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タイ料理とスパイスの話


昼過ぎに目が覚めて、ベランダに出るとむわっと水分を含んだ空気が押し寄せてくる。暑い。振り向くと彼はまだよれよれのTシャツ姿で寝ている。昨日は遅くまで友達と飲んでいたらしい。こんな日は夕方まで起きてこない。

せっかく休みが被ったけど、一緒に住み始めて2年半。大概のデートスポットは行ったし、最近は休日が重なっても、そんな感じで1日が過ぎてく。大きな喧嘩もしないし、そこそこ仲良くやってると思う。

退屈。こんな日のことか、なんとなく続いている同棲生活のことか、どちらか分からないけどそう思いながら、飲みかけの、炭酸の抜けたコーラを飲む。それはそれで、低刺激でどんより甘ったるくて好きだったりするんだけど。

よれよれのTシャツを暑そうに捲り上げながら彼が珍しく起きてきた。まだ2時。

「タイ料理、食べない?」そう言って、今度は寝癖を直しながら洗面所に向かってく。あぁ、タイ料理なんて一緒に行ったこと、なかったな。明るい時間にこうやって一緒に出かけるのは、少し久しぶりな気がする。

いつも素通りしていたタイ料理店に入って、昨日友達がタイに行ってきたって言っててさ。腹壊したらしいよ。とか言いながら、異国の香りのする料理をほおばって笑ってる。

パクチー食べれたんだ。少し酸っぱいスープのフォーをずるずるとすする。こういうのは、重たくって蒸し暑い空気の中で食べるのがいい。

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