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旅に出るなら


だいぶ暑くなってきて、昼間はとにかく外に出たくない。冷房が無かったら死んじゃう。毎日そんなで、溶けかけたアイスみたいな顔して過ごしている。

じっとり熱い空気とアスファルトの照り返しから、足早にしっかり冷やされたカフェに逃げ込んだ。バッグのなかには分厚いガイドブック。ちょっと遅れる、とラインが入っていて、自分だって実は10分ほど遅刻してたからほっとして席に着く。

アイスコーヒーを頼んで、ガイドブックをぱらぱらとめくってみる。知らない街並み。毎日生きてると大体のことを知ってるようなそんな閉塞感みたいな気分にいつの間にかなってるけど、行ったことない場所も見たこと無いものも世の中たくさんある。今の生活は気に入ってるけど、ひんやりしたこのカフェみたいに逃げ場がある気がしてにまた少しほっとする。楽しくても充実してても、なんとなく息が詰まったときに新鮮な空気を吸える旅。

今日は来月に行く旅の計画を立てようって集合したのだ。二人とも遅刻で、計画通り行くはずもないしろくな計画なんて立てないのは分かってるけど、こうやって日常から抜け出して、知らない土地を感じる楽しさ。旅気分を先取りして、少し派手なワンピースを着た彼女がガイドブックに旅雑誌を抱えて店の扉を開けてるのが見えた。

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