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教育カンファレンス開催!

日時:2024年2月10日(土)
場所:ささえあいセンター/IRORI

TEDICあーやん。です!
2016年から継続的に実施されていた教育カンファレンスに、
今回実行委員の皆さんと一緒にTEDICも事例発表と企画運営を行いました。
『地域×教育』をテーマに学びと地域のつながりについてこのカンファレンスを通してバージョンアップし、今後より良いものにしていきたい!そんな思いが高まることを目的として実施しました。



第1部 基調講演 『それぞれの立場から考える、学校と社会のつなぎ方』森万喜子氏

基調講演に来てくださったのは、森万喜子氏。

子どもが主語の楽しい学校づくりを目指し、北海道で校長先生をされていた森先生。子どもの置かれた現状と、そこから考えるこれから必要な学びのスタイルについてお話いただいた。

不登校児童生徒(2022年)約300,000人
ひきこもり(推定)1,500,000人
小・中・高自殺(2023年)507人
児童相談所への相談から対応をした件数(2022年)219,170件
教員の精神疾患等での給食(2022年度)6,539人

この数字から見ても、現代の子育てが大変だということが一目でわかる。
それなのに、家庭だけで子どもを見ようというのは難しいこと。

家庭だけでもなく学校だけでもなく、社会総ぐるみで子どもや若者を育てていくスタイルが今後は必要になってくる。

学校では令和の日本教育として文部科学省から、
『学びの個別最適化』、『協働的な学び』という子ど場があがっている。
子ども一人ひとりのニーズに合わせた学びの場があることこそ、令和の日本教育であり、情報機器を使ったり話し合ったり、体験したりをしながらTry&Learnを繰り返す学びの場が求められているのだ。

昭和99年の学びの場ではなく、令和6年の学びの場へのアップデートが急務である。

また、地域との連携として『コミュニティースクール』の取り組みが始まっている。この取り組みは地域住民や保護者の声を学校経営に反映させることであり、多くの当事者が議論を重ねながらフラットに話し合う場をもち『熟議』を重ねることが大切である森先生話していた。

『子どもはこれから成長する木』
『地域は土』
『教師は風』


基調講演後の対談

<紹介された先進事例>
①石川県加賀市 教育ビジョン
 社会に出ていく子どもたちが社会に触れずに学び続けてよいのか?
 教育長が加賀市の教育を一新した。

②岐阜県高山市 防災クラブの取り組み
小学校の防災クラブの活動に、『防災士女子会』という婦人会が講師として来校。子どもたちを地域で育てようという取り組みが積極的に行われている。

第2部 事例共有

「一人ひとりが自分に合った学びの場を選択できるために」
「未来の共創と地域の学び」
二つのテーマに分かれて事例の共有を行った。

TEDICの代表理事鈴木と、こども∞感ぱにーの代表田中氏が「一人ひとりが自分に合った学びの場を選択できるために」をテーマにクロストークを行った。

<一人ひとりが自分に合った学びの場を選択できるための課題感>
(鈴木)
『学び』は子どもだけに限らず、子ども→若者→大人…とずっと続くもの。
その中でゆれがある。
ゆれる中で、ベースとなる衣食住の土台が整ってこそ教育や学びが生まれると考えている。
石巻圏域の高校でのヒアリングで見えてきたこととして
5年前はNPOなどの認知も少なかったが、認知はされてきている。ただ、地域をどうやって頼ったらいいのかわからないといった現状が見えてきたと話していた。
また、小・中学校はSSWが地域と学校をつなぐキーとなっていて、配置も進んでいる一方で、学校がSSWを何を頼んでよいのかわからない。頼り方が分からないからどの情報を出していいのかわからない。といった相互の難しさがある。

(田中氏)
子どもの学びの場は常に起きている。
子どもの行動の背景には何があるのか、全員を自分たちだけでキャッチするのは難しい。気付くための意識を向けてくれる地域資源との連携が必要だと考えている。
子どもが学びの場を選ぶとあるがその『選択』がキーワード。
不登校の子どもが石巻に約400人いる内、石巻で日中に子どもがいける場所を作っているCOILやTEDIC,ぽはっくなどでも見られているのはせいぜい50名程度。物理的に選択する場所が少ないことが課題である。

(鈴木)
石巻圏域はとても広く、一言で『石巻』といってもカバーしきれていない地域がある。いわゆる駅前などの中央の地域や蛇田地区のあたりだけが『石巻』とされているが、例えば河南地区も大変だと聞いている。
地域特性も考えていく必要がある。

(田中氏)
石巻は地域の子どもに親近感をもって接してくれる良さがある。
一方で地域の人たちが子どもの今の課題を知らない。
知らないがゆえに声をかけないという状況が起きてしまっている。

(鈴木)
高校のヒアリングなどを経て、課題は見えているが、どのようにどこを頼ればよいのかわからないという現状が見えた。
就職先の進路についての悩みも多そうだ。
また、情報を知っていてもちょっと相談できるというところがあまりないようだ。

<これからどうなっていくとよいか>
(鈴木)
今まで課題解決に取り組んでいた。
このことで、子どもを『かわいそうな存在』にしていないだろうか。
子どもは守られる対象と決めつけてはいけない。
子ども・若者は力をもった存在であり、対等である。
その力を信じる大人が増えていくとよい。

(田中氏)
子どもの一票と大人の一票が対等に扱われるとよい。
地域の中に選択肢を増やす!(学校を作る!)
不登校という言葉をなくす。

クロストークのキーワードたち

第3部 ワークショップ

基調講演・事例共有のお話を経て、次は参加者がテーマに分かれて話すこととなった第3部。テーマは以下の5つとなった。

①地域と学校はどう関わっていけるのか?〜コミュニティスクールを考える〜  
②一人ひとりに合った学びの場とは?〜石巻と学校の課題〜  
③「地域の学び」×「子どもの未来」の可能性とは?  
④若者が生き生き暮らせる石巻の未来とは?  
⑤子ども・若者とまちづくりの関係はどうあるべきか?

それぞれのテーマから出たキーワードたち

私の参加したテーマは、「④若者が生き生き暮らせる石巻の未来とは?」。
テーブルに集まったのは、様々な職種、様々な年代、性別の大人たち。今まで出会ったことない人と若者について話せる時間は貴重な時間だった。
「生き生きってまず皆さんどんな事考えていました?」
こんな切り口からスタート!

「健康でいられると生き生きするよね!」
「わかめの生産量日本一をもっと打ち出して、みんながわかめいっぱい食べられる街になって…そしたら、体の調子が良くなるから若者が生き生き暮らせる街になるんじゃない??」

「若者にとっての街と我々の世代(50代くらいの方)の考える街が違うと思うんだよね。」
「昔は、立町のあたりに、若者がプラット寄れるような服屋もあったし、本屋もあったな。今の若者はそういう場所がないよね。どこで遊んでいるのかなぁ。」
「やっぱり若者がただでぷらっと行ける場所が必要だよね。」

「逆に生き生きしないときってどんな時?」
「人間関係うまくいかないとき。」
「あぁ!そういう時は『死体DAY』をおすすめする!!死体は動かないししゃべれないし。上司も『死体かぁ…じゃぁわかった。』ってなるよきっと。」

なんだかいい意味で私が思っていたような展開ではなくてファシリなんて到底無理!でも『若者が生き生き暮らす』を考えるだけでこんなにもいろいろな視点があることに驚いた。

もちろん結論は出ないけれど、視野は広がったと感じられるWSとなった。

若者が生き生き暮らせる石巻の未来について考えてみた

教育カンファレンスを経て…

自分たちの事例を発表するだけではなく、教育者という視点からの森先生のお話や、他団体の事例などを様々な立場の人と共に聞くことができた今回の機会はとても貴重な時間だったと感じた。
会計事務所に勤めていて、知り合いに連れてこられた若者や、青年会議所で地域の若者のために活動をしたい!と意欲をもって参加している方、石巻で子育てをするイチ保護者として…等、立場は違えどみんな石巻に関わっている地域の人の一人。
『子どもの学び』に関して、それぞれの立場から話したときに、どうしたって、地域がどうあるとよいのか、周りで支える大人はどうしていくとよいのかを考えることになる。
この場で何かを解決するわけではないが、今後、街中を歩いているとき…目の前の子どもの将来を考えたとき、地域の大人の一員として何ができるのか、どうあるとよいか、そこに参加した一人ひとりが考えるきっかけの日となったのではないかと感じた。