ゲームプログラマーが他人のソースコードを読めるようになるため学生のうちにして良かったこと考えて良かったこと。

 前回の記事『1人前のゲームプログラマーを目指してやったこと考えたこと』が評判良かったので少し追記する。

 この記事の中で「他人のコードを読みまくった」ことは本当に良かった。と書いた。ただ現実問題、プログラマーのみんなが他人のコードを読むのが得意なわけじゃない。

 何故、自分は得意なのか少し分析して、三つのことを思い出したのでここに残しておく。

■ 文章を書けるようになるために本を読んだこと

 これが一番に尽きる。

 私は高校生1年生まで活字嫌いだった。現代文の点数もあまりよくなかった。しかし高校2年の時に、ある出来事があったのだ。高校の友達が趣味で小説を書いていたのだ。

 私は彼らが羨ましくなり、急に小説を書きたくなったのだ。
 そんな不純な動機で本を読むようになった。

 といっても読んだ本はファンタジー小説やラノベ、青春小説ばかりだ。『アルスラーン戦記 ( 田中芳樹 )』『フルメタルパニック(賀東招二)』『ブギーポップ(上遠野浩平)』『ラグナロク(安井健太郎)』『暗いところで待ち合わせ (乙一)』『レヴォリューション No.3(金城一紀』などなどだ。ゲーム業界目指すような高校生だったんだそうなものだろう。(大学に入ったらもう少し読む本の幅は広がったが)。別に新書でもいいビジネス書でもいいとにかく活字であるのが望ましい。

 それに加えて文章を書きたくて読み始めたのだから、分からない言葉や表現、慣用句はすぐ辞書で調べた。文章を書けるようになりたいと思ったから漢検にも興味を持って勉強するようになった。
 これが功を奏したのか、私の現代文の点数は急によくなった。

 あんなに活字が嫌いだった私は、気づいたら活字を読むことが全然苦にならなくなっていた。間違いなく、この時活字を読むことが苦じゃなくなったのは、ソースコードを読むことが得意なことに繋がっていったと感じている。

 なお当初の目的の「小説を書きたい」はどうなったかって?人間誰しも黒歴史というのがあるよね。 

 なので、よくゲームプログラマー志望の学生から「学生のうちにしておいた方がいいことってあります?」と言われたら俺は必ずこう答えることにしている。「プログラミングはライティング業務でもある。活字に慣れろ。本を読め。」と。

■ 「プログラムは書いた通りにしか動かない」と考えるようになったこと

 大学2年生の夏休み。私はあるプログラミング会社にインターンに行かせてもらった。ここでリトルエンディアンとビッグエンディアンのことを初めて知ったのをよく覚えている。

 とても良いプログラマーさんばかりで、いろんなお話をさせていただいた。そんな中、この会社の偉いプログラマーが、ある時私にこう言った。

 「本当はね世の中にバグなんて存在しないんだ。プログラムは君が書いた通りにしか動いてないんだよ

 この言葉、揚げ足を取ろうと思えばいくらでも取れるだろう。しかし、私にはとてもビビッと来たのだ。プログラムは書いた通りにしか動かない。私は、この時から他人のソースコードを特に読もうという気持ちが湧いたと思う。

 他人のソースコードも含めて「こう書いてあるからこう動く」と常に言えるようにならないとダメだと思った。だってプログラムは書いた通りにしか動かないんだから。どう書いてあるか分からないプログラムは気持ちが悪すぎる。

 これに関しては正直これを読んだ人に共感してもらえるか分からない。ただ大学二年の夏、この言葉は私の考え方に間違いなく影響を与えた。

 またこれは少し副産物もあった。「本当はバグなんて存在しないんだ。君が書いた通りにしかプログラムは動いてないよ」は言い換えると「部下は間違ったことしていないよ。君が指示した通りにしか動いてないよ」とも置き換えれる。人の指示を出すような立場になった時、言葉一つで部下の行動は変わる。それも意識させた言葉になった。

■ テクニカルライティングをちゃんと学んだこと

 専門学生はこれを学ぶ機会があるのかは分からない。大学生は卒業論文があるなら、テクニカルライティングを一度は学ぶだろう。担当教授からの添削もあるだろう。

 あの時期は、振り返るととても学びになったと思う。
 テクニカルライティングは技術書の書き方の本だが、逆に技術書の書く側の視点を学べる本でもある。これを読んだ後だと、技術書を読みやすくもなった実感がある。

 専門学生などでもしテクニカルライティングを学び機会がないのであれば、Amazonに検索すればいくらでもあるのでぜひ読んでほしい。

■ 終わりに

 偉そうなことをいろいろ書いたが、私のことをよく知る人間は「お前に読む力や設計力はある程度あるんだろう、だけどお前の日本語はよくわからないことが多いぞ」と言われる始末である。
 なので今回の話は、書く力やしゃべる力が身に付いた話ではない。あくまでも読む力が身に付いた話として受け取ってもらえたらありがたい。終わり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?