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spin a yarn

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私の世界はどこまでも平ら、レイヤーの目を入れたり消したりして、時々君の前に現れよう。 石川葉による小さなお話の連作。
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2019年12月の記事一覧

【spin a yarn】
夜は影に残り、昼は星に吸われる。
だから少しだけ、今日は昨日。
明日もまた、今日を含んで旅する。
さようなら。
振り向く今日の背中に隠れて、今宵の夜の子どもたちが忍び足する。
スペクトラム、老若男女の夜たち。また昼たち。

【spin a yarn】
咳のいくらか残っている
明日も働く
気がつけば渡っていそうな
もう少し落ち着いた高揚を取り戻してもいい
焦らず
続けてゆけばいい
咎められても
代わりになるものを
もう持ち合わせていない

【spin a yarn】
星座の変わるのを見る
それをめあてとして生きるのはいいな
そんなこと、起きないものの例えみたいだった
きっと世の中の騒ぐ
わたしは、きっと夜空に釘付けになる、もしかして昼間も
予兆など、ただの人の営み
わたしは、あらかじめを紐解く

【spin a yarn】
咳に悩まされず目を覚ます

みんな、自分のことに向かっていて静か
懐かしく、変わらないのは停滞か
過去の心地よさは遠くにあればいい
為政者が毛布に包まって誇らしそうにしている

【spin a yarn】
夕景
星のピンズ
昨日よりもまたたいて見えるから
マフラーをもうひと巻き
ミトンの手でニット帽を深くする
たちまち夜景
笑っているテールランプがずらずらと

【spin a yarn】
忙しなさを静かに喜んでいる
気配
皆、心のつま先が少し未来の方を向いている

【spin a yarn】
クリスマスの夜の嬉しい。
詩の教室が楽しかったこと。
帰宅すると、待っていたのはクッキーたち。
2匹の魚と5つのパンのよう。
食べれば消えるけれど、消えない喜びがある。
そしてそれは増える。
祈りの喜び、救われる魂がありますように。