭が良い悪いとか、運動が出来る出来ないとか、成功しているしていないとか、そんな枠を超えて、価値あるアイデアが広がっていくと信じています。

そんなトークを作りたいと思い、私は今、TEDxUTokyoで活動しています。

今は、直接トークを作り上げるOn-Stageとは異なるチームにいますが、それでも参加者同士を繋げたり、スピーカーのアイデアをなぞるようなワークショップを設計したりすることで、参加者の皆様が新しい価値観を沢山吸収して、次へのヒントを収穫する手助けが出来ると思っています。

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TEDxUTokyo Salonでのワークショップの様子
(2022年2月27日開催)

最後に

最後に、6月12日に開催するTEDxUTokyoに来て下さる全ての人に、私と同じように、価値のあるアイデアを学んで、「ハッとする経験」や「温かさに救われる経験」を提供するべく、イベント当日まで全力で駆け抜けていきます!

そして、TEDxUTokyoに参加した全ての方々と、Co-Build the Future,
一緒に未来を創っていきます。

私達Off-Stageが作る、ワークショップやエキシビション、交流会の数々にも乞うご期待ください!

当日、皆さんとお会いできるのを楽しみにしています!!

2022年 3月25日 Off-Stage 清水和華子

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