見出し画像

TEDxUTokyo is BACK | Passions Worth Spreading vol.1

「昔はテデックスユートーキョーっていうイベントがあってね、僕は割とあれで人生変わったんだけど、無くなっちゃったんだよね…」

忘れもしない8月25日、本郷キャンパスの正門前徒歩3分のシェアハウスに入居したその日の深夜、3学年上の高校の先輩と数時間にわたって語り合っていた時のこと。

その聞きなれないカタカナ語をアルファベットに変換するのには、少し時間がかかった。

「テデックス」が、今まで勝手に「TEDかける」と読んできた文字列と一致した時、何かが始まる予感がした。

“TEDxUTokyo”


ーーーーーーーーーーーーー

こんにちは。TEDxUTokyo実行委員会代表の髙野広海です。

この度、TEDxUTokyoが5年ぶりに復活します!!!!!

学部生だと、TEDxUTokyoを初めて聞くという方が多いと思います。
また、以前のTEDxUTokyoをご存知の方は「なんでまたTEDxやるんだ??」と思っていることでしょう。

これから、TEDxUTokyoを復活させるメンバー達が思いを綴る連載、”Passions Worth Spreading”を始めます。
今日はその第1回として、発起人である僕の思いを記します。
連載を通じて、TEDxUTokyoの実現したい世界観に思いをはせてくれる人が1人でも生まれると嬉しいです。

画像7

TEDxUTokyoとは?

そもそもTEDは、”Ideas Worth Spreading”をコンセプトとする世界的なカンファレンスイベントで、カナダのバンクーバーを拠点に世界中で年2回程度開催されています。

オンラインプラットフォームでは、なんと3800以上のトークが公開されています。
日本では英語学習のツールとして非常に有名ですよね。
皆さん1度は「TEDに出るとしたら何を喋ろう!?」って妄想したことがあるんじゃないでしょうか笑。
ちなみに僕のイチオシは"Inside the mind of a master procrastinator"
笑いが絶えない、それでいて明日からの自分の行動が変わるような素晴らしいトークです。

あまり知られていませんが、TEDに参加するにはなんと100万円ほどの参加費が必要になります。
100万円ってものすごい額ですよね…。
なぜ100万円払ってでも参加する人がいるかと言うと、TEDではプレゼンテーションだけでなく、「オフステージ」と呼ばれる参加者同士や登壇者との交流時間が非常に充実しているからです。

そして、参加者同士の交流が生まれるTEDのフォーマットが、コミュニティ形成に役立つと考えて生まれたのが、TEDxの枠組みです。
TEDxの「x」には独立しているという意味が込められ、TEDの正式なライセンスを取得しながらも、人選や運営などにTED本部は関与せず、独自にイベントを開催します。
世界150ヵ国以上で発足し、1万回以上のTEDxを通じて地域コミュニティの強化に貢献しています。

TEDxにはいくつかのタイプがあり、そのうち大学で開催されるものを「TEDxUniversity」といいます。
そして、日本初※のTEDxUniversityがTEDxUTokyoなのです!!
TEDxUTokyoを説明するために大分遠回りしましたね笑

画像1

安田講堂で開催されたTEDxUTokyo 2017 "See・Saw"の様子

TEDxUTokyoは2012年に発足し、NHK『スーパープレゼンテーション』を機に始まった日本のTEDブームを牽引する存在でした。
2016年と2017年にはあの安田講堂を借り、約500名の参加者を集める一大イベントに成長。
「『知』を軸とした価値のある、しかし、まだ世の中で浸透していないアイデアを発信する」
「『知』の拠点である東京大学において、内部と外部による相互作用による新たな価値を創出する」
ことを目指し、人工知能研究の第一人者である松尾豊氏をはじめ数々のユニークな登壇者が活躍してきました。
当時のトークはこちらから見ることができます。

しかし、様々な理由から2017年を最後にTEDxUTokyoは解散し、以後イベントは開催されていませんでした。
想像してみてください。
あのTEDの、洗練された憧れの空間。
最先端の知に触れ、新しい人と出会い、共に語り合う、1日限りの祭典。
そんな素晴らしい場所が失われているのは、なんて勿体ないことでしょうか。


僕はどう生きたいか

[1] 悩める2年春学期
冒頭の場面でTEDxUTokyoのことを知った時、真っ先に「復活させたい」という感情が生まれました。
自分でも不思議なほど明確に、まっすぐに。

実はそれまで、僕は人生で初めて「悩む」時期を経験していました。
代表を務めていたHCAPという学生団体が5月に次の代に移行し、ぽっかりと生まれた時間。
ただでさえ暇な2S(2年の春学期)の時期、周囲がやりたいことを見つけて一直線に突き進む中、ひとりだけその場に立ち尽くしていました。

画像7

人間の動機にはwant = 欲求とshould = 規範意識があります。
そもそも僕はwantが弱く、shouldが強い人間です。
そして、ここに書くのが憚られるくらい酷い話ですが、高校時代の僕のwantの8割は「競争に勝つ」ことでした笑。
本当に笑えない…。

しかし大学に入ってから、ある出会いをきっかけに、そんな自分のwantを見直すようになりました。
悩んでいた時期は、ちょうど「競争に勝つ」wantを解体し、再構築しようとしていたとき。
HCAPと授業というshouldから解放され、今まであったwantが消える。
そんなとき、人は「やる気」を全く感じなくなります。

何をしても楽しくない。何を聞いてもワクワクしない。
そんな自分が嫌になりながら、僕はいくつかのアクションを起こしました。
まずはとにかくいろいろな人とお話をしました。
社会人、先輩、同学年問わず、話を聞きたいと思った人に片っ端から連絡。
表参道の裏道にある目が飛び出るほど高価な焼肉屋さんに連れて行ってもらったこともあったし、ファミレスで気付くと5時間居座っていたことも。
冒頭で登場した先輩も、この時にお話したうちの1人です。
会った人すべてに、その人の原動力となるwantが何か聞きました。

また、友達と2人で座禅と滝行に行きました。
本当です笑。
多摩川の上流にある御岳山で1泊2日。
朝の森の澄んだ空気と、滝行を終えた後の爽快感は今でも忘れられません。

画像2


そして、自分のwantを再構築するなかで、辛うじて「楽しい」と思えることをとことん追求しました。
例えば、山手線一周。
深夜に山手線を徒歩で一周しながら、僕が駅ごとに地形や歴史を解説していく企画です。
6月から始めてこれまで8回開催。社会人も含めて20人以上を招待してきました。

[2] 僕はどう生きたいか
少し話がそれたので本題に戻ります。

この時期を通じて、再構築された私のwantが、「自分の意思で環境を変革し、他者にポジティブな影響を与える」ということです。

抽象的なので具体例を使います。
言わずと知れた東大の学生メディア、UT-BASE。
「東大を世界一の学び場にする」というビジョンを掲げ、多くの東大生の学生生活を支えています。
特に新型コロナウイルスが新歓期を直撃した私達にとって、UT-BASEは無くてはならないものでした。
そのUT-BASEは、創設者の方の「東大をもっと良い場所にしたい」という強い思いから生まれたものです。
たった1人の思いが大きなうねりを生み出し、僕を含めた多くの学生を支えてくれた。
その事実に感動するとともに、強い憧れを抱きました。

画像3

TEDxUTokyo Vision Sheetより引用

僕の人生はこの繰り返しでありたいと、強く思います。
そしてTEDxUTokyoを復活させようとしているのは、これこそ僕が周囲の環境に働きかける方法だと確信したからです。


TEDxUTokyoの価値

現在学部2年生の学年は、入学以来新型コロナウイルスの影響を受け続けています。
通学時間がなく、オンデマンドで見ることもできるオンライン授業は、実は向学心のある人・勉強以外を頑張りたい人双方にとって、ありがたいものなのかもしれません。
しかし僕は、オンライン環境のもとで、大切なものが失われ続けていると感じます。

[1] 人生が変わる経験
人生が変わる、そんな瞬間を体験したことはありますか。
僕は高校1年生で参加した、ハーバード大学を訪問するプログラムで、文字通り人生が変わりました。

画像4

ハーバード大学の1年生用の食堂

たった1週間のプログラムでしたが、本気で語り合える仲間に囲まれ、常に未知の何かに遭遇する高揚感の中で、新しい目標を見つけたその時間は、今でも僕の宝物です。

人生は、等速直線運動と高密度の異質な経験との繰り返しです。
ある瞬間に出会った時、思いもしなかった方向に跳ね、また別の瞬間に出会うまで等速直線運動します。
そしてこの1年半の間、どれだけの人が「高密度の異質な経験」に出会えたでしょうか。
どれだけの瞬間が失われてきたでしょうか。
画面の向こうから、人生が変わる経験は生まれません。

[2]東大の持つ価値
東大には、学術研究の拠点以上の価値があると思います。
それは、曲がりなりにも将来的にそれぞれの分野を牽引していく可能性の高い若者が、同じ空間に集うことです。
分野は違えど志を同じくする学生同士が出会い、刺激を与えあい、共に夢を実現させていく環境。
切磋琢磨は世界を変えるイノベーションを生み出す土壌となり、多様なスキルを持った仲間の存在はどんな大それたアイデアも実現させる力になります。

今の東京大学に、そんな環境はごく限られたところにしかありません。
それは、東大の持つ価値を著しく低下させるものであり、将来的に大きな損失になると感じます。

[3] TEDxUTokyoで目指すもの
TEDxUTokyoは、異なる分野の学生・社会人が集い、志を語り合う場所になります。
「未だ誰も見たことのないアイデア」と「越境する出会い」は、その場所でしか味わえない高揚感を醸成し、参加者の等速直線運動が思わぬ方向に跳ねる瞬間を作ります。
「人生が変わる1日」で結ばれた多様な参加者が、イベントの後も互いに刺激を与えあい、時には協力して夢を実現させる。
東大にそんなコミュニティを創り出すことが、私達の目標です。
そしてそれが、僕のwantを実現させる最強の手段でもあります。

画像7

終わりに


TEDxUTokyo実行委員会は、まだ始まったばかりです。
チームにはまだ12人しかいませんが、それぞれが強力なスキルとパッションを持っています。
正直、これほどのメンバーは日本中のどの学生団体を探してもいないのではないでしょうか。
今後のメンバーによる”Passions Worth Spreading”にも、ぜひご期待ください。

このnoteを読んでTEDxUTokyo実行委員会に関心を持ってくださった方は、ぜひSNSをフォローしていただき、2月開催予定の「TEDxUTokyo Salon」と6月の「TEDxUTokyo 2022」にお越しください。

そして私達は、共に人生が変わる1日を創るメンバーを募集しています。
少しでも興味を持ってくださった方は、こちらのリンクからご応募ください。
高校生から社会人まで、どんな方でもお待ちしています。

ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
皆様と「人生が変わる1日」を共有できることを楽しみにしています。

2021年11月7日 髙野広海


───────────────────
TEDxUtokyo 2022
twitter: https://twitter.com/TEDxUTokyo
facebook: https://www.facebook.com/TEDx-UTokyo-111438251342210
instagram: https://www.instagram.com/tedxutokyo/
HP: https://tedxutokyo.studio.site/
───────────────────

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?